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婚約者が他の異性と抱き合っていました

コロナで厳しい今日この頃

日頃のうっ憤晴らすたような

最後はスカッとハッピーエンドになる物語にするつもりです。


「クリスティーナ・ミハイル。貴様との婚約をここに破棄する」


皆が楽しんでいる王立学園のサマーパーティ会場において、突然、クリスは皇太子に指さされて宣告された。


それもこんな皆の前でだ。


一瞬クリスは目の前が真っ白になった。


そうこの話は悪役悪徳令嬢がはかなげな娘をいじめにいじめて挙句の果てに皆の前で


その悪事の数々を暴かれ弾劾される話のはずである…


多分・・・・・





物語はこの宣告された日からさかのぼること3日前から始まる。


夏の初め、王都マーレはそろそろ暑くなり始めた時だった。


その夕暮れ時。


「!」

その場面を見てクリスティーナ・ミハイルは固まっていた。


ショッキングピンクの髪をした小柄な少女を青い髪を伸ばした美形男子が胸に抱きしめていたのだ。


少女は肩を震わして泣いているようだったが、夕日の光がキラキラと水面に反射する湖面をバックに抱き合う二人は絵になってていた。


普通なら何てきれいなのだろうと二人を呆然と見とれていただろう。


その相手の一人が自分の婚約者のエドでなければ。


慌ててクリスはその場を離れた。


うっすらと気は付いていた。


婚約者がピンクの髪のマティルダ・アーカンソー公爵令嬢とよく一緒にいることに。

最近婚約者が冷たいとも感じていた。

でも彼皇太子エドとは10歳からの付き合いだった。

この王立高等学園でも2年と3ヶ月の付き合いだった。


王立高等学園。


貴族の子弟の多くが通う学びの学園。


各地にある10の中等学園から優秀な生徒を集めた高等教育の最高峰の一つ、


政治学から魔術や礼儀作法まで学ぶ全寮制の教育機関だった。


大半の貴族と一部の優秀な平民からなる学びの苑であった。


クリスティーナ・ミハイルはミハイル侯爵家の長女で皇太子エドワード・マーマレードの婚約者だった。


二人はお互いに愛を育みながら勉学に励んできたはずだった。


最近は授業後の皇太子教育、皇太子妃教育の為にお互いに会える時間はほとんど無かったが、


それでもお互いの心は繋がっていると思っていた。


そんなクリスだったが、最近は婚約者がピンクの髪の令嬢マティルダ・アーカンソー公爵令嬢といることが多いと気づいてはいた。


いつもは冷たい印象を与えるエドの顔が笑みを浮かべているのを時々見ていた。


最近は自分にほとんど向けてくれない笑みだ。


でも、今まで8年間も婚約者でいたのだ。


自分が裏切られる訳ないと。


単なる気まぐれだと思っていた。


自分の皇太子妃教育と高等学園の課題の多さで最近はアップアップでエドとの時間が少なくなっていたのは事実だ。


でも、自分ですら抱きしめられたことなんて無かった。それがあのぽっと出の公爵令嬢と抱き合っているなんて。


何も考えられずに慌てて寮の部屋に帰ろうとして、カバンを教室に置いてきたままなのに気づいた。


教室の中にはまだ5、6人が残って課題をしていた。


その中クリスは自分の机の前まで来て呆然とした。


机の上にはカバンが逆さになっていた。


中身がぶちまけられていて教科書やノートが踏みつけられた足跡まであった。


教室にいた者たちが笑うのを感じた。


ちらりと周りを見ると公爵家の取り巻き令嬢とその婚約者たちだった。


そこへ人が入って来る足音がして、クリスは慌てて拾い出す。


「どうしたんです。」


入ってきた男性スティーブン・スミスが聞いてきた。

北部から来ている優秀な生徒だと認識していた。

貴族ではなくて平民の出身だと。


王立高等学園は基本は貴族も平民も無く平等だったが、平民の男性が貴族の令嬢に話しかけることはあまりなかった。


クリスは特に皇太子の婚約者だったので他の異性とは意識的に避けてきたこともあり話したことはほとんど無かった。


「ありがとうごさいます。スミス様。ちょっと手を滑らせてしまって」

クリスは誤魔化した。


「えっ。でもこれってひどくないですか」

拾うのを手伝いながらスミスが教科書についた足跡を見る。


「あーら。ミハイル様。平民の男を持ち前の色気で捕まえられましたの」

突然座っていた女が話してきた。確か公爵家の取り巻きの一人で男爵家の令嬢のはずだった。


「これはこれはメーソン様。この方はご親切にもあなた方が踏みつけた教科書を拾っていただいた方ですわ」

クリスは反撃した。


「なんですって。私たちがやったというの」


「私が来た時にいらっしゃったのはこの6名の方ですし、こんなことになっているのを放っておくなんて普通は信じられませんもの」


「いえ、そんなこと気付かなかったわ」

慌てて男爵令嬢は言い訳しようとした。


「ほう。こんなに散らかっていたのに気付かなかったなんてよほどお目が悪いのかしら」

クリスは人の悪い声を出して聞いた。


「そんなの知らないわよ。行きましょう」

慌ててカバンにしまうとそこにいた男女は慌てて出て行った。


「あのままにしてよかったんですか」

スミスが聞く。


「こんな初歩的ないたずらなんて、慣れているわ。手伝ってくれてありがとうございます。スミス様。」

「いえ、こちらこそ、平民風情が手伝ってあなたの名声に瑕がついたかもしれませんが。」

困ったようにスミスが言った。


「そんなことないわ。勇気を出して手伝ってくれてありがとうございました。あなたこそ変な噂を立てられたら御免なさい。」

立ち上がってクリスは謝ると、あまり異性と仲良くするのも良くないと思い礼をすると部屋を出た。


婚約しているものが異性とあまり接触してはいけない。

