0.4.2.0 ポトフちゃんはやることがいっぱい
お休みを一日挟んで出勤です。今日からバージョンアップして0.5.0らしいよ。
クリエイターさんたちと顔合わせを済ませ、ログインしてぽぽ達を愛でる。ふわふわかわいいねぇ……そういえばゴインキョさん大丈夫かな……そんなことを考えながら家を出ると、あっ!いる!
「ゴインキョさん、おはようございます!」
「おお!おはようポトフ。」
農園の入口のところにゴインキョさんがいたので、駆け寄って挨拶を交わす。ぱっと見は普通だけど……
「その、体調とかは大丈夫ですか?」
「ふぉっふぉっ。心配させてしまったようじゃな。しっかり休みをとって、身も心もバッチリ健康体じゃ。」
苦笑しながらそう返される。まぁ、本人がそう言うならそっとしておこう。
「ところで、そのちっこいのはどうしたんじゃ?」
「はい!先日仲間にしたんです!右から、ぽぽ、ぼん、てんです!」
「おお?……全然見分けがつかんのう……」
私の周りを漂っていた綿毛達を、手のひらに乗っけて紹介する。名前を呼ばれた子はぴょこんとはねてアピールしてくれた。ご挨拶できて偉いね〜。
一応個体差みたいなのはあって、毛の根本の方に薄っっっっっすら属性の色がついている。風の黄緑色、緑の緑色、地の茶色だ。遠目から見たらほんとにわからないだろう。まあ、私はこの子達の主人だからか見分けがつくんですけどね。
「今日は何をするんじゃ?」
「今日からは、新しい作物を作ったりそれを使った料理を作りたいと思います!」
昨日思いついた卵を作ろうと思ってるんだよね。でもその前に。畑の様子を見に行きましょ。
「おおーっ、沢山生えとるのう!」
「はい!収穫しましょう!」
緑、緑、緑!わさわさと立派に成長した植物達は、色とりどりの作物をたわわに実らせている。豊作過ぎて全部は取り切れなさそうだ、と思ったけど、そのままにしておいて良いとのこと。特に枯れたりはしないらしい。
収穫しきれなかった作物は、自動的に回収され、公式からの……我が『たんぽぽ農園』からの出品という形で売りに出す予定らしい。
件の売買システムができてからの話だけどね。
ちなみに、他のスタッフさんたちも同じように公式から店を出すらしい。うちの農園みたいに実店舗もあるんだって。
「こんな広い農園を経営して、お店も出してって、なんだか……私達ゲーム内のキャラクターみたいですね」
「そうじゃのう、あながち間違ってもおらんぞ。」
「えっ、どういうことですか?」
なんでも、たんぽぽ農園含め、スタッフが経営している施設はなんか設定が色々と練られているらしい。
うちで言えば、『たんぽぽ農園ののオーナーは世界樹の森で産まれた精霊らしい』とか『俺はたんぽぽ農園で働いてるんだぜ』みたいな噂話を、森の街のNPCから聞けるとか……ひぇー、ハズカシ!
リリース後、実際にはNPCが農園に現れることはないが、作物の売買を行うNPCを一人、テント内のカウンターに常駐させる予定らしい。自動的に売りに出されるのはこのNPC達が働いてくれている……という設定だそう。
「あ、でもお店に出すなら、品質を上げすぎない方がいいですかね?」
「出荷するときには一つの品質に偏らんように品質を上げたり下げたりして数を調整するから大丈夫じゃ。高品質のものが低品質になってしまうのはちともったいないがな。」
確かにもったいないけど、それなら自由にやらせて貰います!
さて収穫に戻りまして。後は今日のおやつ用にいくつか果物を採って……あ、ビワも採ろうね〜。うちの子達が群がっているビワも採る。
それから〜、あの高いところのリンゴ美味しそうだな……どうやって採ろう、とか思っていたら、綿毛達がふよふよ飛んでいって果実に近づき……
「わっ、とと。」
「おっ、器用じゃのう。」
ゆーらゆーらと振り子のように果実を揺らし、プチッともぎとり、舞い降りるように、私の手元へリンゴと一緒に降りてきた。はぁ〜うちの子賢い!
一通り収穫を済ませたので、改めまして創作部屋へ。
「そうじゃポトフ、お主にわしらからお願いしたいことがあってな。」
「はい。」
おっ、またお願いですね。なんでも聞きますよ〜。
「1つ目は、ブタモモ?の皮のように、料理とは別の、武器や防具の素材として使えるような部位のある作物を創って欲しいんじゃ。」
「ああ、代替品にするんですね?」
「うむ。お主が創るもののついでで構わんから頼めるか?」
「もちろんです!」
ふーむ代替品。動物の皮以外だと、骨とか……鳥の羽とかもそうかな?友好モンスターの巣とかから拾って来れそうだけど、どうだろ。そうだ!ゲームだとドラゴンの素材とか定番だよね。この世界だと友好モンスターだから剥ぎ取ったり出来ないし、そういうファンタジー素材があっても面白いかも。
「それから2つ目。」
「あっ、はい!」
「お主の書いたレシピ、あれに調味料の分量も書いてほしいんじゃ。」
「分量もですか?」
「うむ。味付けやら盛り付けのアレンジは慣れた者が自由にやるじゃろうし、料理の初心者には、1から10まで書かれた基本になるレシピがあったほうが、真似して作りやすいと思うんじゃ。」
「それは……確かにそうですね。味付けも追加しましょう。」
そりゃそうだ。料理が出来ない人によく言われるのは『レシピ通りに作れ』だもんな。初心者ならなおさらよ。
「それから3つ目。これは今言ったレシピに関連することでな。」
「はい。」
「お主が料理している所を動画として記録させてもらいたいんじゃ。」
「動画?ですか?」
「うむ。やはりレシピの文章だけではわからんことも多いからのう。ほら、シイタケのイシヅキだの、半分に割って種をとり除くだの、見たことも聞いたこともないようなものをどうこうしろと言うのはなかなかに無茶な要求じゃろ?じゃから、ゲーム内の掲示板に『ものづくり応援コラム』のようなものを設置して、そこに実際に料理や家具を作っているところを、手本として定期的に載せようという話になったんじゃ。」
「はぁ~。なるほど!」
料理動画!たしかにわかりやすいよね。ショート動画だっけ?前はああいうのいっぱいあったよね。
「手元だけ撮らせてもらえればいいんじゃが、どうじゃ?」
「はい!大丈夫です。やりましょう。」
よーし、卵を作ったら色々料理しよう!




