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0.4.6.3 ポトフちゃん、スカウトする

 今日の植え付け予定地に来ました。

 まずはトリイチゴ。骨を地面に埋めて、〈植物成長〉!


 2メートルいかないぐらいの木に、ねむの木やシダ植物のような葉っぱ。花は……ヒヨコみたいな黄色い毛玉。大きくなるにつれて生え変わって立派なニワ……トリイチゴに。重さで枝が垂れ下がるから私にも届くね。


 実の部分を持って横にくるくると回すと、ボコッと骨が外れるような音がしてとれた!ずっしりと実の詰まったトリイチゴが手の中へおさまる。


「……一つ貰ってもいいか?」

「どうぞどうぞ。」


 ふかふかの羽毛が気に入られたご様子。あっ、ぴよちゃんがトリイチゴを撫でているうさちゃんの手元に来て……つつき始めた。自分以外の鳥(鳥ではない)に構うなってさ。


 ぴよちゃんをたしなめるうさちゃんを横目に、お店に並べる用の作物を走れる限界ギリギリまで採っておこう。


 さて、今回の大トリ、ウシカボチャを植えるよ。でっかい骨を地面に埋めまして……〈植物成長〉!


 蹄みたいな葉っぱにーカウベルみたいな花。ゲームなんだしファンタジーな要素があってもいいよね。風が吹くとカロンカロン鳴ってほしい。


 ぐんぐんぐんぐん成長して……でっっっかくなったあ!大きさは、オリジナルの作物を元に多少変動するようになってるらしいんだけど……オリジナルよりでかい!当たりをひいたね。お店に置くに相応しい佇まいだ。


 尻尾、もとい節の上のところを切ってインベントリへ。くお~重い!うさちゃ〜んヘルプ〜。


「このままお店まで行ってもらって大丈夫ですか?疲れないですか?」

「ああ、ポトフは羽のように軽いから問題ない。」


 なんか少女漫画みたいなこと言ってる……!

 それじゃあお店へ行きましょう!


 …………

 ………

 ……


 お店までの道中うさちゃんとお喋り。そろそろパーティ機能が出来そうだとか、今日は放し飼い機能が出来るだとか。近いうちにメインストーリーやギルド機能が追加されるかもって!


 ちなみに、放し飼い機能っていうのは、自分の所有する敷地内に、仲間を呼び出しておける機能らしい。


 連れ回せる上限は小型でも3体までだけど、仲間に出来る上限はそれ以上。その4体目以降の、待機状態の子達を放し飼いできるんだとか。あ、騎乗モンスターもおっけーだよ。


 上限は敷地の広さや仲間の大きさによって変わるらしいけど、私のたんぽぽ農園なら、上限なんてあって無いようなものだから気にしなくていいとの事。

 そっか……ぽぽ達以外に仲間を増やしても、農園内で触れ合えるのか。


「そうだポトフ、明日は空いてるか?」

「空いてます!」


 おっ!遊びのお誘いですか!?喜んで!!!


「それじゃあ、一緒にポトフが乗る用の騎乗モンスターを捕まえに行かないか?」

「おお……行きたいです!」


 騎乗モンスター!ローラ様が乗ってたドラゴンはものすごく速かったから、いいなって思ってたんだよね。ファストトラベルみたいな機能だと思ってるので是非とも欲しい。


「じゃあ、ポトフにもう1頭の俺の仲間を紹介するぞ。」

「もう1頭?」


 そう言ってうさちゃんは足を止め、


「ああ。“ぐぅ”ちゃん!来い!」


 空に向かって呼びかけると、どこからともなく大きな大きな黒いドラゴンがやってきて、目の前に降り立った。


「『ラーヴァドレイク』のぐぅちゃんだ。」

「ぐるるるるる……」


 ぐぅちゃんは、『ラーヴァ』と付くとおり、体全体が黒い鱗に覆われ、その隙間の至る所から煌々としたマグマのような光が漏れている。喉元やお腹は溶けた鉄のように煌々としており、近くに居るだけで熱気を感じるよ。なんというか……うさちゃんがドラゴンになったらこの種族になるんだろうな〜、って感じ。