クリスはエドとの関係で酷聞を流されるとまずいと思って行動を律していたのに。


もっともその婚約者が異性と抱き合っていたが。


クリスの心は沈んでいた。


部屋に帰っても食事もとらずにベッドに横になっていた。


「うじうじ考えていても仕方がないわ。

とりあえず寝よう」

寝る子は育つ。

クリスの父がいつも言っていた言葉だが。

明日は明日の風が吹く

クリスは眠りについた。

クリスは良く育つ子だった・・・・・・・


たくさんある話の中からこのお話選んでいただいてありがとうございます。

がんばって更新していくのでブックマークして頂けるとありがたいです。

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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
この話の

シリーズ一覧

はこちら

『シャラザール帝国』

https://ncode.syosetu.com/s1987g/
クリスとシャラザールのお話です。

この話が電子書籍化されました

3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【10/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【11/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【11/19発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

第2巻『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■第2巻【9/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■第2巻【10/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■第2巻【10/19発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/


第1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』

表紙画像
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■第1巻【8/26シーモア先行配信していたものは、3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■第1巻【9/20発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■第1巻【9/20発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

私のお話

【書籍化】

しました!
アルファポリスのレジーナブックスにて

『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


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手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

私の

新作小説

はこちら!

『ヒロインに躱されて落ちていく途中で悪役令嬢に転生したのを思い出しました。時遅く断罪・追放されて、冒険者になろうとしたら護衛騎士に馬鹿にされました。護衛騎士と悪役令嬢の恋愛物語』

https://ncode.syosetu.com/n0185hu/

公爵令嬢キャサリンは憎き聖女を王宮の大階段から突き落とそうとして、躱されて、死のダイブをしてしまった。そして、その瞬間前世の記憶を取り戻するのだ。そして、黒服の神様にこの異世界小説の世界の中に悪役令嬢として転移させられたことを思い出したのだ。でも、こんな時に思いしてもどうするのよ! しかし、キャサリンは何とか、チートスキルを見つけ出して命だけはなんとか助かるのだ。しかし、それから断罪が始まってはかない抵抗をするも隣国に追放させられてしまう。
「でも、良いわ。私はこのチートスキルで隣国で冒険者として生きて行くのよ」そのキャサリンを白い目で見る護衛騎士との冒険者生活が今始まる。
冒険者がどんなものか全く知らない公爵令嬢とそれに仕方なしに付き合わされる最強戦士の恋愛物語になるはずです。ハッピーエンドはお約束。毎日更新目指して頑張ります。

私の

イチオシ

の小説はこちら

『好きになったイケメンは王子様でした~失恋から始まるシンデレラ物語・悪役令嬢もヒロインにも負けません』

https://ncode.syosetu.com/n2724hj/

平民で薬屋の娘リアは幼馴染のカートの勧めで特技を生かして王立学園に行くことに。でも、そこには王子様やお貴族様がいて、出来るだけ避けようとしたのに、何故か王子らと親しく?なってドンドン深みにハマっていきます。悪役令嬢や可愛らしい女の子が何を勘違いしたのかリアに絡んでくるけれど、リアが好きなのは王子ではなくカートなのに。でもそのカートの動きも怪しくて・・・・
カートの正体がわかった時、リアは・・・・。
王立学園で繰り広げられるドタバタ恋愛・シンデレラ物語。

ネット小説大賞運営チーム様から感想いただきました。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 「机の上にはカバンが逆さになっていた」 もう帰宅するところだったのなら、鞄を教室に置いて、なにうろうろしていたの?
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