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0.4.2.2 ポトフちゃんのケーラン料理

 なんだかよくわからないが許されたので一度お昼休憩へ。

 戻ってきたら一度木工作業台へ。フライパンの蓋になるようなものと、平皿しかないから、底の深い入れ物が欲しいので作ってみる。


「……それもうさぎが置いていったモノか?」

「ですね。」


 お下がりで悪いが……と、うさちゃんはいくつか細工道具と丸太などの木材を置いていってくれた。ありがたく使わせていただきますよ。

 あんまり大きいと難しそうだし、お椀みたいなのがいいかな。ボウルみたいな大きいのは、今度うさちゃんに鉄とかでつくってもらおうっと。


 まずはフライパンの蓋。インベントリから取り出していくつかある丸太の断面にあてて比べる。一回り大きいものを選ぶ。今度は丸太の側面にあててフライパンの幅より大きめの位置でカット。


 切った丸太の中心辺り2センチを蓋に使うので、板状に切り出す。フライパンを裏返して乗せて、縁をなぞるようにぐるーっと1周印を付け、円形になるように周りを切り落とす。


 取っ手の部分は、端材の中から小さい角材みたいなのを見つけたのでそれを使う。レジ横なんかで売ってたような、板ガムみたいな太さのそれを、釘で蓋に打ち付け、はみ出た部分を切り落とす。あ、この釘もうさちゃんがつくったらしいです。器用だね。


 最後にヤスリをかけて滑らかにする。

 フライパンに乗せてみると......ちょっとグラつくけど、蒸気穴みたいなもんだよ。うん。完成です。


 お次はお椀。直径15センチくらいの丸太から15センチくらい切り出して樹皮を剥がす。

 外側まで丸く整えるのは大変なので今回は、ヤスリがけだけして、円柱のコップみたいになるように、ノミやハンマーを使い中をくり抜く。


 角が出来ないように、丸ーく削って削って......大体の形ができたらヤスリを掛ける。荒いものからだんだん細かいものへ。


 ちょっとボコボコしてるけど、まあこんなもんでしょ。完成!自動作成が出来るから何個か増やしとこ。


「よし、これで準備完了です!早速ケーランの調理に入ります!」


 お待たせしました。もうここにある調理場で作っちゃお。


「いよいよか!おっと、撮影準備をせんとな。」


 そうでした、危うく忘れるとこだった。ゴインキョさんは私の斜め上、手元の上辺りに、レンズがついた球体……カメラ?を設置した。ある程度は私の動きを追いかけてくれるみたい。

 正面には映像を確認できる四角いモニターも設置。手をひらひら動かしてみると……ちゃんとモニターにうつってるね。それから、環境音は入るけど私達の声は入らないらしい。解説は後付だ。


 あっ、ぽぽ達駄目だよ〜君たちの可愛さを世に知らしめたいのはやまやまだけど、画角に入っちゃうから頭の上にいてね。


 カメラを調整しつつ、リハーサルとして味見用に一つ作ってみる。


 まず、かまどに少し小さめの火を入れておく。その後、ケーランを一つ、お椀に割り入れてみると、


「おっ、いい感じ。」

「おお……」


 うまいことカラザが外れて出てきた!ゴインキョさんは私の真後ろに立ってひょこひょこ上から覗いている。ちょっと邪魔かな……後でカウンターキッチンとかアイランドキッチンみたいに、調理場の位置を変えるか。


 そしてもう一個。ヘタの部分をひねってちぎると、カラザがズルっとついてくる。逆さにしてお椀に出すと......ズルンッと白身が出てきた。黄身がちょっと引っかってるので左右にふりふり。お、出てきた。よしよしいい感じ。もうちょっと柔らかい部分を増やして、穴をヘタをとった時の穴を大きくしてもいいかな。


 かまどにフライパンをセットし、表面が温まってきたら......ケーランを投入!


