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残念ハイスペ女子なんて言うな  作者: あたまんなか
31/55

カノンとのやりとり



今日も夕飯を一番に『ごちそうさま!』をしたわたしは部屋に戻った

もちろんやりたいことがあったから

まずは本棚の本たちを確認する

出版社別、作者別に並べ替えて… 要は見栄えをよくしようってこと


それはわたしの読書遍歴を本条に見せるために行う儀式のようなものだった

読んだ本が全てここにあるわけじゃなかったけど…


図書館で借りた本もあったしパパの本を借りて読んだものだってあるから


改めて自分の本を本棚から出すと思ってたより多く感じた 片づけようとすると人は懐かしい物見つけていちいち手が止まる みたいなのよく聞くけど 今のわたしがまさにそれだった

『これ懐かしい』 なんていちいち全ての本に思って いちいち本をパラパラと開いては見入って手が止まる

中には内容を忘れてる本もあったりして また読もうなんて思ったりもしたもんだ


片づけてるのか散らかしているのかわからない現状

時間の経過に気づけないわたしはばら撒かれた本の中心で物思いに耽っていた


ー ガチャ ー


「なんだよ これは!」


カノンの大声に我に帰ったわたしは驚いた


「なにしんてんだ! ネオン! 散らかしてんのか!! くつろげないじゃんっ!!」


確かにこの現状を見たらカノンの言いたいこともわかる わたしだってきっと同じ反応すると思うし


「ちがうちがう! 片づけようとしてんの 本棚の整理してんの!」


とりあえずカノンに理解を求めようと現状の説明をする


「なんで今なの!? 明日日曜じゃん 明日やったらいいじゃん! しかもこんな遅くから…」


ごもっともです… いや、ちがう! 早くやんなきゃだった だっていつ本条から写真送られてくるかわかんないんだし


「しゃあねーなー 手伝ってやるから早くやっちゃおーぜー」


はい ありがとうございます 一人じゃ出した本読んでてぜんぜん進まなかった


「やさしい! たすかる! さすがカノン!」


二人でやるとあっという間に終わった

綺麗に整頓された本棚は美しくさえ見える!

思わずわたしは整然と並んだ本たちを写真におさめた


「なにしてんの ネオン?」


どうやらわたしの行動はカノンには奇異に映ったらしい


「え とくに意味ない 片づいたし配置を写真で残しとけば次に片づけやすいかなぁって…アハハ」


とりあえずな言い訳 だけど体裁は保ってると思った


「ふーん ネオンにしては頭いいじゃん 確かに次に片づける時に便利だね」


納得してくれたみたい 隠すことじゃないけどギャアギャア騒がれんのもやだし とりあえず黙っとこ


ー ピコピコッ ー


もしかしてこのタイミングで本条からの連絡か!?

わたしは手に持ってたスマホを見た

やはり本条からのラインだった


ラインを開くと

『今日はありがとな とりあえず約束の送っとく』ってメッセージと共に本棚の画像があった


わたしは画像を拡大し食い入るように本棚の本たちを観察した

なるほどいろんな本があった

わたしが集中して本棚の画像に見入ってると頬に冷たい感触が伝わる

えっ!? 冷たい感触はカノンの頬だった

冷たい頬をわたしの頬にひっつけるくらい近寄ってスマホを覗き込むカノン


「なにこれ? 誰から? なんで本棚??」


いつの間にか背後から近寄って来てたみたい

しかもここまで接近して覗き込んでくるなんて!!


「なんよ! 覗くとかありえないんだけどっ!!」


わたしはスマホをうつ伏せにして太ももの上に伏せた


「隠すとか なんかやましいの? もしかして今日のお出かけの相手??」


妹ながら鋭いと言うか…


「プライバシーとかあんの知ってんだろ? いくら姉妹の間でも!!」


「わたし朝も服アドバイスしたし、なんなら夕方帰ってきた時も見てたし! さっきだって本棚片づけるの手伝った!! 知る権利だってあると思うんですけど?」


知る権利はここでは意味違うって思ったけど まぁ中学生ならこんなもんかとも思う


「あーーーもうーうっさいなー そうそうその男子!

お互いどんな本読んでるか情報交換してるだけ

もういいでしょ ほら あっちいけ!!」


本棚片づけてもらうの手伝ってくれたのは助かったから最低限の情報を教えて追い払おうとする


「ねぇーなんでなんで? ネオンにしちゃ急接近すぎん?? もしかしてその男子のこと好きなん?」


「はぁ!? 知ってんだろカノン? わたしのこと???」


「知ってるから聞いてんだけど?」


「だったらあり得ないだろっ!!! てかさーほんとちょっと一人にさせてくれる?? やりたいことあんの!」


「無理じゃん! 同じ部屋なのに! それこそ知ってんだろ??」


「ぐぅう…」


確かに これは言い返せん まじなんもできん

黙るわたしを横目に見ながら


「あ、オトヤがゲームしてほしいって言ってたわ

わたし一緒に遊んでこよぉーっと!!!」


さっきまでの態度とは裏腹にニヤリと笑みを浮かべるカノン


「えっ!?」


「わたしいないからって寂しがんなよ?ネオン」


そう言うとカノンは部屋から出てった


なんか拍子抜けした

困ってなくもなかったけど あっさりしすぎた もっとギャアギャア言われるのかと思った

と同時にカノンのわたしへの配慮を感じずにはいられなかった いつの間にか大きくなってんだなって思えた


わたしは本条にラインしながらカノンの気遣いに感謝していた









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