私は死んだのかもしれない。
ぽとっと、何かに当たる感触がした。不思議に思って、目をこする。眩しい光が見えた。
「ここ…どこだろう?」
そんな声が漏れた。私はとりあえず、今日の記憶を辿ってみた…。
…早朝。出張中の両親には内緒で、勉強せずに家を出た。そして、橋の先の海に飛び込んだ…。
確かこんなところだった気がする。ある程度記憶があっても、ここがどこかがわからないと話にならない。病室?天国?それとも…。
そんなことを考えていると、どこからともなく声が聞こえた気がした。ゆったりとした声色。何だか落ち着く…。
目がだんだんと慣れてきた。聞こえてくる声に、耳を澄ます。
「ここは天国と地獄の境目です!」
…え…何なに、この人変なダンスしてるんだけど…。引くわぁー…。
…まぁ、それはいいとして…。この人…「天国と地獄の境目」って言ったよねぇ⁉︎…え、待って…。なんかアニメで見たことあるんですけど…。
「では、これから、天国と地獄、どちらに行くか決めさせてもらいます。」
…え、待って待って。今、これからって言った⁉︎突然すぎるヨォ…。まだ、心の準備が…。
「それではまず、ここにきてしまった理由を、ざっくりでいいので、お聞かせください。」
ああ。そういう感じね、わかったわかった。…えっと、どうして死んだのかを言えばいいんだね。じゃあ…。
「橋から海に飛び込んで、溺れ死にました。」
えっと。こんなんでいいのかな?あ、自殺って言ってなかった。多分これから聞かれ…。
「それは…、自殺…ということでしょうか?なぜそんなことをしたのでしょうか?」
あ、やっぱり聞かれた…。多分…、虐待といじめ…って答えるのが正解だよね。うん、多分そう。
「えっと…、両親からの虐待と、クラスメイトからのいじめ?ですかね。」
こんな感じでどうだろう。多分、相手は神様。資料とかもあるはず。…ほら、噂をすれば、資料をめくり始めている神様。
「津々田ゆら、か…。」
神様が、資料を見ながら、独り言のように言った。聞くだけで笑いが込み上げてくるような、「津々田ゆら」という名前。口もとを必死に、抑えられずにはいられない。そのとき、もう一度神様の声がした。
「そうだな…、逆…にするか。」
訳のわからない神様の独り言を耳に、私はいつの間にか、学校にいたのだった。




