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0.7.4.0 ポトフちゃんと再会

 おはようございます。今日もゲームで遊びますよ。チュートリアルどんな感じなんだろうな〜。楽しみ!

 早速VR機器に乗り込み、いざ!ユービキアスへ!


 ………

 ……

 …


【ようこそ ユービキアスver.0.9.1へ】


 いつも通りのローディングが終わると、どこか見覚えのある真っ白い空間に降り立った。辺りを見回していると、厳かな、それでいて穏やかな声が鐘のように響いた。


『無垢なる魂がまた1つ、この世界に生まれ落ちたか。』


 うろつかせていた視線を止めると、視界を蛍のような光がツイーッと横切る。なんとはなしにその光を目で追うと、さっきまでは何も無かった場所にゴインキョさん……ではなく、神様がいた。


『ようこそユービキアスの世界へ。』

「貴方は……神様、ですか?」


 ロールプレイって、ちょっと気恥ずかしいけど楽しいよね。せっかくなので、頑張ってそれっぽい返事を返してみます。


『ふむ……そう呼ぶものもおるな。おや?お主は前にもここへ来たことがあるようじゃな?』


 ん?前にも?……もしかして最初にキャラ作成した時のこと?そんなことを考えていると、目の前に手をかざされた。柔く光る手はすぐに遠ざかっていったが、同時に私の中から何かを抜き取っていった。


 “何か”は光る文字の形をしていて、帯の様に連なっている。その文字たちは神様の手中へ収まり、やがて1つの光の玉となった。


『やはりそうじゃな。記憶を保持したままこの場所に迷い込むとは、珍しいこともあったものじゃ。』


 神様はしげしげと光る玉を見つめていたが、しばらくすると私の方へと差し出される。

 手の中に浮いていた玉は、ふわりと飛び立ち私の目の前へ。来るやいなや、弾けて羊皮紙のようなウィンドウへと変わった。


 そこにつらつらと書かれていたのは、ポトフの初期ステータス。うん、見覚えがある。私が作ったものだと思う。あ、自動で適応されるって言ってたのはこれかな?


