深夜にて
『あな』
ベッド側の窓からは
ぽかんと開いた穴が見え
黒い空にそれが目立つ
月だと言えばそれまでだが
空に黄色い穴が空いてるのだと
そう言っても間違ってはいないはず
仰向けになった自分の目が
その穴を見つめ
向かって手を伸ばしながら
5本の指をぱらぱらと
動かす
もちろん穴はびくともせず
ただじっと浮かんでいる
カーテンを閉めないまま
私は伸ばした手をまた下ろし
もぞもぞと毛布の中に
仕舞っていく
中で起立をするような
腕と腕を胴体につけ
顔だけを窓辺に向け続ける
白は無い
あるのは黒
そして穴
吸い込むことも
吐き出すこともしない穴は
ただじっと
私の上で開いているのだ
『夢をさまよう』
夢は見るのではなく考えるものだと
言っていたのはある学者だったか
夢というものは意識があるから考えられるのであって
本当に眠ってたら、意識が無かったら、
それは現われないそうだ
じゃあ今私が起きて考えていることと
目をつぶって考える夢は
どう違うのだろうか
同じように頭を動かし
同じように空想し
同じようにそれを認識する
違うのは目をつぶっているかどうかだけ
でも人は
真っ暗な世界で思い描くそれを
やはり夢という
今私がいるのは
夢なのか
現なのか