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魔剣使いの最凶冥王―ワールドアブソリュート―  作者: 神薙リンシア
第4章 学園対抗競技祭〈フェネクス〉編
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第30話 反転の魔剣

はい、四章突入でございます。


俺は今魔道学園地下の牢獄に昨日から閉じ込められている。理由は簡単だ。刀神とはいえ、転校生と結界発動前に戦い、殺したからだ。昨日から朝食、昼食、夕食の時間になると飯が運ばれてくるが、俺は一切それに手を出していない。そのせいで昨日から腹が鳴っているが気にしない様にしている。俺は水魔法を使い、水だけは飲んでいる。それでも水魔法で生成出来る水量は少ない。それは此処の壁が魔法を完全封殺できる素材を使っているからである。ふと鉄格子の向こう側を見るとノエルと衛兵が俺の居る牢の前まで来た。俺は顔を上げ、ノエルに皮肉を言う。


「・・・よう・・俺を見物にでもするつもりか?」

ノエルは顔を顰めるが、俺は関係ない、と言うように話を続けた。


「それとも、お前を脅した死神の末路でも見に来たのかい?」

するとノエルは杖を此方に向け、俺を威嚇する。


「おいおい、ノエル・・・アンタは動物にでもなったのか?」

俺の煽るような口調に堪忍袋の緒が切れたようで、俺に魔法を発動しようとするが、隣の衛兵に止められる。ノエルは苦虫を噛み潰したような顔になると俺に問いかけてくる。


「フウマくん・・どうして殺したの?」

それはもっともな問いだった。俺はそれに対して一言。


「俺の敵だったから」

そう即答するだけだった。ノエルは少し残念そうな顔をすると衛兵と共に去って行った。俺はノエルを一瞥するとストレージから『古式歩兵銃』を手入れする。数分が立ち、手入れを終えると、銃身を磨き始める。銃身を磨く音だけが地下に響く。そんな中、扉の開く音が響いた。俺は扉を一瞥すると視界に映った人物を鼻で笑った。


「・・・どうしたんだよ、風紀委員長」

俺は『古式歩兵銃』をコトリ、と置くと風紀委員長――リディアさんに向きなおす。


「フウマくん、貴方風紀委員に入らない?」

リディアさんは俺を突然勧誘した。俺は驚きを隠せず、口を開けたまま固まった。数秒間口を開けていると口が渇き、口を閉じると同時に目を閉じる。だがリディアさんは続ける。


「もし、入ってくれるなら此処から出してあげるわ」

その言葉を聞き、瞼を上げる。そしてリディアさんを見据え、答えを返した。



 ☆ ☆ ☆


~学園内廊下~


「おい、あいつだぜ」

「あいつか、生徒を殺したのは」

「え?あれ本当だったのかよ?」

「ああ、本当だよ、あの死体見ただろ?」

「いや、俺いなかったんだよ」

と、廊下のそこかしろからそんな声が聞こえてくる。俺はそんな声を気にせず、ズンズンと進む。そして歩みを止め、扉をノックする。ほどなくし、声が返ってくる。


「ああ、入ってきて」

俺はガチャリ、と扉を開け、立っているリディアさんの隣まで歩く。俺を見て集まっていた三人の風紀委員達は顔を顰める。俺がリディアさんの隣に立つとリディアさんは俺の紹介を始める。


「皆知ってる通りこの生徒は人を殺した。だが、こいつは反省し、風紀委員になる事を決めた」

その言葉を聞きながら俺は別の事を考えていた。

(反転の魔剣か・・あの剣の能力ってなんだろうか、反転と言うから何かを逆にするんだろうけど・・・うーん)

一つの怒声が俺の思考を打ち消す。


「信じられるか!!」

顔を上げ言葉の主を探す。言葉の主は直ぐに見つかった。最初に俺を見て顔を顰めた野郎だった。


「人一人を殺して何が信じろだ!!何が一緒に戦おうだ!!この人殺しッ!!!」

その瞬間俺は腰に挿していた『白夜刀シロキリ』を抜刀し、刃を野郎の首に押し当てた。その速さによって生まれた風はテーブルの上に置いてあった紙を吹き飛ばした。


「・・・・てめえは・・人を殺した事があるのか・・?」

そう、冷徹な声で問いかけた。その声に震えあがった野郎は慌てながらも、言葉を返す。


「そ、そんな訳ないだろう!!」

「まあ、そうだろうな。俺は昔――数えきれない程人を殺していた。勿論それはやむをえずだった。奴等には罪があった、殺人、暗殺、盗難、その他諸々。俺はそんな奴らばかりを殺した。だから、目を合わせた瞬間分かる。犯罪者か、そうではないかを・・・奴はその犯罪者だ。その被害者は俺の・・・幼馴染だ――」

その真実を知った野郎は顔を青くした。俺は話を続ける。


「――俺にとっては絶望以外の何物でも無かったんだよ・・・それを知らずによく『正義』を語りながら俺の事を『人殺し』と言えるな・・ッ!」

自分の抱えていた心中を打ち明けた。そして俺は『シロキリ』を納刀すると俺は絶対零度並みの冷めた目で見つめ、扉へ向かった。とそこへ声がかかった。


「待ちなさい。これをまだ渡してないわよ」

リディアさんは俺に何かを投げる。俺はそれを掴むと、掴んだ物を見る。それは校紋が刻まれた白いバッジだった。


「それは風紀委員副委員長を示すバッジよ、それを襟に付けときなさい。常にね」

俺はそのバッジを襟に付け、ドアを開けて退室した。


 ☆ ☆ ☆


風紀委員室を出た後中庭に移り、背中から『反転の魔剣アリス』を抜剣する。ジャリンッ、と澄んだ音を立てながら鞘から抜かれた『アリス』はエメラルドグリーンの輝きを放ち、魔剣というよりは聖剣と呼ぶに相応しい神聖な感じがするのだ。


