0.7.4.1 ポトフちゃんとスライム
『……ただのスライムね。』
水滴のような見た目のプルプル震える小さなスライム。アッ、カワイッ!
ペチョッと音を立てて着地したスライムは、私たちの存在に気づくとギクリ、と体を強ばらせ、更に激しく震えが始めた。なんだか怖がられてるみたい……?
慌てて反対方向へと逃げだすものの、途中で力尽きてぺったりと平たく伸びてしまった。
『この子……怪我してるみたいね。そうだ!さっき採った薬草をあげてみて。』
「わかりました!」
なるほど、どことなく萎んでいるのは怪我してるからか。それは放っておけません。
そろりそろりと近寄ると、びくびくと怯える潰れたまんじゅうのようなスライム。体力が尽きてもなお、私達から距離をとろうと少しずつ動いている。ダイジョウブダヨーコワクナイヨー。
近くで見ると、手のひらに乗りそうなほど小さいのがよくわかる。うーん、可愛いな。
とりあえず、インベントリから薬草を取り出してみたけど……どうやってあげればいいんだろう?口とかもないし……とりあえず体の上に乗せてみるか。
体に覆いかぶせるように、薬草を置いてやると……スライムに接しているところがじわじわ溶け始めた!体が透明だから、少しづつ吸収されていってるのがよく見える……
全て食べ終わる頃には、丸々と膨らんで肌艶もよくなった気がする。これで合ってたみたいだ。
すっかり元気になったおまんじゅうスライム。てっきりそのまま逃げ出すものと思っていたんだけど、私の方へ近寄ってきた。ああ〜可愛い!相変わらずプルプル震えてるけど、どうしたのかな?
『もしかしてこの子……アナタについて行きたいんじゃないかしら?』
「えっ、そうなんですかね……?」
あ、これってテイムのチュートリアルなのかも。こんなに可愛い子を貰えるんですか、やったー!
ラアネさんの指示に従い、さっき拾った黒晶石への魔力を込め、魔晶石へ変換。スライムに与えてテイムチャレンジだ。ほーら、お食べ〜。
ソッと石を乗せてやると体に取り込んで消化し始めた。お、早速名付けウインドウが出てきたよ。
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【テイムに成功しました。名前をつけて下さい。】
〈イミテーションスライム(無)〉
[ここに名前を入力]
[決定]
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イミテーション……宝石のイミテーションとか聞いたことあるよね。偽物とか模造品とか…?そういう意味かな?
名前どうしようかな〜。見た目は水わらび餅とか水信玄餅とか……餅は既にもちさんがいるからなあ。
ん〜、ほかの特徴は……プルプル震えてること?あ、いいかも。よし、決めた、君は今から“ぷるん”ちゃんだ!これからよろしくね。ぷるんちゃん。
さーて、ステータスはどんな感じかな〜?
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【ぷるん〈イミテーションスライム(無)〉】レベル:1 なつき度:1
”周囲の環境に合わせて、擬態する特性を持つスライム。水を与えると、クリアスライムの様に透明になる。“
現在の見た目:ノーマルフォルム
体力:4/4 魔力:1/1 スタミナ:6/6
攻撃力:1 防御力:1
筋力 :1 生命力:2
知力 :1 精神力:0
器用さ:2 素早さ:1
運 :5
特性
《擬態するスライム》
特定のアイテムを与えると、見た目とステータスが変化する。※レベルとスキルレベルは変化後も引き継がれます。
《ノーマルフォルム》
ごく普通のスタイル。クリアスライムに似ている。ステータスはランダムで成長し、変身するたびに数値は変動する。※ステータスの変更は1日1回まで可能。
スキル
〈溶解液lv,1〉
敵の防御力を下げる。
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アイテムを与えると変化する……もしかしてこの子、丸パンにできるやつ?なんか変身とか数値が変動とか、トリッキーなこと書いてあるし、レアなモンスターっぽい雰囲気。
見た目やフォルムのところにはなにやら錠前のマークがついている。どうやら、これで気に入ったものをロックできるようだ。見た目は丸パンだけど、ステータスはノーマル……ってのもできるのかな。
でも変えられるのは1日1回だけ……変身するたびに変わるから、厳選できないように、ってことかな?
見た目のほうはどうなんだろ、1日の上限はないのかな?後で試してみよう。
さて、ぷるんちゃんが仲間になったことで、ちょっと問題が。連れ歩けるのって、3体までなんだよね。
今はパーティを解散してぽぽ達がいない状態だからいいんだけど、ぷるんちゃんは4体目だから、ぽぽ達を連れてこようとすると1体はあふれてしまう。
その場合、1体はもちさんと農園で留守番することになるのだが……プルプルと怯えるぷるんちゃんと離れるのは少々心配だし、仲良くほわほわしてるあの3匹を離すのは忍びない……
ゲームだし気にする必要ある?って思う人もいるかもしれないけど、私は気になる。
なので決めました。サブの職業を“テイマー”にします!テイマーは連れ歩きが強化される、みたいなことを聞いた覚えがあるので、きっと、数も増えるよね?
まあ、その辺はまた後で考えよう。今はぷるんちゃんだ。これから街まで歩くんだけど、体の大きさ的に私達に合わせるのは大変だろうから、私の肩に乗ってもらおうと思う。
その為に、今だに体を震わせる怖がりなぷるんちゃんに「おいで。」と優しく声をかけ、手を差し伸べる。
いきなりの出来事に、ビクッと跳び退くぷるんちゃん。しかし、私が何もしないと分かると、おずおずと指先に乗って来た。
はぁん、柔らか……ひんやりぷよぷよで、揉みしだきたいところだけど我慢…
手のひらの上で私を見つめる(?)姿は非常に愛らしい。
「これからは私が守ってあげるからね。」
そう伝えて指先で撫でてやると、少しだけ震えが治まった……ような気がする。肩に乗せると、首元にそっとすり寄ってきた。ああ~プニプニ当たってます。
『ふふっ、すっかり仲良くなったみたいね。』
「はい!」
新しい仲間も出来たことだし、張り切って街へ向かいましょう!




