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0.4.6.0 ポトフちゃんへの贈り物

 おはようございます。今日も一日頑張りましょう!


「おはよう、ポトフ。」

「わ!おはようございます!はやいですね。」


 ログインして家の扉を開けると、目の前にうさちゃんがいる!


「ああ、ポトフに早く会いたかったからな。」

「私も会いたかったです。」

「ちちっ」「ぴよっ」

「ん?」


 ……?なんだ?

 可愛い声が聞こえたと思ったら、うさちゃんの肩の上からひょっこりと、一対のつぶらな瞳がこちらを見つめている!あれ、鳴き声は2つ聞こえたけど……?ん?頭の上にもなんか……いる?燃えてる?


「ああ、コイツは『カコウジュウ』の“ちゅう”ちゃんだ。」

「ちぅ」


 うさちゃんは、肩に乗った白い塊をそっと手に取り、私の方へ差し出してきた。ずんぐりまん丸なフォルムにふわふわの被毛。大きな耳はうさぎを思わせるが、手にははっきりと肉球がついている。ふ~む。これはあれだ、『チンチラ』が元になってるのかな。


 普通のチンチラと違うのは、耳や尻尾の先が炎のように揺らめいているところ、そして、うさちゃんが触れているところの毛が赤く染まり、火の粉みたいなものをふわふわと飛ばしているところ。かな。


 あと、デカい。デカくない?チンチラってこんなもん?うさちゃんの手の上でお座りしてるけど、この状態で30センチくらいはある気がする。でもうさちゃんの手もデカイから不思議と小さく……いややっぱ近くで見るとデカいわ。


「火属性の影響を受けると、こうやって赤くなるんだ。」

「なるほど、よろしくねちゅうちゃん。」「ちぅ!」

「……今のもう1回言ってくれないか?」

「?……よろしくねちゅうちゃん?」「ちぅ?」


 なんだ?なんか変なこと言ったっけ?まあいっか。それより気になることがある。


「あの、頭の上にもう一匹います?」

「あ、ああ、『フェニックス』の“ぴよ”ちゃんがいるぞ。」「ぴよっ」


 うさちゃんが名前を呼ぶと、彼の頭の上から小さな炎の塊が降りてきた。否、全体的にオレンジ色をしたそれは、体全体が燃えているように見える小鳥であった。


 ミミズクやイワトビペンギンのような、角のようにも見える2つの冠羽、広げた翼、長い尾羽。その全てが火のようにゆらゆらと揺れ、熱を纏っている。


 ぱたぱたとうさちゃんの頭の上から降りてきたぴよちゃんに、そっと手を差し出すと乗ってくれた!あったか〜い。それにデカ〜い……小鳥じゃな〜い...…いや、フォルムは冬場の雀とかシマエナガとかの、ふくふくした小鳥って感じだけど、サイズがハトぐらいあるわ。


「フェニックスって、もっとこう、クジャクみたいな、派手なイメージでしたけど、こんな可愛い子もいるんですね。」

「ああ、そういうのもいるな。ぴよちゃんみたいな可愛い見た目のやつもいれば、クジャクだったり、鷹だったり、色々いるぞ。」

「それも、全部フェニックスですか?」

「ああ、炎のように燃えているのが共通点だ。」


 ふーん?フェニックス目クジャク科みたいな?じゃあ、ちゅうちゃんはカコウジュウ目チンチラ科?


 そうやってうさちゃんの仲間達と挨拶をしていると、頭の上にいた綿毛たちが降りてきた。2匹にふよふよ近寄り、挨拶してるみたいだ……カワイイーッ!

 ん?うさちゃんが片手にちゅうちゃんを乗せたままもう片方の手で何か操作している。


「……うさちゃん、何を……?」

「……スクショしてる。」


 !私も撮ろう。


 ──────────


 可愛い成分を堪能した所で、玄関先に突っ立ったままなのはアレなので中に入ってもらう。


「これ見てくれ。」


 家へと招き入れたうさちゃんが、そう言って机の上に並べたのは、様々な大きさのフライパンやお鍋。それから、フライ返しに……これってピザカッター?とにかく色んな料理器具。おっ、泡だて器もある。


「どうしたんですかこんなに?」

「俺なりに調べて色々と作ってみたんだ。俺には使い方がわからないやつもあるが、ポトフならわかるか?」


 そう言って手に取ったのは、取っ手の先に、穴がぽつぽつと開いた丸い金属の板がついてるやつ。ジャガイモとか潰すときに使うマッシャーってやつだね。


「はい!全部わかります!」

「そうか。じゃあ、これ全部貰ってくれるか?」

「!」


 こ、こんな沢山の道具を私に……!わざわざ調べてまで作ってくれるなんて、やっぱりうさちゃんって優しい人だなぁ。何か返せるもの……私には料理くらいしかないよなあ……


「有難くいただきます。私、これを使ってうさちゃんの為に沢山料理を作りますね!」

「ああ、楽しみにしてる。」

「毎日でも作りますからね!」

「……!毎日……毎日会えるのか……」


 ちょっと盛りました。流石に毎日は難しいかも……でもそれくらいの気概はありますよ!


