表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/33

0.1.0 初出勤だよポトフちゃん

 さてさて、本日は初出勤です。……本当は来週から出勤する予定だったんですけどぉ……気合い入りすぎて本来の入寮日の一週間前に来ちゃってぇ……有難いことに入れて貰えました。本当に申し訳ない。


 そして嬉しいことに、暇そうにしていた私を見かねてか、そんなに楽しみなら今週から働いてみる?とお誘いを受けまして、是非!と言う返事をした次第であります。


 というわけで、ロボットアニメにでてくるようなコックピットみたいなVR機器に乗り込んで!

 いざ!ユービキアス(仮)の世界へ!!!







 ......

 ..........

 .............

【ようこそ ユービキアス(仮)ver.0.4.2へ】



 空中にほわっと文字が浮かぶ。バージョン0.4.2だって!

 こりゃ、古参勢なのれちゃうね。

 ぐんぐん伸びるローディングのバーが埋まると、真っ白い光に包まれる。うわっ眩しい!


「ふぉっふぉっふぉ。ようこそユービキアスの世界へ。」

「あっ、担当の方ですか?」

「ウン……もうちょいノって欲しいな……。」


 この、白いローブに白いおヒゲのいかにも神様!な格好で、ノリノリのロールプレイをしている人は、プロジェクトチームの方である。

 私たちクリエイタープレイヤー達についてまわって、これは実装していいよ〜これは駄目だよ〜とか、ちょっとしたお手伝いやアドバイスをしていろいろサポートしてくれるらしい。

 編集者と漫画家みたいなものかな?


「マンツーマンなんて、なんか贅沢ですね。」

「そうじゃのう、本来一人で2、3人のチームを見るんじゃが、『ご飯』チームはお主だけじゃからな。」

「……それってこの世界でご飯を作りたいと思ってるのは私だけってことですか…?」

「そうじゃよ。」


 ま、まじで……?


「じゃあなんで私採用されたんですか……?」

「ほら、『トイレがあるゲームはいいゲーム』と言うじゃろ?」

「聞いた事ない慣用句ですね。」

「つまり、どうでもいい所をまで作り込まれたゲームは、造り手の熱意が感じられて良いということじゃ。」

「ご飯がどうでもいい所扱いされてる……!!」

「う〜んお主の応募データが、ゴミ箱シュートされかけておったのは事実じゃからのう。」

「じゃっ、じゃあどうやって腹を満たすんです!?こういうゲームって空腹度だか満腹度だかありますよね?」

「そこはポーションでちょちょいのちょいじゃ。」


 うぐぐぐぐ

 こうなったら、ご飯をこのゲームのメインコンテンツにしてやる……(流石にそれは無理じゃと思うぞ)


「ほれ、唸っとらんでアバターを作るぞ。」

「はぁい。」


 そう言って担当さんが手をすいっと動かすと、ポコンッ!とウィンドウが浮かぶ。


「ん?真っ白ですよ?」


 空白のテスト用紙のようなそれに首を傾げると、目の前に羽根ペンがふよふよと寄ってきた。


「それで直接書き込むんじゃ。」

「なーるほど。これって本名じゃなくていいんですよね?」

「うむ。リリース後もこのアバターを使って貰うからの。」


 ひとまず名前欄にはハンドルネーム、うーん......本名から取るか……イイモリ……イモリ…違うな……イモ……ポテト……ポ、ポ、


「よし、私は今から『 ポトフ』ちゃんだ!」

「『ポトフ』?…………ふむ、料理の名前か。」

「ですです。」


 食べ物のハンドルネームの人ってよく居るよね……まあ私ポトフが大好物ってわけでもないんだけど。

 ちなみに担当さんは、ポトフを知ってた訳じゃなくて、ネットで検索したみたい。ゲーム内でブラウザ使えるんだって便利ー。レシピ見放題だ。


「性別はー女でー、お次は種族か。」


 こちらは回答欄の所に触れると、ずらーーーーーーっとリストが出てきた。これ100超えてない?


「うわっ多っ!」

「開発チームがアバターを作ったときに思いついたのを片っ端から追加したんじゃろうな。」


 ドワーフ、エルフ、妖精族……猫人族、犬人族、狼人族……

 ハーフエルフ、ハーフドワーフ、ハーフ……すごい細分化されてるなぁ。だからこんな多いのか。


「これ、猫とか犬とか、まとめて獣人族とかに出来ませんか?獣人の大カテゴリから、更に小カテゴリの犬猫を選択できるようにするとか…。」

「ふむ……。」

「このハーフ系も、最初から種族を2つまで選べるようにしたらよさそう。」

「………………出来たぞ。」

「えっ?ほんとだ!スッキリしてる!」


 すごい!リアルタイムで反映される、これが最新技術……!


