第2話 嫁は魔剣
今回は少々短いです。
誤字等がありましたら教えて頂けると幸いです。
聖剣引継ぎの儀が始まった。
「勇者ユウトよ、その台座に刺さっている聖剣を抜くのだ」
此処は城の中庭、俺達の世界で言うステージがある場所だ。
やはり俺が思った通り聖剣を抜く為のショーだった。
某ドラマの勇者みたいだな・・・。
まぁ、アレみたいに触っただけで落ちるなんて事は無いから大丈夫・・・多分。
村人は仕掛けてないから大丈夫。
それから何秒かしてステージにユウトが上がってくる。
そして聖剣の柄を握る。
その直後、聖剣と台座が光りだし、集まった貴族を包み込んでゆく。
一人を除いて。
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気づいた時には俺が光によって吹き飛ばされていた。
それ自体を把握するのにそこまで時間はかからなかった。
だがもう一つ、光は俺を押し飛ばしたのではない。俺を"弾いた"のだ。
そこまで考え直ぐに受け身をとる。それが良かったのか怪我一つしなかった。
突然吹き飛ばされた俺を不思議に思ったのだろう、周りは俺を心配そうな顔で見ていた。
勿論ユウトも見ていた。
おい、お前は早く聖剣を抜けよ!
「フウマ殿、いきなり後ろへ飛ばされたが大丈夫なのか?」
真っ先に声をかけてきたのは王様だった。
よく見ると驚愕に目を見開き心配そうな顔だ。
「大丈夫です」
そう答え直ぐ聖剣のある方を見る。
ユウトは既に俺の方を見てはいなく聖剣を引き抜いているが、まだ聖剣が完全に抜けたわけではない。
またもや光の波動が俺を襲った。
今度は光で俺を殺すつもりらしい。
その時ふと思った。
何故此処まで俺を執拗に殺そうとしているのか?
そこで俺は時間魔法を使った。誰にも悟られぬ様に。
「『情報処理』」
そして解析が完了した。
聖剣が消そうとしているのは魔剣と契約した俺という人間だ。
つまり俺はこの場には居てはいけない人間なのだ。
そう理解し俺はステージ、聖剣から遠ざかる。
遠ざかったその時。
「聖剣が抜けたぞ!!」
と言う誰かの声を聞いた。
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その日俺は夢を見ていた。
聖剣と魔剣。
俺とユウトが戰う夢を。
俺は当然の様に魔剣を顕現させ、聖剣を引っ提げたユウトと剣を交えている。
なるほど、これはヴィジョンなのか。俺とユウトが戦った場合の。あのままステージにいた場合の。
でも良く考えるとおかしい点が幾つもある。
何故俺は魔剣を顕現させているのか。
何故ユウトが俺と互角に戦っているのか。
そして魔剣から出ている黒いオーラは何なのか。
どう考えてもおかしい。
そう思った直後目の前が真っ暗になる。
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周りが明るくなり。周りを見渡すと神殿の様な建物に居ると気付く。
「此処は何処なんだ・・・・でもこの景色何処かで・・・・」
そう呟いた時。
「此処は魔剣グリムガルドの中よ」
そう透き通る様な声が何処かから聞こえた。
「誰だ!しかもグリムガルドの中?どうして俺はこんなとこに!」
「・・・質問は1つずつ・・・ね?」
その声と共に虚空に黒いモヤが発生する。
そのモヤの中から少女が出てきた。
「私が魔剣グリムガルドよ、でもこの姿の正式な名前は無いわ」
その少女の容姿は銀髪、目の色は片目が青、もう片目は金のオッドアイと言うやつだ。
背は恐らく168cm。服は真っ白なワンピースだ。胸は絶対にDカップだ!間違いない!
「なるほど、今回の主様はちょっと変態・・・っと」
いつの間にか持っていた紙にこれまたいつの間にか持っていた羽ペンで書いている。
「変態ってなんだよ!俺は変態じゃねぇ!」
「じゃあ逆に聞きますけど変態じゃないのに目で見ただけで何故正確に胸の大きさがわかるんですか?」
ジト目で見ながら顔を少し隠しながら言う
何この可愛い生き物。
更に顔が赤くなったのも評価すべき点だ。
「まぁ、良いです。では本題に入ります、貴方は私と契約するつもりはありますか?」
隠していた顔を出し、真面目な顔で問われる。
「メリットは?」
「メリット私を顕現させている黒魔法が使えるようになります」
ほうほう、黒魔法か。夢があるな!
「デメリット」
「デメリットは顕現していない時は常に私が外に出ます」
外に出る?・・・ん?
「えっと、外に出るってのは具体的にどゆこと?」
「外に出るというのはつまり現実に現れるということです」
っしゃ来たぞこれ!つまりあれだよな?一緒に旅に出る事も出来るんだよな!!?
神様有難う御座います。
「あ、主様?突然黙られてどうされたのですか?もしかして私が外に出るのはだめでしょうか?」
困った顔で聞かれる。
「いやいやいやいやいや、こんな美少女と居れるなんて最高だよ!」
後から気付いたがロリコンの言い回しだった。
「び、美少女なんて・・・えへへ」
めっちゃ嬉しそうだった。両手を頬に当てクネクネしてる。
ねぇ抱きついて良い?
