0-4話:脱走と逃走
神気…はるか昔に神が残した神力の欠片
破壊の神気:全てを破壊する力
再生の神気:全てを再生する力
想造の神気:全てを想造する力
ガタガタガタガッタガガッガッタガタガタガタ–––––
日が暮れて輝く星が無数に散らばった空を優真は
馬車の荷台から黄昏ていた。
優真
「どの世界でも夕暮れは綺麗なんだな…。」
〜5時間前〜
優真
「あの、すみません。この付き添いは乗らず、
僕だけなんですけどリュンヌ帝国まで
乗せてってもらえませんか?」
馬車主のおっさん
「ん?この馬車は貿易用だから坊主を乗せることは
出来ねぇんだ。すまねぇな。」
優真
「どうにかなりませんか?」
馬車主のおっさん
「どうにかって言われてもなぁー。」
雛
「残念だねー、勇者Y君。この近くのホルプス平原で
魔物が大量発生しているらしいくて危険だから
様子を見ようと思ったんだけどー。」
馬車主のおっさん
「ゆ、ゆ、勇者様!?これは失礼致しました!
ど、どうぞ!荷台でよろしければ!」
グッ
さすが古坂。
雛
「大体ここから帝国まで10日ぐらいかかるから
気をつけてね、優真君。」
優真
「ああ、分かった。古坂もな。」
雛
「うん。…おじさん、お願いします。」
馬車主のおっさん
「はいっ!お任せくださいっ!」
バシッ!
ヒヒィィイイーーーン!!
ガッガタガタガッタガタガタガタガタタッガタ–––––
優真
「…ていうか10日って結構なげぇな。
まあ、暇だけどしょうがねぇか。」
ガタッ!!
急にブレーキがかかり一瞬身体が浮く。
優真
「うぉっ!び、びっくりしたー…。」
馬車主のおっさん
「ゆ、勇者様!!ダイアウルフの群れが…!!」
優真
「ダイアウルフ!?」
そこには30匹ほどの大きいやつで2mを超える
ダイアウルフの群れが馬車の前方に立ち塞がっていた。
馬車主のおっさん
「魔物の生息地からかなり外れた道を
通ってきたはずなのに…!」
東は帝国でダイアウルフの群れ。西は王国に逆戻り。
北は海で行き止まり。だったら…
優真
「とりあえず逃げましょう!
南方のコラス山脈の方角にとにかく!」
馬車主のおっさん
「は、はい!わかりました!!」
ガッガタッガタッ–––––
再び馬車を走り出す。
ダイアウルフの群れ
「ウオォォォオオーーーーーン!!」
ダッダッダッダッダッ!!
ダイアウルフの足の速さは最速で100km…。
それに対してこの馬車は50kmあるかないか…。
このままじゃすぐに追いつかれる…。
せめておっさんだけでも…何か策は…。
…っ!!
馬車主のおっさん
「勇者様ー!!ダイアウルフの群れが
もうすぐ後ろまできて–––––」
優真
「おじさん!この肉の塊もらっていいですか!」
馬車主のおっさん
「いいですが何に使うのですか!もう時間が!!」
優真
「僕が合図したらすぐに左に急カーブして全速力で
帝国に向かってください!僕のことは心配せずに!」
一か八か。やるしかない。
人の胴体ほどの大きさの生肉の塊を抱え、
荷台の淵の方に立つ。
ダイアウルフの群れ
「ウオォォォオオーーーーーン!!!」
優真
「今です!!!」
馬車主のおっさん
「はい!!!」
ギィィィイイーーーガタッガタガタガタッ!!!
ダッ!!
優真が思い切りジャンプし、肉の塊を下にして
地面に着地する。
ゴロゴロゴロゴロゴロ…
優真
「ゔぅぅ…。」
やばい…!やっぱり全部の衝撃は防げなかったか…!
ダイアウルフの群れ
「ウオォォォオオーーーーーン!!!」
ダッダッダッダッダッ!!!
よし、こっちに興味を持ってくれた。
肉の匂いのおかげか…。
馬車主のおっさん
「大丈夫ですかー!!」
優真
「大丈夫ですから早く帝国の方へー!!」
馬車主のおっさん
「わかりましたー!!どうかご無事でー!!」
よし、あとはもう…
スッ…
ポイッ…
痛くて痺れる身体を無理やり起こし、
肉の塊をダイアウルフの群れの方に投げつける。
タッタッタッタッタッ!!
アイツらはきっと馬車に積んである食料を狙って
追ってきた。ならば腹が減っているはず。あの肉の
塊に食らいついている隙に早く遠くに逃げt–––––
ガシュッ!!!
優真
「ぐぁはぁっ!!!」
飛びついてきた一番大きなダイアウルフが
優真の右腕を噛みちぎる。
う…腕が…消えた…?いや…食われた…。
まあ…そりゃそう…だよな…。
あの肉の塊…よりも…俺の方が…でかい肉の塊…
だもんな…。死ぬのか…ここで…。
ダイアウルフの群れ
「グルルルルル…。」
…………………………。
ダイアウルフの群れ
「…クゥゥゥン…。」
タッタッタッタッタッ…。
突然ダイアウルフたちが一斉に帰っていく。
な…何でだ…?…とりあえず…遠くに…
優真
「ぐぅぁぁあ!!…痛ぇえー!!」
クソッ…!アドレナリン…!仕事しろよ…!!
優真
「どこか…休める場所は…っ!あそこなら…。」
優真の目と鼻の先の1kmぐらい先に洞窟が見える。
優真
「異世界だからって…休んだだけで腕…
生えてこねぇよな…。ははっ…。」
耐えろ…俺の身体…。
次回…0-5話:封印されし者
ダイアウルフ 魔獣 肉食 夜行性
狼のような姿で灰色の毛が生えている。
通常は温厚だが、極度の空腹になると凶暴になる。
体長1〜3m
体重200〜500kg
足の速さ80〜100km




