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魔剣使いの最凶冥王―ワールドアブソリュート―  作者: 神薙リンシア
第4章 学園対抗競技祭〈フェネクス〉編
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第36話 雲海

はい。色々あり、遅くなりました。

ですがそれ程完成度は変わっておりません。それどころかこの話の文字数が二千とちょっとという短い話となってしまいました。誠に申しわけございません。


「久しぶり、フウマ君」

その言葉に俺は返答が出来なかった。


「あれ?無視?無視はよくないなぁ・・・」

そう言い俺に一歩ずつ近付いてきた。気付けば俺は一歩後退りしていた。ユキノは首を傾げ、頭上にハテナを浮かべていた。


「お、お前・・どうしてここに・・?」

俺は自然にそうユキノに問いていた。ユキノはきょとんとした顔になるとプッ、と噴き出し、大笑いした。ユキノはそのまま笑い転げ非常に苦しそうに笑っていた。俺は顔が熱くなっていることに気が付いた。恐らく顔が赤くなっているのだろう、そんな熱を顔に感じながらユキノが起き上がるのを待った。


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「さて、落ち着いたかな?」

そう隅っこで体育座りをしているユキノに声を掛けた。ユキノは手で真っ赤な顔を隠して更に俯く。


「・・・」

俺は何も言わずユキノの肩に手を置いた。ユキノは肩をビクッ、と振るわせるが、身じろぎする様子もない。そしてそのまま俺もユキノの隣に座った。


「なぁ、ユキノよ・・・」

そう不自然に声を掛けた。名前を呼ばれたためか、ユキノは此方を向いた。


「・・・俺はな、最強でも、無敗でも、天才でもないんだよ」

その言葉に驚いたのかユキノは目を見開き、俺の顔を見つめる。


(そんなに見つめられると照れちゃうぞ)

そんな先程のセリフが無駄になるようなことを考えているとはユキノは思っていないだろう。が、俺はそんな考えを断ち切り、ユキノの方に顔を向けた。


「俺は、ただの凡人だよ。そこらにいるような人間とな」

「そ、そんな事があるわけないよ!あんなにすごい量の魔力量だってのに!」

そのユキノの言葉は間違ってはいない。事実その言葉通りにカンストしたような魔力だ、だがそれがこの世界であれば・・・の話だ。


「ユキノは知ってるだろ?俺の故郷は地球っていう異世界。そしてそこには――」

「――魔法、というより魔力自体が無かった」

そこでようやく気付いたようで目をもう一度大きく見開いた。そう、元の世界には魔力が無い。ということは必然的に膨大な魔力を持っていようが持っていまいが気付かないし使う機会もない。


「あぁ、そうだ。いくら魔力があったって意味がない、だからあの世界では俺は凡人中の凡人。いようが居まいが変わらない、天才でも、最強でもないんだ」

そう答えると何を思ったかユキノが俺に抱き着いてきた。突然のことに俺は当たり前に動揺した。


「お、おい。どうしたんだ!?」

「ううん。何でもない。でも、なんか、もう会えない気がしたから」

そう言われ俺も腕をユキノの背中に回し、抱き締め返した。


「フウマくん、もう、泣かないで」

そう言われ、気付いた。俺の瞳から涙が出ていたのだ、そこで俺は我慢できずに声をあげて泣いてしまった。ユキノは俺の頭を只々無言で撫でていた。その間のユキノの体の異変なんて気付く余裕もなかったのだ。


「ありがとう、だいぶ楽になったよ・・・ッ!?」

俺がユキノから顔を離したときに俺はユキノの異変に気が付いた。


「あはは、気付かれちゃうか、流石に」

そう言うユキノの顔はどこか悲しげに見えた。ユキノの体に起きている異変とは、


「ゆ、ユキノ・・・か、体が透けッ!」

そう、ユキノが消えていってるのだ。


「ごめんね、もう時間みたいだ・・・最後に一つ、いいかな?」

「あぁ!訊いてやるから!最後とか言ってんじゃねぇ!」

ユキノの体を抱え、涙目になりながらユキノに言い聞かせる。


「ハハハ・・・邪神は――黒幕じゃないよ」

そう言い残してユキノは――消えていった。だが俺はユキノが消えたことよりも引っかかったことを口にした。


「邪神が、黒幕じゃ・・・・ない・・?」

ぽつりと、そう零したのだった。



 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


俺が目を覚ますと視界に映ったのは真っ白な天井だった。


「ああ、帰ってきたのか此処に・・・」

ふとそんなことを呟いた。実際この神殿(・・)に担ぎ込まれるまでの記憶が無いのだ。何かを見ていた気がするが・・・まぁ忘れるのだから大して重要でもないのだろう。そう考え、朧げに覚えている記憶を頭の片隅に捨てておくことにした。


「ってか誰か懐かしい人に会ってた気もする・・・」

再びそう考え始めるとそれを図ったように(・・・・・・)菜々が扉を開けて入ってきた。


「あ、お兄様。やっと起きたんだね」

・・・何か、会うたびに菜々の言葉遣いが変わっている気がするのはなぜだろう。俺は何かが引っかかった。そして――


「・・お前、一体()なんだ?」

思わずそう聞いていた。菜々は先程の微笑みを消し、怖いほどの無表情で俺を見つめていた。


「あぁ、悪い。お前は菜々だよな・・・・何か引っかかってな」

今感じたことを正直に話すと無表情だった菜々の顔が笑みに変わった。何だろう、今只ならぬ恐怖を感じたのだった。



 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



「やっと回復したのか」

あれから数日経ち、完全とは言えないが回復した。やっとベッドから出れると思うとついつい零してしまった。


「さ、外に行こ」

菜々に連れられ病室を出る。そこに広がるのは――雲海だった。


「え?」

自分の気の抜けた声が大空に忽然と響いた。

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