「あ、そうです契約を」
「えっと・・・・契約のやりかたって?」
「えっと・・・・あのですね・・・」
グリムガルド(仮の名としておく)は目を逸らし顔を赤くする。
「き、キスです」
ボソボソと言う。
「えっと・・・何?」
「き、キスをするんですってば!何回も言わせないでください!」
顔を真っ赤にし大声で言う。
「え・・・キス?」
「そ・・・うですよ」
「えっと・・・・これまでは何人?」
「そんなビッチみたいに何回もしませんて!」
怒られてしまった。
「でも前に主が居たんだろ?そんとき契約は?」
「その主様とは契約はしていません」
なんとびっくり前の主とは契約はしてないんだそうだ。
ん?って事はファーストキス?
「そうですよ!正真正銘ファーストキスですっ!」
更に顔を真っ赤にし叫ぶように言った。
え?考えを読まれて?いやでもファーストキス・・・・。
「結婚してくれ」
何故この言葉が出たのか今でもわからない。
「ふぇ・・・?」
素っ頓狂な声を出すグリムガルド。
「あとグリムガルドじゃなくて今日からユキノな?」
一気に畳み掛ける俺氏。
「け、けけけけけ結婚!?」
やっと思考が追いついたらしく慌てだした。
「し、しかも名前まで!?有難う御座います主様」
後半涙ながらにお礼を言ってきた。
「で、返事を貰えるかな?」
「勿論、末永くよろしくお願いします」
その直後ユキノにキスをされた。
魔剣が俺の嫁になった瞬間であった・・・。
「あ、ユキノ、あと一つ頼んでいいか?」
「なんでしょう?」
「主様ってのはやめてフウマって呼んでくれると有りがたいんだが、あと出来れば敬語をやめて」
ユキノはびっくりした顔をし、笑って
「はい」
と言ってくれた。
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「フウマ~起きて~、ユキノですよ~」
ふいにそんな声が聞こえてくる。
薄目を開けると困った顔をしながら俺の体を揺らすユキノが見える。
「そろそろ起きないと悪戯しちゃうよ?」
ユキノがニマニマとしながら体を揺らすのを止める。
「・・・・」
俺は寝た振りを貫き通した。
何分か経った頃ユキノが明らかに動揺しだした。
「どうしよう、フウマが起きない・・・回復魔法士に頼んで何とか!」
「わぁぁぁぁぁぁ!わかった!起きるからそれはタンマ!」
これ以上するとユキノは本気で魔法師を呼んできてしまう。
「全く、起きてるなら言ってください。本気で心配したんですからね」
頬を膨らませ腰に手を当て、怒る。
ほんとにこんな事しながら怒る人って居るのか。
可愛い。
「そろそろ朝食の時間らしいので早く行きましょう」
「ああ、わかった・・・・ん?待て」
俺に背中を向け部屋から出て行こうとしたところを呼び止める。
「なんでしょうか?」
部屋の扉に向けていた顔をこちらに向け、コテンと首を傾げる。
あああああ!抱き着きたいこの笑顔!
「ん、このまま行くとクラスメイトが必ず突っかかってくる」
「どうしてですか?」
あれ?この子わからないのかな?
「ただでさえ可愛い女の子を連れてたら誰だって嫉妬する....ん?どうした?」
ユキノは顔を真っ赤にし目を逸らす。
「な、なんでもありません!」
プイっと顔をまでも逸らしてしまった。
「お、おう。・・・あ、んでどうするかだけど何かしてきたら武力行使で」
「はい、わかりました。突っかかってきたら殺るんですね!」
「殺りません。」
ユキノに手の平を向け否定する。
「懲らしめるだけかな」
「なるほど、苦しめるんですね!」
もうやだこの子・・・。
可愛いから良いですけどね!
「聞かれたら嫁って答えれば良いだろ」
「な、なるほど」
またユキノは赤くなっている。
よく顔が赤くなる奴だな。でもそこが可愛いんだけどな。
「よし、行くぞ。遅れると面倒くさい」
「はい!」
俺達は食堂に向かって歩いて行った。
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案の定、俺達が食堂についた時男子達の嫉妬、殺気等が含まれた視線を全身に浴びた。
ふむ、女に飢えた男達の視線ってこんなにヤバイんだな。
そう思っていた矢先、ユキノに声をかけてきた者が居た。
「なぁ、そんな奴より俺と付き合わねぇか?良くするぜ?」
とユキノを口説く奴はなんとなく想像できた。
小峰川だ。そして小峰川の後に居るのは俺を馬鹿にした奴等の中の4人だ。
うん、関わるのは面倒だし、スルーしよう。
「お断りします。」
ユキノはそう言った。
うん!よく言ったそれでこそ俺の嫁!
だが言われた張本人は激おこ(笑)状態。
「・・どう丸め込まれたかはわかりませんが、そいつは最弱です」
と、怒り半分ドヤり半分の顔で言っている。
まぁ、それで通ってますが実力を見せたら絶対に旅を邪魔されるのでやめてるんですよ。
だがユキノは少しの間驚きの表情をしていたが、直ぐに笑った。
「ふふふ、おかしい事を言いますね。フウマが最弱なら貴方達はゴミ以下ですよ」
そんな事を笑いながらユキノは言った。
その言葉に食堂に居たクラスメイト全員が固まった。
2話にして嫁登場!
嫁第一号は魔剣のユキノちゃんですね!
適度な胸の大きさ!オッドアイ!良いですねぇ。
現実世界に居ないでしょうか。