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頭痛

『氷の悲鳴』



ぱし


ぱし



麦茶を入れると音を立てる氷

凍える結晶が

悲鳴をあげる瞬間



ぱし


ぱし



潤う氷から生まれる

乾いた音



ぱし


ぱし



それはまるで

目で見る全てを飲み込む頭が

サイレンを鳴らす瞬間



ぱし


ぱし



このままいっそ

全て砕いたほうが



ぱし


ぱし



悲鳴は聞こえないかもしれない



ぱし


ぱし















『揺れる』



ああまた来た


そんなうすぼんやりとした

自覚とともに押し寄せる頭の中の波


ざばあんざばあん

ぐらんぐらん


まるで嵐の中の船のよう


とにかく痛い

難破船が頭の中で揺れている


案外それは

立ち止まった時のほうが激しくて

動いてる時のほうが自分ごと揺れて

さほど自覚しなかったりする


だからこそ

全てが終わり佇んだ時に

ああ居たんだねと

その痛みを思い出す


カーテンを締め切り、光を追い出し

横になってじっと目をつぶる



揺れる揺れる難破船



真っ暗な視界の中で

船は倒れそうで倒れない

横転して沈んだほうが揺れないのに



どんだけ船ボロいのさ

とか

いつまで彷徨ってるのさ

とか



薬で眠りが来るまで考える




でも

正直言うとね



ホントに痛いけど

ホントに揺れるけど



この揺れる船がとても安心するのよ



朝日を浴びてゆったりと

航海する船はとても恐ろしい



とてもとても恐ろしい



嵐の中

ざばあんざばあん

ぐらんぐらん

ぼろぼろの船で真っ暗な空の下

彷徨い流れ行くほうが



ほっとする



この痛みは

私の痛みなのだ

私なのだと




この船が来なかったら

どんなに恐ろしいことか






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