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◇序章~第5話~

 歩道を少し歩くと後処理をするのを忘れていたのを思い出した。


「そういえば処理部に連絡してないな。 エイコー、ブルーシートとか持ってきた?」


 死体を道端に放置しっ放しはマズイだろうし、公園を訪れた人々に不快な思いをさせたくない。

 大規模な戦闘になったり大量の死体が産まれる可能性がある場合なら戒厳令を敷いて一般人の侵入を禁止したりも可能だが、今日はそこまでしなくても大丈夫か。


「ああ、鞄に入ってるよ」


 道を引き返して死体にブルーシートを被せ、端末を使って公闘官処理部に連絡を送信して暫し待つ。


「お疲れさまでーす。 後は我々にお任せを」


 防護服を着た処理部の人々がやって来た。処理部の仕事は死体の回収と現場の修繕や清掃の手配等だ。嫌な仕事だが死の危険は限りなくゼロだし給料も高い、精神力が屈強な者なら天職と言えるだろう。


「まだ増える可能性大なのでよろしくお願いします」


「承知いたしました。 御武運を」


 テキパキと作業を開始したので邪魔にならないように去る。

 後は処理部に任せてピクシーのリーダー・坂東の捜索を始めようか。

 捜査の基本は聞き込みだ、そこで遊んでいる家族連れに聞いてみるか。


「すいません、二等公闘官の紅藤と申します」


「はい?」


 小さな娘と遊んでいた、むしろ小さな娘に遊ばれていた父親に尋ねてみる。


「今仕事中なんですが、ヤンキーの集団みたいなものを目撃しませんでしたか?」


「何かあったんですか?」


「いや、そんなに警戒しないで下さい」


「そうですか、このベレッタを使わなくて済むならいいのですが」


 父親はジャケットからベレッタを取り出して言った。銃を持つのは結構だが、いざというときに使えなければ意味がないぞ、おっさん。銃は撃つ物であって眺める物じゃないんだからな。


「安心して家族サービスしてください。 ところで集団は?」


「ああっ、すいません! 噴水の近くで悪そうな若者が集まってるのを見ましたよ」


「ご協力感謝します。 おい、エイコー!」


 木にもたれて恍惚の表情を浮かべていたエイコーはこっちを見る。


「話しは終わったのか、紅藤」


「ああ。 今から話をしに行くところだ、噴水にな」


「そうか。 それならたっぷり語ってあげないとな、コイツで」


 エイコーは西洋刀を抜くと切っ先を俺に向けて言う。


「だからはやんなって、モノを出すのは本番まで待ってろ」


 待ても出来ないなんて動物以下だなコイツ。

 家族連れに会釈をして公園の噴水に向かう。

 噴水の回りには先ほど旅に出た奴らと似たり寄ったりな服装や髪型をした奴らがたむろしていた。

 木に隠れて目視で現状を確認、人数は8人か、ピクシーの全メンバーと捉えていいだろう。


「どうするよ?」


 ピクシーに関わるのが嫌なのか幸い一般人の姿は見えない。


「作戦なんていらない。 たかだか頭の悪いリーダーに従う頭の悪い集団だ、行くぞ!」


「あいよ」


 刀を抜き奴らへと歩み寄る。

 抜き身の刀を持った俺たちが近づいているのにヘラヘラと見てくるだけか、人数に物を言わせて優勢と思っているのか。


「刀なんか持っちゃってどうしたんでちゅかぁー?」


 グラサンを掛けた一人が近づいてくる。


「眩しいのか? 似合ってねえよソレ」


 エイコーは余裕の表情でグラサンごとそいつの頭を斬り割いた。

噴水が綺麗だ。


「無許可で武装した者が徒党を組むことは禁じられている、尚、過去に犯した罪も血を以て償ってもらう。 ギャング・ピクシー、武力介入法に基づき浄化する」


 一応決まりだからな、胸ポケットから生徒手帳を出すと奴らにつきつけた。


「ごちゃごちゃうっせーんだよ!! やっちまえ!!」


 始めから武器を持って身構えておけばいいものを、油断と傲りは身を滅ぼす、って朝誰か言ってた。


「死ねや!!」


 バタフライナイフ、金属バット、特殊警棒、メリケンサック。

 近接戦闘メインか、面白い。


「これ以上酸素を使うな、地球に迷惑だ」


 敵の攻撃を避けては斬り付ける。無駄な動きに加えて無駄口を叩きながらの戦闘、もはや生きていることが無駄だなコイツ。


「ぐぅぇわぅっぁぁ!!」


「次」


 汚れた刀身を足元に倒れている奴の服で拭い、再び構える。


「なんっなんだよっお前!!」


「人の話しはちゃんと聞くもんだぜ? はぁっ!」


「がぁっ!!」


 そいつの右肩から袈裟を描くように斬ってから蹴り飛ばす。


「動くんじゃねぇ!」


「あん?」


 リボルバー式小口径銃か、人を殺さない警察官でももっと良い物を装備している時代だぞ、とんだヴィンテージだ。


「撃てよ」


「死ね!」


 あの角度ならこの位置から真っ直ぐ斬り込んでも当たらないか。

 直後に銃声が響く、ほらな、当たらない。


「はぁ!」


「ぐぇわぁっ、手がぁ、俺の手ぇ!」


 銃を持っていた手首を斬り落とす。


「殺すんだろ? 早く撃てよ」


「ひぃっ……、助け、神さまぁ……、助け、て」


「神はフレックスタイムだ、まだ出勤してねえよ」


「ぐわっ!!」


 十字に切り刻んで止めをさした。

 よし、あらかた片付いたか。


「エイコー?」


「おう、後は坂東だけだ」


「オーケイ」


 一番奥にいたリーダー・坂東を俺とエイコーで挟んだ。

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