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0.4.4 ポトフちゃんの道具制作

 というわけで、うさちゃんが頭用の防具を作ってくれるよ。木で作ってくれるみたいだからよく観察しなきゃ。


 うさちゃんは取り出していた丸太の樹皮を剥ぎ、作業台の上に並べていく。ある程度剥がし終わったら、今度は並べた樹皮をハンマーで叩いて鞣していく。樹皮も鞣すって言うのかな。


 柔らかくなった樹皮のガサガサした外側を取り除き、内側のしなやかな部分を繊維に沿って大きく裂いていく。あ、私にも出来る?やりますやります。


 裂き終わった皮を籠のように編み上げていく。半球の形になってきたら、縁部分をくるくると巻き付ける様に織り込んでいく。最後に長過ぎる皮紐の部分を切って……


「『木の帽子』完成だ。」

「おお~。」


 あっという間に出来上がった!早速手にとってみる。


『木の帽子+75』〈並〉〈防御力+2〉重量:0.1G

 “初心者でも簡単につくれる木の帽子。”


「この“+75”って言うのが補正値ですよね?具体的にはどんな効果なんですか?」

「本来の装備品の効果値にそのまま加算されます。そちらの木の帽子であれば、防御力が77上がると言うことになります。」

「防御力77……レベル1の初心者が持ってていいものじゃないですね……」


 コネ入社ならぬコネ入手……私キャリーされちゃってます……


「……俺としては、それをつけてガンガンレベル上げしてもらえると嬉しいんだが。」

「レベル上げを?」

「ポトフさんの精神力がうさぎさんの知力を上回れば、ウッカリ死の心配がなくなりますからね。」


 ああ、無効化ね。そうなると何レベル上げればいいんだろう……+75って相当レベル高いよね?


「現在のレベル上限は30です。1上がるごとに全ステータスがプラス1され、自由に割り振ることのできるボーナスポイントが7与えられます。」

「俺は器用さに全振りしてるし、初期ステータスの賢さもポトフより低いから、俺と同じ30まで上げれば間違いはないな。……今からでもレベル上げに行かないか……?」

「今はやることかあるのでご遠慮しときます。」


 しょんぼりするうさちゃんを横目に、帽子を装備してみる。えーっとまず、インベントリを開いて『木の帽子』を選択。

 説明欄に、〈装備する〉の選択肢があるのでそれをタッチ。〈E〉のマークが着いたので着れたかな?装備品画面を出してチェックすると、スロットが一つ埋まっている。ここからもつけ外し出来るね。ステータスには素の防御力を足した“防御力︰80”の文字。よし!ちゃんと装備できた!


 頭を触ってみると……スキンを着けてるから綿毛のまんまだ。ちょっと外してみよう。

 綿毛の中にまとまっていた髪がバサッと肩に落ちる。再び頭を触ってみると、ざらりとした感触。

 鏡、は無いけどスクショ機能がたしかあったよね?自撮りモードにして自分を映す。おお……木の帽子だ……!

 ……後ろに、綿毛が消えてショックを受けているうさちゃんが映っているので、スキン戻しますね。ついでに帽子も外そっと。


「!?な、なんで帽子を外したんだ!?」

「綿毛を堪能するのは後にしてくださいね。」


 まだ私が頼んだもの一つも作ってないでしょ!


 気を取り直して、 作業再開。大きな丸太を使いやすい大きさに切る。まな板用に40センチくらいの幅。お皿用に……3センチくらいの幅で3枚。端材でカトラリーもつくれるかな。丸太を押さえてもらって私もギコギコ切っていると……


【スキル〈木工〉を取得しました】


 ピコン!と通知が来た。やったね〜。


 まな板くらいなら私一人でもつくれると思うので、道具だけお借りしてうさちゃんには他の仕事をお願いします。


「包丁とフライパンか。」

「はい。料理には必須です。」


 そうです鉄製品です。流石に鍛治はなんかカンカンやってるな〜ぐらいしかわからないので大体の大きさだけ伝えて後はお任せします。


 ──────────


 ギコギコカンカンやって小一時間。まな板はなかなかうまくできた。お皿は……ちょっとグラつくけどまあ、平皿だし汁物を入れるわけじゃないから大丈夫でしょ。お箸もちょっと曲がっちゃったけどつまめるからいいかな。と思ってたけど、この人達のお箸使えるのか……?という疑問にぶち当たったので、急遽フォークを作ることにした。むむむ……均等に削るのって難しい。尖らせれば刺せるよね。これでよし。


「ポトフ、こんな感じでどうだ?」


 ウンウン唸りながら木材と格闘していると、ゴトッと作業台の上に完成品がのせられた。


 目の前にあるのは刃渡りが16センチほど、切っ先の方はやや丸みを帯びている、いわゆる三徳包丁と呼ばれるものであった。柄の部分には帽子にも使った木の皮が巻いてある。しかしこの刀身……どう見ても金属ではない。


「これって……黒曜石って奴ですか?」

「ああ。よく知っているな。」


 鈍く光る金属とは違って、黒い刀身はキラキラと宝石のように光を返している。手に取るとアイテムの詳細が表示される。


『黒曜石の包丁』〈専用ツール〉重量:0.1G

 "黒曜石で出来た包丁。どんな食材もスパっと切ることができる。劣化しない。料理専用。"


 珍しく解説文がついてる。……料理専用ってことはもしかして今書いた……?

 専用ツールっていうのは、特定の作業に使える道具についてる。さっきから使ってる、ノコギリとかもそうだよ。


「この劣化しないって言うのはなんですか?」

「文字通りだな。そっちのノコギリには耐久値がついてただろう?大体のツールや一部の武器に設定されていて、0になると使えなくなって、素材を使って修理する必要があるんだが、その包丁は劣化しない……つまりそういう手間がないんだ。」

「い、いいんですかそんな良いもの作って貰っちゃって……」


 ちら、とななさんを見るとにっこりと頷かれる。いいんですね……


「こっちはサブ武器として使ってくれ。」


 ウワーッ!もう一本出てきた!こっちは武器だ!!!ユニーク武器だし劣化しないし補正値ついてる!しかもなんか色々書いてある!盛り過ぎじゃない!?いいんですかこれ!??あっ、いいんですか……


「レベル上げてたくさん強化してやるからな。」


 爽やかな笑顔でそんな事言われましても……なんでも、一部の武器には打ち直して品質や補正値を上げるシステムがあるんだとか……こやつもしや、綿毛に会いに来る口実を……?


 このあと出てきたフライパンは普通のフライパンでした……よかった耐久値ついてる……


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