0.7.2.0 ポトフちゃんと水泳
おはようございます。休みを挟んで木曜日。今日はゴインキョさんも一緒だよ。
本日の予定は、ウオクサの植え付け、それから、火山の国で料理を作る。とりあえずこの2つだね。
外に植えに行く前に、農園内に養殖用の池を作ってもらって試し植えをします。
大きさは、直径10メートル以上、深い所は3メートルほど。まあ、これで足りるとは思えないので、植えながら広げていこうと思う。
池の中、側面には杭を刺して出来たシンプルな階段。縁には、入口のところだけあけて、柵を設置した。
最後に水で満たして設置完了!
水中でも呼吸や会話は出来るとの事なので、早速潜りたいと思います。いざ、入水!
水中の階段へ足を乗せると、清流のようにひんやりとした感覚が気持ちいい。そのまま歩を進めると、とうとう全身が水の中へ。
水底へ着き、視線を上げると、水面から差し込む光がなんとも美しい。
『ポトフ、大丈夫か?』
『大丈夫です!』
こもったような声と、水圧で少しだけ動かしづらい体。でも、視界はクリアだし、鼻に水が入って痛い!なんてこともないので、かなり快適と言えるだろう。
試しに、水底を蹴って水中に浮かび、そのまま手足を動かして、軽く泳いでみる。
水をかき分け足で蹴る。クルッと一回転なんかもしちゃったりして。
『どうですか?私泳げてます?』
『おお!上手い上手い!』
よかった〜。プールの授業は無かったし、そもそも泳げる場所がないしで、今世では初なんだけど、意外とやれるもんだ。
それじゃあウオクサを植えましょうか。ロープの様な茎を水面へ向かって伸ばし、葉っぱの様に実をつける。地面から直接生えるウナギソウは、触手の様に揺らめいている。
うん。なかなか悪くないんじゃない?
この調子で、湖の国の水底や、山林の国や樹海の国の川に植えに行ってきます!
………
……
…
とにかく広い湖。適当な場所に植えれば、あとは同じような環境の場所に生えてくるらしいけど……どこがいいかな。
ひとまず、水上に張り巡らされた桟橋から、湖へ入ってみます。
ドボン、と飛沫をあげて飛び込むと、すぐさま馬の様なモンスター達が寄ってきた。下半身が魚だ……ケルピーってやつかな?
『こやつらは水中移動をサポートしてくれるモンスターじゃな。』
こちら、泳げない人向けの救済システムらしいです。今回はケルピーだったけど、ほかにもイルカやマナティ、水棲のモンスターがランダムで来てくれるらしいよ。
気に入った子が入れば、テイムしても良いそう。そっちの方が移動速度も早いんだって。まあ、それはまた今度ってことで。
せっかくなのでこの子達にお手伝いしてもらいましょう。
首元に掴まり、水底まで、とお願いすると『ブルル。』といななき、潜水し始める。
じわじわとスピードを上げ、あっという間に水底へ!水を切る感覚が、アトラクションみたいで楽しいね。
さて、早速植えましょう。ワカサギは全域に満遍なく。バスやマスは少し深いところへ。山林方面にはちょーっとだけ川魚を生やしてもいいかな。
そんな感じで湖の中に植え付けを終え、ケルピー達に別れを告げて、山林の国へ。湖の国まで流れる、大きな川の上流へやって来ました。
山頂にほど近い場所にアユやイワナを植えて、ウオクサの植え付け完了です。水流で靡いているのが、泳いでるみたいに見えていい感じだね。
一旦休憩を挟んだら、うさちゃんの元へ向かいましょう。
………
……
…
やってきたのは火山の国、石の街。石山に囲まれたこの街は湖の国に隣接しており、交易が盛んなのか活気に満ちている。
石造りの家が多いが、中には山肌をくり抜いて住んでいる者もいるようだ。
そして、街中を往く人は、やはりドワーフ族が多い。それから、巨人。今すれ違った人なんてうさちゃんよりも大きいんじゃない?
市場に並んでいる作物は、サツマイモにダイコン、ミカンなんかが多いかな。おっ、ぽぽ達がそわそわしてるから、何かと思えばビワじゃないですか。後でおやつにしようね〜。買いです。
他には、トマトやホウレンソウ……結構色んなものが並んでるね。
こんな岩場だと農業って大変そうだけど……いや、この街は交易の拠点っぽいから、火山の国の特産品が集まってるのかな。
とりあえず一通り購入しまして。農園に向かう前に、鍛冶屋へ行ってうさちゃんと合流しましょう。
うさちゃんの鍛冶屋は地元通りに入ってすぐの所にある。店の外からでも、カンカンと鉄を打ち鳴らす音が聞こえて、非常に分かりやすい。作業場が裏手にあるそうなので、そちらへ向かうと丁度うさちゃんが作業中のようです。
斜め後ろからじゃよく見えないけど、今作っているのは細身の剣かな。鍛造が終わったのか、金槌を置いて刃を指先でなぞり、目元に近づけ、歪んでいないか確認しているようだ。
惚れた欲目かもしれないけど、所作の一つ一つがすごくカッコイイ……!!
「ちゅ?」
おっと、うさちゃんの足元で毛繕いをしていたちゅうちゃんがこちらに気づいたようです。
「ん、どうした?……ポトフ!来てくれたんだな!」
それにつられて、うさちゃんも私達に気づきました。
私の姿を認めるやいなや、ガサーッとインベントリに製作物や道具を一瞬でしまい込み、両手を広げて駆け寄ってくる。
そのまま抱え上げられ、頭上の綿毛にスリスリと頬擦りをかまされる。もしかして、一昨日の頭ナデナデって、人前だから抑えてたりする……?
「わしもおるぞ。」
「あ、お疲れ様、ゴインキョ。」
「……昔は『おじいちゃん、おじいちゃん。』と引っ付いてまわっとったのにのう……」
「いつの話してるんだよ。」
おお、なんという爺孫ムーブ……拗ねたように口を尖らせるうさちゃんのレアな表情が見れました。
「とりあえず、農園に行きましょうか。」
「ああ、そうだな。案内するぞ。」
そして、このまま鍛冶屋の外へ。どうやら、この抱えられた体勢のまま農園へ運ばれるようです。
「あんなに大人しかった子が、ここまで積極的になっちゃうなんてね……血は争えないってやつかな。」
口元を緩ませたゴインキョさんのそんな呟きは、先を歩く私達には届きませんでした。




