表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/100

0.6.1.4 ポトフちゃんと食べ盛り

「「いただきます。」」


 最初に手を伸ばしたのはからあげ。ザクッとした歯ごたえのある衣の先には、プリっと弾力のあるジューシーなお肉。溢れ出す肉汁もたまらない。サクッと軽いからあげも、両方のいいとこ取りなハイブリッドからあげも、うんま~い!

おまけに、レモンをかけると、これまたさっぱりして美味しい。いや〜ご飯がすすむわ。


「美味い!少しづつ食感が違うのは、粉の違いか?」

「ですね。ザクザクして硬めなのが片栗粉、サクッと軽い食感なのが薄力粉です。」


 うさちゃんはからあげたいそう気に入ったようで、お米と交互にもりもりと頬張っている。食べ盛りの学生みたいでカワイイ~!



 お次はブタカツ。からあげとは違ったサクサク感のある衣がこれまたいい。とろけるような脂と、旨みの強い赤身をしっかりと抱え込んでいる。

 合間にキャベツをつまんで、揚げ物続きで油っこくなった口内をリフレッシュ!そしでまたブタカツを食べる作業へもどる。


 うさちゃんも、私を真似てブタカツの合間にキャベツに手を伸ばすが……?


「……キャベツって食べなきゃダメか?」


 何とも言えない表情で咀嚼しているし、明らかにフォークの進みが遅くなった。あんまりお口に合わないみたいですね。


「食べなくても大丈夫ですよ。苦手なら、アイテムとして使用して消費すればいいだけですから。」

「そう、だな……せっかく作ってくれたのに悪い……」

「いいんですよ!現実にあったら食べた方がいいかもしれないですけど、ゲームの中なんだから嫌いな物は無理して食べなくていいんです!」


 そう伝えると、ホッとしたようにブタカツを食べ始めた。ニコニコとほっぺを膨らませちゃって……カワイイ!いっぱい食べて健やかに育て……!



 そして、ステーキ。パサつかず、かといって生々しすぎずの絶妙な焼き加減。口へ運ぶと、肉らしい弾力を残しつつも、歯を立てれば簡単に千々になるほどの柔らかさを堪能出来る。そして、顎を動かす度に、中に閉じ込められた肉汁の旨みが口内を侵食していく……


「ん?ちょっと赤いな。肉は火を通さないと駄目なんじゃなかったか?」

「ブタとトリはそうですね。しっかり火を通す必要があります。ウシカボチャはこのぐらいでも大丈夫です。」

「そうなのか。ん……分厚いから焼き肉より食べ応えがあっていいな。」


 ふーむ、このウシカボチャを先に知っちゃったら、ブタもトリもレアで食べちゃう人いるかもな……まあ、ゲームだし別にいいかな……


 いや、デメリットをつけるか。生食アウトなやつにはデバフやスリップダメージを受ける毒効果。毒性が消えれば火が通ったって指標にもなるしいいかも。うん、後で改造しておこう。



 そして最後の料理を盛り付け。お椀にご飯を控えめに盛るよ。


「ご飯の量が少なくないか?」

「ふふふ。これでいいんですよ。」


 そこへモモ肉とタマネギの煮込みをドバーッとかける!これで『ウシ丼』の完成!

 醤油をベースに甘辛い味付けされたウシ丼の素。ただの砂糖醤油だから、ちょっと物足りないかな?と思ってたけど結構美味しい!

 茶色く染まったタマネギは甘く、ザクッとした食感がアクセントになっていいね。程よく染み渡ったツユのかかったご飯もこれまた美味い!

 薄いウシ肉でタマネギとご飯をクルッと包んで、口いっぱいに頬張ると、もう、たまりません!


「んん〜!美味い!」

「ああ……この、汁が染みたご飯がまたいいな。」




 ふぅ、ご馳走様でした。本当にご馳走だった……

 後は細々としたものを作って終わりにしましょう。えーっと、タマネギの味付けと、焼きおにぎりと……


 …………

 ………

 ……


「ポトフ、お疲れ様。」

「うさちゃんもお疲れ様です。」


 さて、そろそろ今日のまとめに入りましょう。


「えーっと、まず、からあげは屋台でも売れそうですね。」

「そうだな。気軽に食べられそうだ。」

「それから……焼肉、ブタカツ……今日作った料理は、お店で売る時、単品売りとセット売りの2つ用意したいです。」

「セット?」

「はい。ご飯と一緒に出すんです。ただ、その場合はお店の中で食べてもらうことになると思うんですけど……美味しかったでしょ?」

「めちゃくちゃ美味かった……ああ、確かにご飯は必須だな。」


 つまり“定食”です。そのうち汁物も追加したいな。

 注文する時に部位やソースを選択できたり……いや、それは隠し要素ってことにして良いかも。基本的には今日使った部位で出して、こだわりのある人は口頭で部位を指定できる……知る人ぞ知る裏メニューって感じで。




 今日のお仕事はこんなところかな。

 最後に、何やらうさちゃんからご相談があるようです。


「あー……ポトフに1つ頼みたいことがあってな。」

「はい。何でしょう。」

「嫌だったら断ってくれていいんだが……」


 そう切り出してお願いされたのは、水中の樹、改め『神樹』の化身……のモデルになって欲しい、ということ。厳密には、ポトフ()のアバターを土台にしたいらしく、私の顔をいじることになるから可否を問いたいんだそう。


 なぜ私?と聞けば、私の仕事の様子を覗いてたライターさんに、インスピレーションが降ってきたらしい。何を見たんだろ……

 ともあれ、ポトフ()を使うのは問題ない。でも一個だけ……


「……殻の人にも化身みたいなのっているんですか?」

「そっちは俺がモデルになる予定だ。」

「だったらやります!」


 うさちゃんが相手なら、やらない理由はない!自由に使ってください!!!



 それじゃあ、今日は解散しましょうか。


「明日も会えるか?」

「はい!明日はふわふわの絨毯を堪能してください。」

「ははっ!そうだな!」


 明日はうさちゃんにミサンガを渡して……リビングでまったりすごそう。たまにはのんびりしてもいいよね。

 それじゃ、本日もお疲れ様でした!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
>いっぱい食べて健やかに育て……! もう育ちきってるんだよなぁ……と笑ったけどもしやゲーム内のレベル・ステータスバフ的な意味か??!! あまりにもからあげ食べるシーンがうまそうすぎる。からあげ食べなき…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