0.4.5 ポトフちゃんの焼きブタモモ
「こんなもんでどうだ?」
「いい感じですね!」
「では、この調理場を農園の支店にも設置しておきましょう。」
「デザインが気に入らなければ、他のプレイヤーが作るモノと入れ替えられるからな。」
調理器具を作ったあとは、加工場と家の中の2箇所に流し台やかまど等の大きな設備を作ってもらった。……私用のサイズなのでちょっと低い。支店に置くやつはもうちょっと大きくしてもらおう。
「ポトフさん、そろそろよろしいでしょうか……?」
「作りますか……!ブタモモ料理。」
ご期待に応えまして。インベントリに入れていたブタモモを取り出し、ででんっと調理台の上に並べる。ななさん、その撫で回してる奴は……え?引き取ってもいいか?どうぞどうぞ。え?うさちゃんも欲しい?ああ、どうぞ。
引き渡しが終わったので改めてブタモモに向き合う。まずは皮剥きから。どこから刃を入れようかな?薄皮を再利用する、と考えると縦に切れ目を入れるのは避けたいので、しっぽ……ヘタを切り落とそうか。
ヘタの少し下あたりに黒曜石の包丁を滑らせると、恐ろしいほどの切れ味でなんの抵抗もなく切れてしまった。こういうぐにゅっとした柔らかい物って、もっと切りづらいと思うんだけど……もしかして説明文に書いてあった“スパっと切れる”っていうのもこの包丁の特殊効果なの……?ちらりとうさちゃんを見ると目が合い、心なしかドヤっとした笑顔を送られる。ブタモモをもみもみしながら……
ヘタを切り落とした断面は円形で、ハムみたいな円形で、外側が白く内側にいくにつれて赤身が増えていく。制作中は、縦切りにした断面で“ザ・豚バラ”な形……というか模様?にしていったので、不意打ちな断面図にびっくりだ。こうなるのか〜。
さて、この皮の剥き方。私としては、皮全体を靴下みたいにクルンッ!ツルンッ!とやりたい。
断面の身の部分をおさえながら、縁の皮を外側へ剥がすように引っ張ってみると、ペリッという音が。お、いけそうか?そのままぐるっと一周縁の部分をちょっとずつ剥がす。そして断面を正面に向けて反対側を台と私のお腹で支えながら、皮を引き下ろす!
ペリペリペリーッと音を立てながらきれいに皮が剥げる!き、気持ちいい〜!イカの皮とか鶏の皮とか、ああいうのが上手く剥げたときの感覚だ……!
ただ、剥げたのは外の皮だけで、薄皮がまだ残っているようだ。こっちも同じようにペリペリ。
こっちは剥がし終えるとキュッと縮んだ。よしよし、想像通りだ。さて次は……といったところで後ろからお声がかかる。
「ポトフ、その皮って何かに使うか?」
「え?う〜ん、そのうち使う……かな?」
薄皮は言わずもがな、外皮は……確か、豚の皮からゼラチンが出来るはずだから、そのうちレシピを調べてやってみようと思ってる。うさちゃんも何かに使いたいの?
「そうか、使うのか……いや、今まで使ってた素材がいくつか消えてしまったから、その代わりに使えないかと思ってな。」
「確かにそうですね。豚の畜産をやっていた場所でそのままブタモモを栽培することになるので、素材として使えるのであればこちらとしても非常に助かります。」
ああ〜、例の動物性素材ね。
どうぞどうぞ。使えそうなものは使っちゃって下さい。
ちなみに普通の豚は愛玩用としているらしい。
料理再開するよ〜。
脂身が白く輝くブタモモ。断面がなかなか美しいので今回は輪切りにする。薄ーく切ってカリカリに焼いたヤツが好きなんだよね。種にあたっちゃったら、縦に4等分して普通の豚バラブロック風にしてから薄切りにしようかな。
それにしても切れる切れる。向こう側の光が透けて見えるくらい薄く切れる。普通の家庭用の包丁じゃこんなの出来ないよ……
「ずいぶん薄く切られるのですね……」
「味見用にサッと焼いて火が通るように切ってみました。もうちょっと厚めに切ったやつも食べますか?」
「是非ともお願いします……!」
個人的に、薄〜く切ってカリカリに焼いたヤツが好きなんだけど、物足りなさそうな声を聞き、急遽他のサイズも追加です。
大体1センチくらいかな?輪切りにして〜って、種あるじゃん。種に沿って縦にブロック状に切って、焼き鳥屋さんにあるような厚さにイチョウ切りにしていく。豚をイチョウ切りにするとは……
さあ、ブタモモひと玉切り終えました!いよいよ焼くよ!
かまどに薪を入れ、火をつける!〈火矢〉!よし着いた!火のあたる上部にあいた穴に、ぴったりフィットするフライパンをセット!フライパンが温まってきたら薄切りを投入!
「まぁ!すごい音!」
「2本の棒で器用だな……おっ、色が変わってきた!」
「なんですかこの匂いは!」
「おお、形も変わってきた!」
ジュウーッ!と音を立てながら焼けるブタモモに興味津々のお二人がやんややんやと両サイドへ。あっ、ちょっと、うさちゃん気をつけてよね。
赤からピンクへ、更に白っぽくなりしわしわに波打つ。縁にちょっとだけで焼き目が出来たらひっくり返す!ああ!自身から出た油でカリカリに焼かれた、美味しそうな茶色い焦げ目が!……油の出やすい豚バラにしたのは正解だったな。フライパンにくっつきにくくていいや。この世界じゃ、そもそもくっつかないのかもしれないけど。
食欲をそそる香ばしい匂いが充満し、よだれが止まりません……そろそろいいかな?裏を見てみると……うん。焼けてるね。じゃあお皿にあげます!
「『焼きブタモモ』の完成です!」