「ところでこの剣の能力って何だろうな」

俺はそう呟き、『アリス』に魔力を注ぐが、特にこれと言って変わった様子は見られない。俺は頭の上に「?」マークを浮かべながら考える。と、そこへ【スロウスパイダー】が現れ、俺にスロウの魔法を掛ける。直ぐに『アリス』で【スロウスパイダー】を切り刻むが、一つの疑問が浮かんだ。


「あれ?少しだけ早く動けたな・・・何でだろう・・?」

俺は『アリス』に魔力を注いでいた事を思い出し、直ぐにステータスを確認する。


「あー、なるほど、状態が【スロウ】じゃなくて【クイック】になってるな」

俺は無駄に長いステータスを閉じ、『アリス』の魔力供給を断つ。すると少し動き辛くなり、時間経過と共にその感覚は薄れて行った。そして『アリス』を納剣するとストレージへと送り、代わりに『銘無しの刀』を装備し、自分の教室へ戻る。とそこへ見知った人物が中庭に入ってくる。その人物は俺を発見するとパアッ、と花が咲くような笑顔を作り俺に飛びついてきた。


「お兄様!」

俺は奈々を受け止めると「全く・・・」と呟くと奈々を下ろし、奈々の同級生に挨拶した。


「どうも、妹の奈々がいつもお世話になってます」

俺はスマイル100%で話し掛ける。すると女子生徒はポカーン、として頬を赤く染めた。


「あ、え・・っと、はい!」

あまりの慌て様に首を傾げた。奈々は溜め息を吐き、小声で呟いた。


「・・・この天然女たらし」

「・・ん?何か言ったのか?」

「いいえ、別に」

そっぽを向いた。事にまた首を傾げる。


「あ、もうすぐフェネクスですね」

俺は「ああ」と言うと、予鈴が鳴った。女子生徒は「あ・・」と声を漏らし奈々に駆け寄る。


「ナナ!早く行かないと授業に遅れちゃうよ!」

奈々は此方を向くと、制服のスカートを摘み、少し上げ、貴族のような挨拶?をし、走って行った。俺はそれを見送ると空を見上げ、呟いた。


「・・・もうそんな季節か」


 ☆ ☆ ☆


教室に戻ってきた俺は『銘無しの刀』を机に立て掛け、机に突っ伏しながらリンシア先生の話を聞く。


「フェネクスまで残り一ヶ月となった。そして明日から訓練禁止令が解除される、なのでこれから競技の選手決めをする。まずは『テイマートーナメント』という種目からだ、出てみたい者はいるか?」

(ふむ、『テイマートーナメント』か・・・ま、俺が出たら直ぐ片付くけどな)

そんな無双している自分の姿を想像していると突然俺の名前が呼ばれる。


「ナツイ、お前はアルキュール魔道学園代表の生徒だ」



・・・・・・・は?


俺の思考は暫し止まった。


「ああ、勿論『テイマートーナメント』の方では無くてだよ?」

訂正するように言葉を続ける。

(どういうこっちゃ?)

俺は頭上に『?』を浮かべながら首を傾げる。


「君の出る競技は『学園対抗戦闘トーナメント』だよ」

再度俺の思考がフリーズした。


 ☆ ☆ ☆


俺は先程リンシア先生から差し出された名刺の様な物を眺めながら三階の廊下を歩く。現在俺は三階廊下奥の会議室に向かっている。そこは『学園対抗戦闘トーナメント』のアルキュール魔道学園代表生徒を集めるらしいので今向かっているということだ。と、丁度扉が見え、ドアノブを握る。そしてドアノブを捻り、扉を開け――真正面から飛んできた矢を右手で掴む。


「全く、何か恨みでもあるんかね?」

俺は部屋の中にいる代表者達に問いかける。すると奥から筋骨隆々の男が出てきた。その身体に俺はほう、と感心したような声を出す。そしてその男が右手を出してきた。


「俺は三年生代表のディラルク・ホフスだよろしく頼む」

俺は右手でディラルクさんの手を掴むと握手をする。そしてディラルクさんは背を向ける。恐らくは付いて来いと言っているのだろう。俺は何も言わずディラルクさんに付いていく。すると白い扉が現れ、ディラルクさんが白い扉をガチャリ、と開ける。その部屋には白く丸いテーブルにセットだと思われる白い椅子が五脚テーブルを囲むようにして置いてあった。ふと、椅子に座る人物達に視線が向く。そしてその椅子に座っている人物の一人が口を開く。


「よう、お前が一年生代表か・・何かヒョロイな」

「この失礼な人は?」

「ああ、そいつは二年生代表のセドリア・キャデリーズだ」

ディラルクさんが親切に教えてくれた。優しい。


「どうもよろしく」

そう言って差し出された右手には覇気が纏っていた。俺は微笑を浮かべるとセドリアの右手をとり、握手した。そして人一倍目立つ容姿の少女に視線を向ける。少女は読んでいた本を閉じ、此方をジッと見つめ、ハッ、と鼻で笑った。


「貴方、弱すぎでしてよ」

辛辣な言葉を言い放った。俺はその言葉に何故だか苛立ちを感じた。俺は自分の名前の書いてある椅子に座ると、ディラルクさんとセドリアが椅子に座った。そして奥から男の声が聞こえ――


「よし、これで全員揃ったな。じゃあこれから『五天会議』を始める」

――と会議開始を宣言した。





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