0-3話:静かな牢獄
EMOTIONの原稿の復元も頑張らなきゃな…。
王城地下牢獄
ガシャ、ガシャ、ガシャ、ガシャ、ガシャ–––––
鎧の音が螺旋階段に響く。
下位剣兵騎士
「まさか勇者様達の1人が悪魔だったなんてな。」
下位魔法兵騎士
「ああ、俺もおかしいと思ったんだよ。
人数も21人って微妙な数だったし。」
2人の見張り番の騎士が交代の為に地上への階段を
話しながら上っていた。
下位剣兵騎士
「あの悪魔はきっと勇者様達に紛れて勇者様達を
皆殺しにしようとしたんだ。そしてその隙に魔王が
この世界を…。」
下位魔法兵騎士
「魔王の手先か!?だとしたら今すぐにでもあの悪魔を
殺さねぇと!」
下位剣兵騎士
「それはダメだ。勇者様方がまだ殺すなと言っていた。
きっと何か策があるんだろう。」
下位魔法兵騎士
「さすが勇者様だ!」
ガシャ、ガシャ、ガシャ、ガシャ、ガシャ…
優真
「やっと行ったか…。」
優真は石でできたベッドと石の地面に穴を開けた
だけのトイレしかない、全体的にひんやりした
檻の中に入れられていた。
優真
「はぁー…なんで…こんなことに…。」
アイツを刺してしまった瞬間は正直怖かった。
けど何故かそのあと、"気持ち良かった"と
感じてしまった。仕返しというか復讐というか。
だけど俺は殺人未遂をしてしまった以上、
もう二度とあのクラスには戻れない。
もう、あのクラスには俺の居場所は無い。
いや、とっくに無かったか…。
優真母
「優真…ごめんね…。こんな身体に産んじゃって…。
本当に…ごめんね…優真…。」
優真父
「すまん…優真…こんなになるまで…我慢させて…。
父さんが…もっと早く…気づいていれば…。」
優真
「いいよ。お母さん、お父さん。泣かないでよ。
そんなに自分を傷つけないで。」
キキィィイイイーーー!!…ガジャン!!!
ピィーーーポーーーピィーーーポーーーピィーーー…
その数日後、母は車の運転中に心臓麻痺を起こし、
交通事故で死んだ。原因は過度なストレス。
そのまた数日後に父も死んだ。
こちらも過度なストレスと過労で交通事故。
呆気なかった。人は簡単に死ぬ。
優真
「母さん…父さん…死なないでくれよ…。」
全て俺のせいだった
優真
「お願いだから…俺を1人にしないでくれよ…。」
俺のせいで母さんと父さんが死んだ
優真
「俺の居場所が無くなっちゃうじゃんか…。」
俺は両親のことを利用していただけなんだ
自分を正そうとしていた
両親を利用して自分を正義にしようとしていた
何が自分を傷つけないでだ…!
何が俺を1人にしないでくれよだ…!
傷つけていたのは…
" 俺の方じゃねぇかよ………!!! "
優真
「俺は…悪魔…か…。」
???
「優真君は悪魔なんかじゃないよ。」
突然鉄格子の目の前から見たことのある人物が
話しかけてきた。女の声だ。
優真
「古坂!?」
ガチャッ キーーー…
雛
「助けに来たよ。行こう。優真君。」
優真
「え!?その鍵どうしたの!?
っていうか助けに来たって、何で!?」
雛
「さっき騎士さんとすれ違った時に盗んじゃった。
それに何でって…幼馴染みだから?」
優真
「理由になってませんけど…。
それより逃げるって言ってもどうやって…。」
雛
「今夜、リュンヌ帝国行きの貿易用の馬車が出るから
それに乗って逃げて。そこまで逃げたら多分王国も
追ってはこれ来れない。王国と帝国は一応貿易は
してるけど犬猿の仲らしいから。」
優真
「…随分この世界について詳しくなったな。」
雛
「異世界でも勉強は大事だからね!」
優真
「…いいのか?俺を逃して。
ほら、俺さっき沼川のこと刺しちゃったし…。」
雛
「正当防衛なんでしょ?」
優真
「…信じてくれるのか?」
雛
「あったりまえじゃん!
幼馴染み馬鹿にしないでよ!」
優真
「…ありがとう。古坂。」
ポッ
雛
「ほ、ほらっ!早く行こう!もう馬車でちゃう!」
雛の顔が若干赤くなる。
優真
「…うん。行こう。」
雛
「あっ!あとこれ!」
雛が眼帯を優真に渡す。
優真
「…さんきゅ。」
雛
「どういたしましてっ。」
タッタッタッタッタッ……………
次回…0-4話:脱走と逃走
いや、牢屋のセキュリティーガバガバやんっ!
って思った方…違いますよ。ニヤッ