大国皇太子は人間砲弾としてボフミエ皇帝にめがけて撃ち出されます
何とか今日も更新できました。
明日も頑張ります。
ボフミエ皇帝アーベルと魔術師サロモン、護衛の魔術師達5名はバームストンの街のとある広々とした倉庫に転移した。
思わず護衛の5名はふらつく。
「貴様らはまだまだだな」
アーベルはため息をついて言った。
「申し訳ありません」
慌てて5名は直立不動になる。
サロモンに助けてもらったと言え、さすがに一度に500キロも転移するのは大変だった。
ボフミエ帝国最強の魔導士サロモンが力を貸したからこそできた荒業だ。
皇帝を見て慌てて駆けて来た兵士に意識を失っているクリスを渡す。
「船の準備は出来ているか?」
皇帝がサロモンに確認する。
「問題ないそうです」
他の男らに確認していたサロモンが応える。
船は貨物船を改造した軍艦をダミーとして皇帝専用船とは別に用意していた。
皇帝がいないと知られても兵たちが向かうのは乗ってきた船のはずだった。
この船に来ることはあるまい。
一同は倉庫を出ると目の前の船に乗ろうとする。
「待たれよ」
そこに騎馬に乗った一団が来た。
「港湾警備隊である」
指揮官らしき者が言う。
「ちっ」
と皇帝が舌打ちした。
男は素早く辺りを見渡して騎士の抱えている少女を見る。
「クリス様!」
男が言うと同時にサロモンが爆裂魔法を男にはなっていた。
「陛下。船に」
サロモンが先導して船に急ぐ。
兵士たちが攻撃してきた。
「全国指名手配中の誘拐犯、ボフミエ皇帝アーベル・ゲーリングを発見しました」
大声で叫ぶ声が聞こえる。
誘拐犯として指名手配中と聞いて思わず顔をしかめる。
「どうなっているのだ」
皇帝は怒り心頭で叫ぶ。
「取り急ぎ出港させましょう」
サロモンは兵士たちに魔法で攻撃しつつ、慌てて船を出港させた。
一方オーウェンらはジャルカらに連れられて魔導第一師団の詰め所の隣にある、国立王立高等学園の魔導研究所に来ていた。
そして、そこには10メートルの長さの白い筒ががそびえたっていた。
「これはオーウェン様。ようこそ、この魔導研究所の最新設備人間砲台へ」
嬉々として理事長で力学の権威のアダム・ブラウンが言った。
「あの理事長。これは」
「人類の夢。誰でも空を飛べるようにするものです」
嬉々としてアダムが話す。
「しかし、名前が人間砲台とは」
幾分引き気味にオーウェンが聞く。
「ふざけた方がそう名付けられただけですよ。
この中に入られたら500キロの距離も一っ飛びです」
人間砲台なっんてそのままだろう。
嬉々として説明するアダムの話を要約すると人間が中に入り、自分で結界バリアを張って更に人体強化すると
10人の魔導士で中の人を加速させて外に飛び出させるというものだった。
いや基本的にやって良いものでは無いだろう。
オーウェンは引き気味に考えた。
「何ですって!東方第一師団は動かないって」
電話口でアルバートは叫んでいた。
「どうした。アルバート」
オーウェンが聞く。
「国王陛下の命令ない限り兄は動かないそうです」
「なんとドラフォードも軟弱ですな。
皇太子殿下はクリス様を助けるために自ら犠牲になろうとしていらっしゃるのに」
ジャルカがとんでもない事を呆れて言う。
やはり犠牲になる代物か。
オーウェンは抜けたくなった。
「しかし、これは大丈夫なのか?」
「アレク殿下が一度賭けで負けられて乗られています。」
アダムがとんでもない事を言う。
どのみちジャンヌとの賭けに負けたのだろう。
「どうだった?」
オーウェンが聞く。
「ま、大人のおもちゃだな。たいしたことは無い」
顔を引きつらせながらアレクが言う。
「おいっ。その顔は絶対に二度と乗りたくないって顔だぞ」
慌ててオーウェンは言う。
「殿下。皇帝発見しました。船に乗って逃走しようとしています」
抱きかかえられて船に載せられるクリスが電話画面に映っていた。
「良し、すぐに出陣する。オーウェン別に無理しなくて良いぞ」
ジャンヌが言う。
「判った。俺も男だ。やってくれ」
オーウェンはカプセルの中に入った。
クリス救助は絶対に自分の手でやりたい。
「さすが皇太子殿下。クリス様を宜しくお願いいたします」
ジャルカが言う。
「何言っている。ジャルカも行くぞ」
ジャンヌが呆れて言う。
「そんな姫様も人使いの荒い」
「ボフミエの皇帝に馬鹿にされたままで良いのか」
「確かに、そうですな。あの豚皇帝にも目にもの見せてくれましょう」
あっさり挑発に乗るジャルカだった。
「よし、ジャルカ、アレク、ウィル行くぞ」
4人は一瞬後には転移していた。
「では殿下。身体強化をかけてください」
オーウェンはアダムの言葉に魔術を発動する。
絶対にクリスは守りたかった。
自分の手で。多少の危険なんて何だ。
オーウェンは決心した。
周りの魔術師達が魔術を発動する。
「よし、目標。ボフミエ貨物船。ファイア」
アダムの声と共にカプセルに周りの10人の魔術が加わる。
オーウェンにすさまじい加速が加わった。
体がカプセルの壁に押し付けられる。
一瞬で気を失いそうになった。
何だこれは………
言葉も出ず、オーウェンは心の中でこの試みに参加したことを後悔した。
ズボーンすさまじい音と共にカプセルは一瞬で音速を超えて砲身から弾き飛ばされた。