『それには、お主の魂の形が記されておる。ここへ来たのも何かの縁。過去の因果を断ち、新たなる体で未来へ踏み出したいと望むのであれば、好きに書き換えるといい。』


 ん〜、変更したい項目があったら変えてもいいよ、ってことかな。ちょろっと見直したけど、特に変えたいところは無いので、決定ボタンをポチッ。

 すると、ウィンドウが再び文字へと変わり、私の周囲をくるくると回る。そして、先程とは反対に私の中へと吸い込まれ──


『己が道を往く、か。うむ。それもまたよかろう。』


 ポトフのアバターが出来上がりました。おお初期装備だ、懐かしー。

 キャラ作成も終わったことで、神様とはお別れです。


『葉末のささやきより産まれ、災厄のゆりかごにて育まれし者よ。お主の歩む旅路に、幸多からんことを。さあ、行くがよい!』

「わ!ありがとうございましたー!」


 うおっ、まぶし!眩むような光と共に、なんとも言えない意味深な言葉で送り出されました。ささやき、ゆりかご……一応覚えておこう。


 ………

 ……

 …


『ねえ、アナタ大丈夫?』


 どこからか、花の香りのような甘く柔らかい声が聞こえた。


 眩しさに瞑っていたまぶたをゆっくりと開くと、花を逆さにしたようなとんがり帽子をかぶった、魔法使い風の女性が私の顔を覗き込んでいた。


「は、はい、大丈夫です。」

『ああ、良かった。声を掛けても全然起きないからヒヤッとしたわ。』


 唐突な登場に心臓がはねるも、何とか返事をかえすと、気遣わしげな表情が、パッ!とほころぶ。


『アナタは……その装備を見るに、駆け出しの冒険者って感じかしら?こんな所に1人でいると危ないわ。丁度街へ帰るところだから、一緒に行きましょう。』

「わかりました。」


 そう答えると、視界の端にウィンドウが一瞬表示された。えーっと、“女性について行く。”って書いてあったな。ん?もう1個ウィンドウが出てきた。

 手配書?のようなアイコンが点滅し、横に“選択すると現在のクエストを確認することができる。”と出ている。ああ、UIの説明もあるのね。

 えー、このクエストのタイトルは“旅立ち”か。


 クエストの確認を終え、改めて辺りを見渡す。周囲は木に囲まれている。私たちのいる場所は少し開けていて、丸太のベンチなんかもあるし、ここは森の中の野営地みたいだね。


『ワタシは“ラアネ”この辺りで魔物の目撃情報があったから、見回ってたの。』

「魔物、ですか。」

『そう。見たことないかしら?目が沢山ある、黒いモヤを纏ったバケモノよ。』 


 そうやって言葉を交わしながら、野営地をでて森の中を進む。

 時おり点滅して主張するアイコンたちを確認しながら歩いていると……


『あ、足元を見て。』


 ふと、ラアネさんは足を止めた。指さした先には薬草……あのケールっぽいやつが生えてる。

 こうやって生えてるんだなあ。そこらの雑草に紛れてるから言われなきゃ気づかなかったかも……


『この薬草は怪我によく効くのよ。ポーションにした方が効力は高いけど、そのまま使っても効果はあるから採っていきましょう。』

「わかりました。」


 まずは、薬草に手を伸ばすラアネさんの様子をじっと観察する。

 葉っぱを掴んで、根本の土を避けて、左右に揺らしながら引き抜く、か。根っこは切れないほうがいいのかも。真似して収穫します。


「こんな感じですか?」

『上手上手!ちゃんと根っこが残ってるわね!』


 その後も、解毒に使えるミントや、魔力を回復するキノコなんかを収穫しながら街へ向かっていると……


『止まって。なにか来る……!』


 森を抜けて、さあ街道だ。という辺りで、ラアネさんが突然警戒態勢に入った。

 途端に、ガサガサと音を立て、ネズミやウサギのような小モンスター達が森の中から一斉に出てきた。私達に目もくれず、必死に駆けていく様子はまるで天敵から逃げているかのようだ。

 モンスター達が去ると、程なくして森の奥から黒い塊が飛び出してきた!


『あれが魔物よ。こんな街に近いところに出てくるなんて……武器を構えて!』


 それは以前会敵したことのある、トレントのような樹の魔物だった、うさちゃんがボコボコにしてたやつ……


 魔物のギョロギョロと蠢く目がこちらを認めると、すぐさま攻撃を仕掛けてきた。

 地面に突き刺した根っこが、ボコボコと地面を波打たせながらこちらへ向かってくる!


『避けて!』


 幸いにも、それほど早い攻撃ではない。横へ跳び退いて回避!すると、さっきまで私がいた場所に地面から根っこが棘のように飛び出した。

 魔物の方へ視線を戻すと、うねうねと体を揺すっている。次の攻撃は来ないのかな?いや、根っこを引っ込めるのに時間がかかってるみたいだ。


『今よ!私の真似をして!〈火矢〉!』

「〈火矢〉!」


 この隙を逃すわけにはいかない!ラアネさんに続いて私も〈火矢〉を撃つ!見事、二人の連携攻撃によって魔物は仕留められました。やったね。


『やるじゃない!アナタ筋がいいわね!』

「ありがとうございます!」

『怪我はない?一応、〈回復〉をかけておくわね。』


 〈回復〉ラアネさんがそう唱えると、柔らかな光が私の中に吸い込まれていった。あったか〜い。これ気持ちいいな。


 ドロップ品を拾い、改めて街へ向かおうとすると、またもや茂みがガサッと音を立てた。

 魔物か!?と臨戦態勢に入るも、飛び出してきたのは……

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