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0.8.1.2 ポトフちゃんのお忍び料理

 野営地でぷるぷるフィーバーの後はお昼休憩。

 午後からは、湖の国で調理場を覗くついでに料理をしようと思います。


 ………

 ……

 …


 途中で農園に寄り、食材を買い込んでから商人ギルドにある調理場へ。

 中には意外と人が入っていて、12ある調理台の過半数が埋まっている。

 調理台の数が少ない?大丈夫。満員になると、どんどん新しい部屋が出来て、溢れた人はそっちに入れるよ。定員は12パーティ。つまり、最大48人まで。


 周りの人たちを観察しながら、空いてる調理台へと向かう。

 鍋をかき混ぜる人、野菜を切る人……皆一様に、空中にチラチラと目をやっているのは恐らく動画を参考にしているのだろう。


 おっ、あそこの鬼いさんはオムレツを作ってるのかな?フライパンの上で黄色い塊が揺れているのが見える。


「よっ!」

「「「おおー!」」」


 おおっ、見事な宙返り!思わず感嘆の声が漏れ、周りからも小さな拍手が起こる。そんな、照れたようにはにかむ鬼いさんの、隣の調理台を使わせていただきます。


 さて、何を作ろうかな。掲示板をちょっと覗いてみるか。


 ─────────


 〈わたあめ〉ってやつ気になる


 色んな小説で見かける、〈パウンドケーキ〉が食べてみたい


 〈油揚げ〉がほしいです


 ───


 おお、書き込まれてるね。

 ちなみに、食べ物名の周りのカッコ、これをつけて書き込むと、AIが自動的に収集して、リストにしてくれるようになってるよ。快適〜。


 わたあめは難しいな。道具がない。魔法を駆使すればどうにか作れたりするかもしれないけど……どのみち今は無理だね。

 でも、作るのとは別にわたあめ作物みたいなのがあっても面白いかも。植物?いや、氷砂糖とかあるし鉱物?メモメモ。


 油揚げは……豆腐から作るんだったよね。豆乳は作れるだろうけど、にがりが無い。保留かな〜。


 ということで、この中で今作れそうなのはパウンドケーキ。作ってみよう。


 はじめに、長方形の型を作る。一応、持ってはいるんだけど、初心者がそんな用途が限られたものをピンポイントで持ってたらなんかおかしくない……?

 ということで、大きいラッ葉の端を切って形を整え、折り紙の要領で箱にするよ。耐久性に不安が残るので、二重にしとこ。これでよし。


 んで材料は、ケーラン、薄力粉、バター、砂糖。それぞれ100グラムずつ用意。全部同じ重さっていうのがいいよね、なんてったって覚えやすい。異世界に行った人がこぞって作るわけだ。


 まずはバターを取り出すためにモーチの実を解体するところから。包丁をバシバシ叩きつけて中身を取り出します。モッツァレラチーズに生クリーム、ミルク、バター。これでよし。


 お次は材料を混ぜる。ボウルにバターと砂糖を入れて混ぜる。クリームのようになったらケーランを入れてさらに混ぜ混ぜ。

 最後に薄力粉をふるい入れ、混ぜ合わせたら型に流し込み、窯へGO!とりあえず10分焼いてみる。


「あの、何作ってるんですか?」


 窯を覗き込む私の後ろから話しかけてきたのは、青白い顔をした長い黒髪の幽霊のような女性。どうやら、私の後ろの調理台で作業していたようで、気になって見にいらっしゃったようです。


「パウンドケーキってやつです。」

「パウンドケーキ?なんか聞いたことある気がする……レシピってどこ売ってました?」

「えっと、これはネットで見つけたレシピを参考にしてるので、どっかのお店で売ってたとかじゃないんですよ。レシピに載ってたものと似た材料が売ってたので、作ってみようかなって。」

「ネットで?あ、災害前の?材料が似てるからって、同じものが作れるんですか?」

「ふふっ、それを実験中です。」


 実験中というか実装中というか。

 焼いた生地を一旦取り出し、一文字に切れ目を入れ、再び窯へ。表面がきつね色になるまで焼きます。


 焼き上がったら常温の冷温庫へ入れて粗熱をとる。

 最後にラッ葉を剥がして、1センチほどの厚さに切り分けて……『パウンドケーキ』の完成!


 なお、このパウンドケーキ現在の名称は『創作料理〔パウンドケーキ〕』

 甲括弧の中は作った人が自由に変えられるよ。

 それから、細かい作り方のレシピは残らないけど、使用した材料が記録されて自動作成ができるようになる。今のところ記録できる上限は10品で、ジョブが料理人だともっとふえるよ。


 余談はさておき、もうひと工夫。切り分けたものをいくつかラッ葉でくるんで冷温庫へ。

 味を馴染ませるために時間を経過させます。1日、2日、3日……時間をずらして合計4パターンのケーキを作りました。


 それじゃ、早速味付けに移りましょう。いただきます。


 まずは焼きたての奴から。

 そっと指でつまむと、柔らかな生地がふにゅっと形を変える。

 一口頬張ると、バターの芳醇な香ばしさが鼻に抜ける。ふんわりとした内側に、少しだけサクッとした縁もアクセントになって美味しい。


 時間を置いたものは、日を置くごとにしっとりと味が馴染み、ずっしりと濃厚さが重みを増していく。3日置くといいって書いてあったけど、まさにその通りだね。


 残りは全部冷温庫でこれにしちゃって、更に小さく、一口サイズに切り分けて……


「さ、皆さんもどうぞ味見してみて下さい。」


 興味津々で私の周りに集まっている皆さんにおすそ分け!


「わ、柔らか〜。」

「んー!美味しい!」


「これ……創作料理ってことは、パウンドケーキは実装されてないって事だよね?アイデア募集スレに書き込んでみたら?」

「いいじゃん!創作料理も投稿していいって書いてあったし。」

「そうですね。せっかくだから提案してみましょうか。」


 ふふふ、こうして私が作ってる時点でレシピの実装はほぼ確定なんですけどね。

 それじゃ、もう一本作ってスクショを取り、スレへ貼り付けましょう。


 ────────


 〈パウンドケーキ〉作ってみた。レシピはこんな感じ。

 材料

 ・ラッ葉 

 ・ケーラン

 ………

 ……

 …

 ────────


 これでよし。


 残った時間は、このパウンドケーキをアレンジしてみるよ。

 サイコロ状に切ったリンゴ、砕いたローストクルミ、潰したバナナ。ひとまずはこれくらいかな。


 どれもこれも、おすそ分けした皆さんに好評でした。しかも、お返しに色々と貰っちゃった。


 モッツァレラチーズの入ったオムレツに、砂糖を使った甘い卵焼き、バターをたっぷり使って、揚げ焼き風になったジャガイモガレット……


 私の料理している姿を見て、“そういうのもアリなんだ!”と皆さん閃いたみたい。

 時折、これどう思う?なんてアドバイスを求められながらも、十人十色、多種多様なアレンジを見せてくれたよ。

 まあ、全部が全部美味しいものではなかったけど……これはこれで楽しい。


 そんな風にバカやってると、あっという間に終業時間です。またこうやって混ざって料理しよっと。それでは、今日も一日お疲れ様でした!

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