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プロローグ

初めての方は初めまして、kaiserです。

自分洞窟民ですが、東方解禁と聞いたので、新しく小説を投稿したいと思います。


それでは、始まり始まり……。

~out side~



まるで紫色の絵の具を水に垂らした直後のような、濃淡のハッキリとした紫色が渦巻く空。

その空には、一切の詳細が不明な血走った大量の眼球が、一定の間隔で浮かんでいる。

もしかしたら、空の天蓋に貼り付けられているのかもしれない。

耐性の無い者が見れば、背筋が凍るような、ひたすら静寂を湛える……俗に「スキマ」と呼ばれる空間。

その空間の主がスキマを開き、外界の様子を静かに見ている。

すると彼女は微笑を……見る者によっては悪意の籠もったようにも見える微笑を湛え、また1つ、スキマを開いた。



~同時刻:現代~



所変わって、ここは夏の○○県△市。

梅雨が明け、カラッとした太陽の暑さが支配する。

夕焼けが映える空の下、ジャージ姿の少年2人組が歩いている。

敢えて片方の少年のみを紹介しよう。

彼の名は「松原速人(まつばら はやと)」。

○○県立羽是得(うぜえ)中学校の三年生である。

今は夏休み。

それにも関わらず彼等が学校指定のジャージと学生鞄を背負って歩いている理由は、単純である。

彼等は陸上部で、中体連へ向けて今から練習していたのだ。

因みに速人の部内での立場はNo,3であるものの、部内では足が一番早く、スタミナもあり、実質No,1である。

その為名前を文字って「マッハ」という愛称で周囲から親しまれている。

彼等は数分前に練習が終わり、帰路を辿っている最中だ。



「じゃ、俺んちこっちだから。」


「ああ、またな。」



帰り道が同じ部活仲間と別れ、彼が目の前の曲がり角を曲がった次の瞬間だった。



「……え?」



アスファルトで塗り固められた大地を踏む筈だった足はある筈の無い宙を踏み……





……彼は、落ちた。



「うわあっ!?」



バランスを失い、重量に引かれるまま墜落する。

一瞬誰かが悪ふざけで掘った穴に落ちたという考えが彼の頭をよぎったが、その考えはすぐに否定された。

それならもう地面に衝突している筈だ、と。

事実、彼は既に十数秒もの間落ちていた。

走馬灯を見ているのなら、壁がこんなに早く通り過ぎる訳が無い、と彼は目線を通り過ぎる壁へ移した。



「うっ…わ………気持ち悪……………っ」



すぐに彼は後悔した。

何とも形容し難い……人間、否、人類にはまだ早過ぎる光景が広がっていた。

無限に続くようにも見える位の紫色の空間、そしてその壁から自分を覗く無数の目。

加速しながら落下しているのもあり、彼は気絶しかけた。

実際に意識が一瞬飛んでいたかもしれない。

そんな中、真下に光が見えた。

出口かもしれない。

この気持ち悪い空間で永遠に落下し続けるよりは幾分かはマシかもしれないが、この速度で地面に衝突したら……間違いなく死んでしまう。



「(ああ……。俺、ここで死ぬんだな……。)」



光は徐々に大きくなり、彼を包み込んだ。

不思議と痛みは無かった。

それもそうだ。

彼は、二つの足で、大地に立っていたのだから。

恐る恐る目を開けて様子を確認する。

そこは草原だった。

大量の鈴蘭が咲き乱れ、周囲は木で囲まれている。

彼は首を傾げる。



「さっきから、一体どうなっているんだ……?」



少なくとも、自分の知る限り○○県にこんな場所があると聞いたことはない。

さっきの謎の空間と言い、もしかして自分が居た世界とはまた別の世界……俗に言う「異世界」に、自分は居るのかもしれない。

そう考えていると、風が吹き抜けた。



「涼しいな……。」



そう言えば今は夏だというのに、ここは馬鹿に涼しい。

日当たりが悪いのも理由の一つかもしれないが、それよりも不味い理由かもしれない。

さっきから何か……「殺気」のような物を、彼は感じとっていた。

別に彼が特別な人間だからという訳ではない。

殺気とは無縁な人間にも分かる程、殺気が強いのだ。



「……嫌な予感がする。行こう。」



吹き抜ける風が段々肌寒くなって来た。

さっきよりも気温が下がった気がする。

自分に何があったのか、ここがどこなのか等考えている暇は無い。

一刻も早くここを逃げなければならない。



「人間が私の住処に何の用?」



駆け足で移動し始めたが、時既に遅し。

むしろ、誰も居ないと思って駆け足で移動したのが気付かれた原因のようだ。

先程まで誰もいなかった筈の背後から、不意に声をかけられた。



~続く~

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