「他に欲しいものはないか?」


 と、どことなくソワついているうさちゃんに聞かれる。うーん、まずはかまどの増設でしょ……オーブン……いや、窯かな?それも欲しいよね……

 あとは……鍋も泡立て器もあるし……あ、ふるいがある。これは目の荒い布を張ってるのかな?はっ、そうだ!


「かまどの増設に料理用の窯、それから、すり鉢?…………なるほど、この粉にするやつか。」

「出来ますかね……?」

「ああ、心配するな。ちゃんと陶芸のスキルもあるから俺が作ってやる。」

「ありがとうございます!」


 陶芸スキル!うさちゃんって多才だなあ……他?他は……思いついたらお伝えします。


「そうだ、街にポトフの店予定地が出来たの知ってるか?」

「あっ!知ってます!この前うさちゃんのお店に、包丁を買いに行った時に見かけました!」


 机の上の調理器具を収納していると、ふとそんなことを聞かれたので、そっと包丁を見せる。


「俺の作ったやつを買ってくれたんだな……」


 うさちゃんの作ったやつ!当たりじゃんやったね。


「それで、お店がどうかしたんですか?」

「ああ、昼からそっちのカスタマイズをやってみないか?レイアウトを決めたり、商品を並べたり。」

「おお……!やりたいです!」


 ついに私のお店が……!何を並べようかな……農作物は必須として、加工品はアリかな?なんとなく道の駅とか物産館みたいなものが脳内に浮かぶ。


「それじゃ、決まりだな。」

「はい!」


 それでは今日の作物づくりを始めましょう!ってとこで、ちょっと呼び止められる。


「ポトフ。」

「おっ、どうしました?」

「ああ、その、魔法陣を外に持って行って、作業場の近くで作らないか?ポトフが作っているところを見たいんだ。」

「いいですよ。あ、でもどうやって動かしたらいいですかね?」


 そういえば作業場のキッチンも動かそうって思ってたんだった。すっかり忘れてた。


「ああ、ちゃんとしたハウジング機能ができたからそれで簡単に動かせるぞ。」


 使い方はこう!


 1.自身の所有する家や部屋などに入ると、視界の端に“家”のアイコンが追加される。


 2.家のアイコンを選択すると、“ハウジングモード”になり、家具の移動や、デフォルトの位置の変更ができるようになる。


 そんな感じ。家具の移動っていうのはそのまんま、キッチンだったり窯だったり、普通は固定されてるようなものも簡単に動かせますよーってやつ。


 デフォルトの位置の変更っていうのは、テーブルとか椅子とか、普段生活していて動かしたり、動いたりするような軽いものに適用される。

 簡潔に言うと、プレイヤーなどが部屋にいない場合、自動で元の位置に戻るお片付けシステムだ。


 それじゃあ地下に行って試してみよう。


 家のアイコン……あ、これか。追加されてるね。選択すると、部屋全体にワイヤーフレームってやつ?縦横にのびる格子状の線が見えるようになった。これで真っ直ぐ設置が出来るってわけね。


 では、今回の目的魔法陣の回収。触ってみると、おお、動かせる。持ち上げたり回転させたり自由自在だ。このままインベントリに突っ込めば回収完了。この机と椅子も持っていこう。


 …………

 ………

 ……


 さて、作業場にやって参りました。キッチンの横が空いてるからそこに置こうかな。ハウジングモードにして、設置したいものを取り出して……机、椅子、魔法陣。これでよし!


あ、ついでに壁に向いていたキッチンをいじって、アイランド型みたいにする……よし!これで、キッチンの向かいから料理風景が見れるようになるぞ。地味に邪魔なんだよね……真後ろに立って覗き込まれるの……


「出来ました!」

「ああ、完璧だな。」


 環境が整ったので本日の作物づくり始めます!

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― 新着の感想 ―
うさちゃんいちいちじんわりしててわろた しかし30cmのチンチラはでけえ……。てっきり騎乗系かと思ってたけど、実用性より好きをとったんだな。そうだね、うさちゃん自分で走れるもんね。
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