授業中も劇の練習は命懸け?
すいません。遅くなりました。
「シャル。私が完全に魔人とならないうちに、早くその剣で殺してくれ」
巨大な魔人と化したアーバンに扮したアレクが叫ぶ。
両手を広げてシャラザールに扮したジャンヌを誘う。
「そんな、アーバン!」
ジャンヌは目から涙を魔力で出しながら躊躇した。
「シャル!君に殺されるなら本望だ」
アレクは更に一歩前に出る。
「ごめんなさい。アーバン」
ジャンヌは剣を構える。
「さようなら」
そして、剣を魔人と化して巨大化したアレクに突き刺す。
その瞬間に辺りは光に包まれた。
アレクはジャンヌを剣もろとも抱きしめる。
「シャル。二人であの世に行こう」
ジャンヌは体をアレクから引き離そうとした。
-あれ、離れない…
そのまま強力な爆発の光が…
えっ転移魔法の発動が…
落下感でジャンヌは目が覚める。
えっ落ちている。
ジャンヌは教室の外に浮かんでいるのに気付いた。
地面に激突する。
とっさに地面に向けて衝撃波を放つ。
ドカーン。
すさまじい爆発音が学校中に響いた。
ジャンヌはクレーターの中に何とか、怪我せずにいる事に気づく
物理の授業中に居眠りしていたのだ。
またジャルカに転移させられたに違いない。
「ジャルカ!」
怒鳴り散らしながら3階の窓にとりつく。
「これは姫様。起きられましたか」
「居眠りしたからって窓の外に転移させる教師がどこにいる」
「ふんっ。私の授業中に居眠りするからです」
ジャルカが平然と答える。
「私は姫様が単位を取られるのに命をかけておりますからの。
当然姫様にも命をかけてもらいます」
「ほう、私が単位取れなければ責任とって死んでくれるのか」
「ふんっ何を甘えているのですか。
あなたが単位取れなかったら、怒涛の1か月王妃研修に参加させるように王妃様からはきつく言われております。1つでも単位落としたらそうするとのことです。
クリス様でも文句を言われたくらいですからの。
そんなに、やりたいのですかな」
にやっとジャルカは笑った。
「いえっ。ジャルカ様。絶対に単位取らせてください」
皆唖然とジャンヌを見ていた。
ジャンヌが頭を下げるなんて。
「私も王妃様の愚痴に付き合いたいとは思いませんからの。
ビシバシとやって行きますからそのつもりで」
劇の練習で魔力の使い過ぎのジャンヌがそのあと2回ほど疲れのあまり居眠りし、窓の外へ飛ばされたのは言うまでも無かった。
次の授業は魔術実技だった。
学祭も近く一部の生徒は最後の舞台の殺陣を中心に実演していた。
「クリス様。ジャンヌ様とアレク様を中心に結界を張ってください」
結界なら失敗しても死人は出ない。
クリスの結界の中でアレクとフェビアン、シュテファンのボフミエ組とジャンヌとアルバート、ナタリーのドラフォード組とが入る。
そして強力な光魔法で派手に撃ち合う。
全ての魔術の攻撃はクリスの結界の中で光って消えていく。
結界自体はびくともしていない。
「そうクリス様。そのまま続けてください」
攻撃しない限りクリスは安定感はぴか一だ。
そして、アレクとジャンヌの2人の一騎打ちになる。
転移して舞台の中央で剣で切り合う。
こんなのが出来るのは後は学園ではウィルくらいだ。
魔導騎士団の中でも転移できるのは1割もいない。
舞台の中央で切り結び、離れる。
「シャル覚悟」
アレクは必殺技の光魔法をジャンヌに放った。
しかし、ジャンヌに反射させられる。
「アーバン。私はシャラザール。申し訳ないがあなたでは勝てたない」
「何だと。あなたがシャラザールの化身だったのか」
アレクは驚いて言った。
「しかし、私も国の威信をかけて来た。ここで引き下がるわけにはいかない」
そう言うと瓶を開けて緑の液体を飲む。
「アーバン。何をする」
「魔人の薬だ。人では勝てなくても魔人なら勝てる」
言うや、苦しみだした。
「うぉー」
アレクは喉をかきむしる。
そして、フェビアンが光魔法でアレクを巨大化したと見せる。
「喰らえ」
巨大化して剣をジャンヌに叩きつける。
ジャンヌはそれを受けてはじき返す。
そして衝撃波をアレクに浴びせた。
アレクが弾き飛ばされる。
そして、起き上がって来なかった…・
ピクピク痙攣している。
「ジャンヌ、本気でやるなんてひどいぞ」
痙攣しながらアレクが言う。
「いやあ悪い。衝撃魔法を光魔法と間違えて使ってしまった」
「お前、これ3回目だぞ」
アレクが文句を言う。
まじ死ぬかもしれない。命の危険を感じたアレクだった。