 頭にツノはなく、蛇のようにつるりとしていて、翼は前脚と一体化している、ワイバーンみたいなタイプのドラゴンみたいだ。


「触っても大丈夫ですか?」

「ああ、もちろん大丈夫だ。なあ、ぐうちゃん?」

「ぐぅ」


 ふんすと、炎を纏った鼻息を漏らしたぐうちゃんは『しょうがねえなぁ』と言わんばかりに、私の元へ頭を差し出してくれた。おお……ゴツゴツしてて、あったかい。もしかしてぐうちゃんも溶岩の肌みたいなスキル持ってるのかな。


「うさちゃんにそっくりでかっこいいねえ。」

「ぐるるるるる……」


 あ、猫みたいに喉をならしてる。ふふふ、可愛い。


「……明日はコイツに乗って、ポトフの騎乗モンスターを探しに行こうな。」

「おお……楽しみにしてますね!」


 そうして挨拶を終えると、ぐうちゃんは去っていった。また明日ね〜!


 …………

 ………

 ……


 そんなこんなで街へ到着。


「ポトフ、もし気に入った見た目のNPCがいたら、ポトフの店の店員として雇えるぞ。」

「えっ、今そこいらを歩いている人達をですか?」

「ああ。そのNPCをベースにしてカスタマイズもできるし、一から自分で作成することも出来るから、まあ、ポトフのやりやすい方法で。」


 それじゃあ、店へ行く道すがらNPCの観察。このあたりにいるのは地元民っぽい人達。頭にお花の生えたお姉さんに、手足が木の枝なお兄さん。キノコのカサをかぶった親子に、あの女の子はリスの獣人かな?そっか、植物種族じゃない人も住んでるんだね。


「農園の本店が樹海の国にあるなら、やっぱり樹海の国の人を雇ったほうが良いですよね……」

「そうだな。俺の店も本拠地のある火山の国の人間から選んだしな。」


 ああ、あの石膏人……


「あっ、あの人ってもしかしてたんぽぽ族の人ですかね?」

「ん?近寄ってステータスを見てみるか。」


 きょろきょろしていると、ちらっと見えた黄色いふさふさした頭。うさちゃんに追いかけてもらって、ステータスを確認。


 このNPCは、たんぽぽ族の青年女性モデル。中高生くらいの若い子で、性格は元気。役職はなし。

 ショートヘアにヘアバンドを巻いて、くりっとした目の可愛い女の子だね。うん。この子に決めた!

 え?名前もつけられる?う~ん……じゃあ『ダンデライオン』からとって、『リオン』ちゃんで。記念すべき一人目だし、どうせなら……


「この子、農園の方で雇えませんかね?」

「ああ、一人目だしな。そっちに設定するか…………よし。設定できた。これでこのキャラの生活ルーチンに、『ポトフの店で働く』ってのが追加されたぞ。」


 設定を済ませると、足を止めていたリオンちゃんは方向転換して歩き始める。おお、私の農園の方に行ってるね。園内のテントの中にカウンターがあったはずだからそこに行くのかな。あ、ちなみに本店の方はどうせリリース時には来れないので、ゆっくり作るよ。


「それから、他の街にも支店で働く用の、リオンをベースにしたNPCを生成するぞ。髪型と顔はランダムで変えておくことも出来るが、どうする?」

「お願いします。」

「よし……と。開発期間中は見た目も名前も好きに弄ってくれ。リリース後はよっぽどの事がない限り変更できないから気をつけろよ。」

「分かりました!」


 いや〜リオンちゃんを見つけられたのはラッキーだったね。たんぽぽ農園にピッタリ!


「あ、この街の支店にもリオンちゃんが……?」

「ああ、もう店にいると思うぞ。」


 楽しみだな〜。早く行きましょ!

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