クリス ボフミエ皇帝に誘拐される
すいません。いろいろ書き直しとかやり直ししていたら遅くなってしまいました。
前回最終もう一話章末に書くという話でしたが、
今話から新章とします。
ボフミエ皇帝から誘拐されたクリスの運命はいかに。必死に取り戻そうとするオウは人間ロケットになったり、赤い死神と暴風王女の追撃戦。話は佳境に突入します。
クリスは最後にアレクが発した光魔法の威力をを結界魔法で囲って弱めるとホッとした。
その時後ろにいきなり誰かが転移してくる。
ジャンヌだろうか。終わった勢いでふざけて転移してくる可能性は十分にあった。
「えっ、違う」
クラスメイトとは異なる気配を感じて慌てて後ろを振り向こうとした時、首のあたりにちくりと刺激があり、次の瞬間には意識がもうろうとしてクリスはその場に倒れそうになった。
そのクリスを男は抱くように掴む。少し後ろにいた護衛のメイもほとんど同時にその後ろに転移してきた魔導師によって眠らされると同時に再び二人は転移していった。
その間は一瞬の出来事だった。
舞台に兵士として出演していてジャンヌに切られて倒れていたオーウェンはクリスのいた辺りに魔導反応を感じて慌てて飛び起きた。
「クリス!」
慌ててクリスがいた辺りに駆け寄るがクリスもイメもいなかった。
この幕が始まった時は確かにここから結界魔法をかけているのは見ていたのに。
-何故いない?もう舞台に上がったのだろうか?-
慌てて舞台の周りを見るもクリスはどこにもいなかった。
そのクリスの攫われる様子は今回の転移を伴う激しい動きの殺陣用に転移等の激しい動きがあったら即座に映し出すように設定されていた特別製のカメラがはっきりと捉えていた。
そして全国配信の最中だったので、その動きは全国に配信されていた。
ドラフォードの王宮では演劇が終わってみんな感動していた時に、その一部始終が画面にでかでかと映し出されていた。その映像からはクリスが攫われるのがはっきりと見て取れた。
「えっあれは」
「ボフミエの皇帝!」
アーベル・ゲーリングがクリスの首に針のようなものを突き刺して意識を無くさせて転移して連れ去るのを全員が見ていた。
「クリス様がボフミアの皇帝に攫われた」
「どういう事だ」
辺りは騒然とする。
ボフミエ皇帝、クリス嬢を誘拐とテロップが流れる。
「皇太后様。ドラフォードの未来の王妃をボフミエに公衆の面前で堂々と誘拐されましたが」
「これはドラフォードに対しての挑発行為と見受けられます」
「直ちに東方軍に戦闘準備を」
老将軍らが次々に進言する。
「フィリップ。直ちに東方軍にいる息子に電話を。陛下には私から進言します」
「はっ」
バーミンガム公爵は皇太后に頭を下げた。
演劇が終わるとすさまじい拍手が巻き起こっていた。
多くの観客が立ち上がってスタンディングオペレーションをやっていた。
でも、舞台の下ではオーウェンが呆然としていた。
「どうした?」
ジャンヌらが慌ててやってくる。
「クリスがいない」
オーウェンは下に落ちていた、脚本を持ち上げた。
「クリスのだ」
脚本には見覚えのあるクリスの字でいろいろと書き加えられていた。
「ボフミエ皇帝がクリス様を転移で連れ去ったようです」
そこへカメラ室にいるルーファスと電話をしながらジャルカがやってきて言う。
「ボフミエ皇帝が誘拐しただと」
ジャンヌが驚いて言った。
「カメラにはっきり捉えられていたそうです」
言いながら辺りを調べる。
「短距離転移したみたいですな。学園外の森の中みたいです。
とりあえず行きますぞ」
「ジャルカ様。私も連れて行ってください」
オーウェンが言う。
「取り敢えずそこまでですぞ」
ジャルカが合図すると周りの景色は消え去り、森の中に出た。
「皇帝はいないみたいですな?」
「メイ!」
ジャンヌが茂みの中で倒れているメイを見つけてゆする。
「ダメだ完全に眠らされている」
「次はバームストンの港町まで転移してるみたいですぞ」
調べていたジャルカが言う。
「そこからどうすると思う」
ジャルカが聞く。
「海を一気に転移するのは、それもクリス様を連れては難しいかと」
「船か」
「おそらく」
「よし、ルーファス、電話で聞いた通りだ。そちらの手配状況は?」
「コーフナー様に替わります」
「えっ兵部卿とか」
「殿下。ジャルカ様からの情報頂きました。
直ちにバームストン警備隊並びに守備隊、バームストン駐留海軍に捜索命令下しました。
ボフミア関係船は全て検問を行う予定です」
「私もすぐに転移して向かう」
ジャンヌが言う。
「了解しました。でも、すぐに転移できるものはウイルくらいしかいないかと」
「ジャルカとアレクを連れて行く」
「姫様。そのようなご無体な。ジャルカは年寄りですからここから見届けさせていただきます」
「良く言う。何が年寄りだ。魔力量はクリスの次だろうが。
そう言えばボフミエの皇帝が言っていたそうだぞ。
ジャルカなど生ける化石、何ほど気にすることがあろうと」
「ほう、あの豚も言うようになりましたな」
その口調はのんびりしたいたが、こめかみがピキピキ震えていた。
「しかし、そもそもクリスを皇帝自らが誘拐する理由は何だ?
あいつはロリコンなのか?」
ジャンヌが聞いた。
「さあ、どうですかの」
「あの豚ぶった切ってやる」
プルプル震えながらオーウェンが言った。
「詳細は判りませんが、最近ボフミエでは兵士が進んで人さらいをしているとか」
コーフナーが言う。
「兵士が人攫い?」
「何でも魔人の心臓にするとか」
「何だとあいつらクリスをそんなことに」
オーウェンはもういてもたってもいられなかった。
「後は魔王の復活の憑代に使うという噂もあります」
「魔王?そんなのいるのか?」
ジャンヌが胡散臭そうに言った。
「まあシャラザールもいらっしゃったのですから可能性はあるかと」
ジャルカが言った。
「しかし、憑代にしようにもクリスには既にシャラザールが憑依しているが…。
その場合どうなるんだ?」
ジャンヌのの問いに答えられるものなど誰もいなかった。
ボフミエ皇帝は全世界指名手配
今生皇帝としては初めて現行犯というか全世界に犯行現場を見られてしまい
恐怖の皇帝からドジな皇帝に格下げ?????
