上を見上げて
『マイルーム』
青白く光る画面から目を離し
少し顔をしかめながら息を吐く
ぱちぱちと目を瞬かせ
そのまま開かず閉じてしまう
3時間くらいキー打ってたもんなあと思いながら
ゆっくり顔を上に向け
次の瞬間視界を戻す
そこに広がるのは見慣れた天井
ぱっと見は
ただの白
でもよく見ると
それは少し違うとわかる
真っ白ではない
少しクリームがかった白
そして無数のひし形に彫られたデザイン
見れば見るほどそれは天井で
しかしそれは初対面のようでもあり
私をずっと見下ろす天井はこんな姿だったのかと
今更ながら思ったのだ
『動けども動けども』
レンタルショップからの帰り道
ぶらぶら歩き流行の音楽プレイヤーをがんがん鳴らす
最近音量上がったかなと思いながらも
下げるボタンを押すことも無く
某女性シンガーの曲をエンドレスリピート
つと、おなかの空き具合を感じ
赤紫の空を見上げる
もう夕方か
そんな当たり前の自然現象を認めながら歩いていく
私は動くが空は動かない
家へ近づけども近づけども空は変わらない
意味無いことだと思い直し
目線を前に戻して歩いていく
暫くして家に着いた
玄関の門を開ける
そして思い出したようにまた空を見上げた
やはり、変わってない
当然のことを当然のように思うのが癪で
私は何故かイヤホンを外した
何も変わらないことは、わかっていたけれど