「おっ!?白くなっとるぞ!?」

「火が通ってきたんですね。」


 白身に色がついてきたら、ちょっとだけ水を入れる。調理台の隣、かまどの反対側に、大きな瓶があるのでそこからお椀で持ってくるよ。常に水が供給されてて減らないんだ。水魔法が使えるならそれでもよし。私もそのうち覚えよ。


 水を入れたら蓋をして待つ。1分もしないくらいかな?あ、動画にするなら、蓋ないほうが良かったかも……ま、いっか。


「ポトフ、中身が見えんのじゃが大丈夫か?」

「大丈夫ですよ多分。」

「多分、か。」


 不安になるのもまあ分かります。火はそんなに大きくないし、失敗しても黄身がちょっと硬くなるだけなのでヘーキヘーキ。さ、開けてお皿に移しますよ。


「黄色かったところまで白くなっとる……」

「『目玉焼き』の完成です!」

「目玉!?」


 期待を裏切らない反応ありがとうございます。


「ほらほら、黄身が虹彩で周りが白目なんですよ。インパクトがあっていいでしょ?」

「うむ……名前だけ聞いたら、食べ物だとは思えんのう。」

「それじゃあこれは置いといて……もう一品いえ、二品つくっていきます。」

「ん?まだあるんじゃな。」


 まだありますよ~。ケーランを2つ、お椀に割り入れてチャカチャカ溶きほぐし、既に温まっているフライパンに流し入れる。

揺らしながら箸でラン液を混ぜ、表面のラン液がドロっとするくらい固まってきたら、火からあげ、フライパンを傾けながらケーランの縁から箸をさし入れ折りたたんでいく。そして次はこれをひっくり返す。うまくいくかな……


「ほっ!」

「おっ!おおー器用なもんじゃのう。」


 大きく揺らしたフライパンから跳び上がったケーランは見事着地!成功です!あとは火の上に戻して継ぎ目を固めて完成!


「ほー……なんとも美しいのう。」

「『オムレツ』の出来上がりです!」

「オムレツ?どういう意味じゃ?」

「えーっと、外国語で、“剣”とか“薄い金属の板”とか......諸説あるみたいですね。」


 オムレツ自体はオムレットが日本語ナイズされた形だけど、そこから遡るとそんな感じの意味みたい。初めて知ったよ。


 さて、最後の1品を作るよ。オムレツと同じくケーランを混ぜ混ぜして、3分の1くらいをフライパンへ投入。うーん、丸いフライパンだとちょっと難しいかも。


「まだケーランが器の中に残っとるぞ?」

「それもちゃんと使いますよ〜。」


 火が通ってきたら、固まり切る前に左右を内側に折りたたみ、奥から手前へくるくると巻く。巻き終えたケーランは奥側へ移動させ、残ったケーランの半分をまた流し入れる。


「なるほど......巻いて層にしていくんじゃな。」

「そうです。」


 くるくる巻いて、残りのケーランも同じように焼いて巻いて......出来上がり!お皿に移して、断面はどうかな〜?お、いい感じの渦巻きだ。


「これまた芸術的じゃな。して、この料理の名前は?」

「これは、たま......じゃなくて『ケーラン焼き』です!」

「それなりに技術がいるような調理法じゃったが……名前はそのまんまなんじゃな。」


 確かに。焼くだけじゃなくて巻いてるもんね。でもだし巻き卵なんかは“巻”の字が入ってるよね……不思議。


「映像の方はどうです?」

「うむ、ちょっと待っておれ…………………」


 他の人に見てもらってるのかな……今のうちにつくったやつをテーブルにセットしておくか。ななさんから分けてもらった調味料も出しておこう。あとは〜、そうだ!生ケーランも味見用に一つ割っておこう。


「ポトフ。」

「お、どうなりました?」

「うむ、映像も動きも問題ないそうじゃ。じゃが、材料の紹介と完成品をもっと近くで映してほしいそうじゃ。編集で文字を入れたりは出来るんじゃが、カメラに写っておらん部分はどうにもならんでのう。」

「なるほど。わかりました!」


 真上からだけじゃなくて、物撮りみたいなのがあるといいってことだよね?よし、次の撮影からはカメラをもっと動かしてみよう。でもその前に。


「ゴインキョさん、ひとまず味見しましょ!」

「おお、そうするか。」


 ケーラン料理いただきます!

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