ボフミエの悪巧みにクリスは嵌ります
その翌日、オーウェンは頭痛がひどくて頭を抱えていた。
這うようにクラスに行く。
それはアレクもアルバートも同じだ。
珍しく、アレクが変に突っ込まない静かな授業風景だった。
ジャンヌ一人では迫力に欠けていた。
昼休みも珍しく静かに過ぎて、放課後がやってきた。
ヘルマンはこの悪巧みの為に、連れてきた全戦力を動員した。
何としても既成事実を作ってクリスをボフミエ魔導帝国へ連れて帰るのだ。
図書館の周りには20人ほどの手の者が集結した。
休憩室では飲み物研究としてボフミエの技術を集結したカクテル
ボフミエの華をシェイクして作ろうとしていた。
ボフミエ産のリキュールとオレンジ、炭酸を混ぜた飲みやすく甘い女性向けのカクテルだった。
結構アルコール度数は高い。
ヘルマンはクリスが酔ってヘルマンにしなだれかかってくれることを期待してへらへらしていた。
「これでやっとボヘミアに帰れる。こんなマーマレードなんて辺境の地ともやっとおさらばできるぞ」
一人ほくそ笑むヘルマンだった。
クリスは教室で少し復習した後に、図書館に向かった。
今日はアルバートとメイがクリスの護衛をしている。
オーウェンはそのはるか後ろをとぼとぼ歩いていた。
そのオーウェンの前に困り切った女性が地面を見ながら物を探していた。
「どうしたのです。」
思わずオーウェンは聞いていた。
「すいません」
ペンダント落としてしまって。
女の子が必死に探している。
「お手伝いしましょうか?」
見捨てる事は出来ずにオーウェンも手伝う事にした。
その先では女の子がアルバートの前でお腹を押さえて急に倒れた。
「どうしました」
慌ててアルバートは駆け寄る。
「すいません。お腹が痛くて」
女の子はお腹を押さえて苦しむ。
「アルバート様。良ければこちらの方を医務室までお連れ頂けないですか?」
クリスが言う。
「いえ、そのような事は」
女の子は断ろうとする。
「判りました。失礼します」
アルバートは女の子を抱え上げる。
「えっ」
思わず女の子はアルバートの首に手をまわした。
クリスはメイを連れて図書館の中に入ろうとする。
と中からフェビアンが出てきた。
「こんにちはクライルハイム様」
クリスがあいさつする。
「ミハイル様。お疲れ様です。」
フェビアンも挨拶する。
「どちらに行かれるのですか?」
クリスが聞く。
「ボフミエの特産の飲み物を今作っているのですが、試飲してくれる方を探していて。
良かったらミハイル様も1口飲んでいたぬ抱けませんか。
私はおいしいと思うのですが、皆の意見が分かれていて」
「どちらでやっていらっしゃるんですか。」
「その部屋でやっているんです。」
フェビアンは目の前の研究室を指した。
「お時間は取らせません。マーマレードの皆様の口に合うかどうか。もし合えば学祭の時にどこかで出せればと思っているのですが」
「判りました。そんなに時間がかからないのであれば」
クリスはフェビアンについていった。
扉を開けるとヘルマンが正装して金属製の水稲のようなものを握っていた。
「これはこれはクリス嬢。是非ともボフミエの華と今なずけたこの飲料を飲んで欲しい。」
言うとヘルマンはシェイクした。
金属容器をシャカシャカふる。
「パフォーマンスまであるのですか?」
興味津々とクリスは言う。
そして、振り終わるとクリスの前のかわいい赤いグラスにその液を入れた。
「香りはフルーティですね。」
クリスが言う。
「ボフミエ産のオレンジが入っているのです。」
「護衛の方もどうぞ。」
フェビアンが同じものをメイに渡す。
二人が口に含んだ。
その時に入口の扉がヘルマンの指示で閉まる。
クリスは喉が熱くなった。
そして一瞬で意識が飛ぶ。
そして ドンっと
すさまじい力がクリスを中心に発現した。
閉めた扉が吹っ飛んでいた。
やっとシャラザール降臨
ボフミエの王子の命はいかに








