プロローグ
小説初投稿!だめだめだけどがんばります。
できればアドバイス等お願いします。
「なぁ、考え直さないか」
放課後の屋上。だいたいの生徒は部活か帰宅をしている時間帯。屋上に用がある生徒はいないはずだった。
「あなたには、関係ないわ」
しかし、今は二人の男女が言い争っている。いや、一方は呼びかけ、一方は拒絶をしていた。
「だけどっ!」
少女は無表情に少年の声を聞いていた。心なしか表情に影が差しているように見える。
「…………」
「聞いてくれ。……俺は君のおかげで気付いたんだ。救われたんだよ!」
必死に追いすがる。このまま彼女を引き止めなければもう会えなくなるかもしれないと。
少年の顔には焦りが浮かんでいた。
「……」
少女は無言で首を横にふる。
「待ってくれ。たのむから……」
片方の少年の訴えも空しく少女には届かなかった。少女は少年を一瞥するとくるりと背を向けフェンスを越える。こんな状況なのに、よく晴れた青空をバックに彼女の後姿はとても美しかった。
「ごめんなさい。そして……さようなら」
まるで少年を振るように謝り顔だけこちらに向け悪戯をするように微笑んだ。
風が吹いて少女の髪がたなびいた。その姿に思わず見惚れてしまった。だからだろう。次の行動が遅れてしまったのは。
顔を前に向けると少女は空中に身を乗り出す。まるで元気よく玄関を飛び出すみたいに。
ふっと意識を戻す。なにしてるんだと自分を叱責する。
「ちくしょう」
そうはき捨てた後考えるように目をギュッとつぶる。
半秒後、少年は迷いを振り切るようにカッと目を見開き、「うおぉぉぉ」と叫んだ。
刹那少年は歯を食いしばって全力で駆け出した。大またで一歩二歩。眼前には腰までの高さのフェンス。
片足に力を込めて大きく跳躍する。フェンスに足を掛けて。そしてそのまま少女の背中を追い文字通り飛んだ。
「あなたっ!」
何事かと振り返った少女はその時初めて表情を驚愕にかえた。しかし、今は落下中。後戻りはできない。彼もそれなりの覚悟があるのだろうと悟る。
周りの景色がぐんぐん上へ過ぎていく。
――私は死ぬんだ。もう…どうでもいい
少女は考えることを放棄した。もうすぐ楽になれると笑みを浮かべる。しかし、それはどこか悲しげな表情だったがその顔を見たものはいない。
「くそっ!追いつけぇぇ」
少年の眼前には少女の長い髪が、ぶわっと広がっていた。綺麗な髪だった。だがそんな事はどうでもいい。
――今は彼女を助けることを考えないと。
少年は、自分が落下中で一寸先には死が広がっているというのに不思議と落ち着いている事に驚いた。人間追い詰められたあとには、割り切ってしまえば意外と何でもできるのである。
――どうすれば助かる。考えろ考えろ
風圧で目が開けずらい。手で風を遮り、使えそうなものがないか見下ろす。落下地点まで一直線に遮る物はない。いや、あった。見落としそうだったけど小さなテントが一つ…あれしかないか。
少年は体をグライダーのようにして空気抵抗を少なくし滑降していく。
少女に追い着くと両手を広げ少女を優しく抱きしめた。少女は邪険を含んだ顔をする。少年は構わずに自分の体を下にして少女への負担を軽くしようとした。
だが。
「やめてっ!」
少女はそう小さくだがはっきりと言うと、少年を突き飛ばした。不安定な体制でどこからそんな力が出たのかわからないが少年は軽く離されてしまった。
少年は顔をしかめる。
「少し我慢してくれよっと」
少年は無理やり体制を起こす。少女のほうにより、少女を思い切り蹴飛ばした。
少年は掴めば振り切られるからしょうがないと自分を納得させる。
そのまま二人は落ちていった。