第1話:現実のおわり
ようやっと、本編です。短いんで、できれば読んでください。
それでははじまり、はじまりー
「…おい。なんだよ、これ…。いったい、なんなんだよ。」
少年は黒い服をきた両親やクラスメートや妹、そして写真をみて震える声で立ち尽くした。
3月31日午後7時31分のことだった…。
◆◆◆◆◆◆
その少年、蒼井 瞬がいつもと違う周りの様子に気がついたのは、高校の授業が始まってからのことだった。
まあ、朝起きたら、妹の優香の部屋から、すすり泣くような声が聞こえてきたこととか、席に座っても、いつもみたいに幼馴染の智樹がからんでこなかったこととか、あとから考えれば、おかしなことはたくさんあったんだろうけど。
小学生の優香が、怖い夢をみてすすりなくことなんかしょっちゅうだったし、智樹がからんでこないことだって、10日に1回くらいはあったから、俺は変だなんて思わなかったんだ。
だけど、授業中に隣の長谷川さんに話しかけたときに、無視されたのは変だなって感じた。
ぶっちゃけ、俺は長谷川さんにほれていたから。
それはまったく、俺の片思いなのだけれど。
…それでも、俺はずっと彼女のことを見ていて。
だからこそ、だれよりも優しい彼女が俺のことを…こほん、人のことを無視するなんて信じられなかった。
だから、俺は俺の長谷川さんへの気持ちを知ってる智樹に、無二の親友に、無視された次の休み時間に聞いてみたんだ。
「なあ、俺って、なんか、長谷川さんの気に障るようなことしたかなあ?」
って。
そしたら、智樹は俺のことを冷たい、気持ち悪いものを見るような目で見ながら
「………はなしかけてくんな。」
って言った。
俺はもう、わけがわからなかった。
おちゃらけてはいるけど、俺が悩んでるときには、いつも真剣にアドバイスをくれた智樹がそんなことを俺に言うなんて。
どんなにテストでいい点数をとっても、決して人を見下したりしなかった智樹が、そんな目で俺を見るなんて。
他の人から見れば、きっと(なんだ、そんなこと)って感じのことなんだろうけど。
すくなくとも、俺には、なによりもこたえたんだ。
その日はそっから後はあんまり覚えてない。…それぐらいショックだった。
授業なんか、ほとんど、頭ん中には入ってこなかったし、高校では本当は、禁止されてるバイトも無断で休んだ。
で、公園のブランコに座って、7時くらいまで、ぼーっとしてたんだ。
でもまあ、そのころになると、俺もいくらかは落ち着いてて。
(いつまでもこうしてても、しょーがないし、明日になったら、智樹に訳をきこう。)
って、いくらか前向きに考えられるようになってた。
そんで、帰りの電車にのると、なんか喪服を着た人が多く乗ってて。
その人たちはみんな、俺と同じ駅でおりたから、
(このへんで、だれか死んだのかな)
なんて軽く考えてた。
でも、その人たちが俺の家のほうに向かってくのをみて、すごくいやな感じがした。
ああいうのを虫の知らせっていうのかな。
そんときになると、俺、朝、優香が泣いてたのとか思い出して、急いで家に向かって走った。
もしかしたら、優香に何かあったのかもしれないって、…死んじゃったのかもしれないって、そう思って。
優香が死ぬのなんか考えられなかった。
いっつも、なにかといっては俺にまとわりついてきてた優香が死ぬなんて、それこそ、俺にとっちゃ、悪い夢だ。
そう思ってた。
でも、やっぱり、喪服の人たちは俺の家にはいっていった。
俺が急いで、中に入ると、黒い服を着たたくさんの人たちがこっちをみて、ぎょっとしたような顔をした。
先生、父さん、母さんに長谷川さんや俺のクラスメート、智樹、…そして優香。
(あれっ)
て俺は思った。だって、俺は優香が死んでるのかもって思ってたから。
それで、遺影をに目をむけると、今度は俺がぎょっとする番だった。
だって、遺影にかざられてるのは………
…俺だったから。
とりあえずは、第1話です。まだほんのさわりなんで、これから、少しずつ異世界にもってこうかと思ってます。