映画館のギモン
『特大オレンジジュース』
映画を見るときは
5分前までにトイレに行くのが
いいけれど
そのまま売店へ足を進め
ジュースを一本買ってしまう
しかもSサイズが通常のMサイズみたいな大きさで
売店のお姉さんはにこやかにそれを私に渡す
果たして映画館の人は
私達に映画をちゃんと見て欲しいのか否か
そんなことを思いながらシートへ戻る
トイレに行かないようちびちびと飲み
何となくストローをがしがしと噛む
それでもいつの間にか特大オレンジは胃の中へ
残り時間は約1時間
さあ映画よ
そんな危機を忘れ去るようなクライマックスを
私の前に披露しておくれ!
『戦と戦争』
戦じゃと出陣して死にゆく侍と
戦争だと突撃して死にゆく兵士
何となく見ていられないのは後者のほうで
何となく見届けようとするのは前者のほうで
スクリーンに広がる血は同じだというのに
それでも戦争は痛々しく
それでも戦は勇ましく
覚悟の叫び声が館内に響き渡る
お上に仕える兵士
お殿に仕える侍
どこが違うのだろう
やっぱりちゃんとした違いがあるのだろうけど
スクリーンで死ぬ彼らからはそれがわからない
下々に生きる者達からすれば
仕える対象が違うだけ
やることは同じなんじゃないだろうか
なのになぜ撃たれるほうが哀しいのか
なぜ斬られるほうが感じないのか
ああ、それでも
何で死んじゃったのかなと
スタッフロールが流れる中
考えることは同じなんだよ