「本来は、他のスタッフに相談するもんでもちっと時間がかかるんじゃが、今は皆ポトフのことを見とるからな。早いぞ〜。」

「?皆見てるって……?」

「今働いとるクリエイタープレイヤーはお主だけじゃからなぁ。手が空いとるもんはこっちのこと覗いとるぞ。じゃから、気づいた事は今みたいにどんどん提案するといい。」


 み、見られてる!?ドキッとして思わず周りを見渡してしまう。


「そんなわかりやすいところにカメラなんてあるわけないじゃろ。」


 ごもっともで。改めまして種族欄を見る。横に作成された小さいプラスマークのボタン、ここから種族を追加で選べるようだ。おっ、検索欄も追加されてる。


「あれ、4つまで選べるんですね。」

「クォーターを作ったもんが中にはおるからの。」


 とりあえず目に入ったドワーフを選択してみると、ステータスと可愛らしいドワーフの女の子の3Dモデルが表示された。デフォルトのアバターがこれなのかな。


【ドワーフ族】《小柄》《頑丈》

 ”ドワーフ族フレーバーテキスト“

 体力:40/40 魔力:6/6 スタミナ:60/60

 攻撃力:6 防御力:5

 

 筋力 :6 生命力:10 

 知力 :3 精神力:2

 器用さ:8 素早さ:1

 運  :5


 固有スキル

 《スタミナ・体力アップ(特)》

 《製作スキル取得経験値アップ(特)》

 《防御力変換〈攻撃力〉(微)》

 《火・地属性(特)》

 〔素早さダウン(特)〕

 〔魔攻・魔防ダウン(大)〕

 初期スキル

 〈鍛冶Lv.2〉

 〈彫金Lv.1〉

 〈シールドバッシュLv.1〉



 う~ん、いっぱい出てきた。《小柄》と《頑丈》は種族の特徴みたいなもんかな。『生命力』と『器用さ』が高い。屈強で鍛冶の得意なドワーフらしいステータスだ。


 素早さダウンは、身長が低いからかな?3Dモデルも身長は私よりも頭一個分低い。骨太で手足がやや大きいガッチリした体格をしていて、だいたい120センチぐらいだろうか。いやそれにしたって素早さ低いな。

 で、素早さ以外にも気になったとこが。


「なんですかこのフレーバーテキストって。」

「そこはまだ原稿ができておらんのじゃな。仮テキストを置いておる。もしいい感じのテキストを思いついたら提案するといい。採用されるかもしれんぞ?」

「へぇ〜。まぁ、そういうのは後でいいかなぁ……それとコレ『素早さ』低すぎないですか?動けます?」

「素早さは別に移動速度のことではないぞ。自分より低い相手の動きは遅く見えるんじゃ。逆もまた然りじゃがな。文字に触れると詳しい説明が出るからそっちも見てみるといい。」


 詳しい説明か……試しに《防御力変換〈攻撃力〉(微)》をタッチしてみる。


 《防御力変換〈攻撃力〉(微)》

 〈防御力の20%の値を攻撃力に加算する。※このスキルは成長可能です。(上限100%)〉


 ……強いな?最大で100%て。防御力は生命力の半分の数値っぽいからそっちを強化するだけで攻撃力も上がっちゃうんだ。お得〜

 

 もう一個気になったやつ。


《製作スキル取得経験値アップ(特)》

〈全ての製作スキル取得経験値が100%アップ※魔力不使用スキルのみ〉


 ほーん。実質2倍か。魔力不使用ってなんだ?あ!ポーション作りとかが魔力使ってるのかな?……料理ってどっちだ……?


「料理スキルってこの製作スキルの中に入ってますか?」

「……………………」

「………もしかして今なんか話し合ってます?」

「…………えー、『ご飯』はポーションと近いカテゴリじゃから《製作スキル(魔)》の方に入っとるな」

「今創りました?」

「えー……はい。」


 スゥーーーーーーーーッ(深呼吸)

「家事カテゴリにも入れといてください」

「はい。」



 さて気を取り直して。


「これハーフとかクォーターはどうなるんですか?全部取り?」

「固有スキルと初期スキルは、それぞれの種族から累計3つ、加えて属性スキルを1つの合計4つまでじゃ。ハーフならデバフスキルを3つ、クォーターなら4つ選ぶ必要があるぞ」

「へぇ、いいとこ取りはできないんですね。そして、選んだ種族が多いほどデバフも増える、と。」


 そんな話をしながら、つらつらーっと一通り目を通す。


 エルフは、ドワーフと真逆の《製作スキル(魔)》と《全属性(特)》がある超魔法特化型。ただし、物理に対しては、タンスで小指ぶつけただけで死にそうなくらいペラッペラなので、さすがに却下。


 獣人系は、見た目のバリエーションは豊富だけど、どれも物理アタッカー寄りなステータス。う〜ん。近距離でボコスカ殴るのはちょっと私には向いてない気がする。


 魚人なんかは、水中で呼吸出来たり、泳ぎが速くなるスキルを持ってる。ただし、天候がいい日に陸にあがっちゃうと持続ダメージをくらったりする。


 ブラウニーやシルキーなんかの家事スキル持ちな妖精を見つけて、いいじゃん!って思ったけど、前者は《恥ずかしがり(特)》〈人、モンスターに見られている間ステータスが50%ダウン〉、後者は《家付き妖精(特)》〈屋内ではステータスが100%アップ屋外にいるとステータス50%ダウン〉このスキルがネック。


 ステータス半減はデケェ〜。普通にこの世界を冒険したいので、選考落ちです……



 なんやかんやでピンとくるものがなかったので、思いきって創作種族を作ってみるぞ!

 

 ちなみに……種族が創れるなら選択肢とかハーフ系いる?と思われるだろうがあれは、種族が思いつかなかったりする人もいるので、カタログみたいなものだと思って貰えればいい。

 ハーフ系は、猫獣人に魚人をかけ合わせ水中呼吸をつけたり、ドワーフに巨人族で素早さダウンを消したり……そういった、本来の種族の特徴とはかけ離れたユニークスキルを取ったり、デバフスキルを消したりする為のものなんだそうだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