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0.3.0 ポトフちゃんいざ出発!

 いやぁ〜、昨日は濃い1日でした……

 前世ではリンゴが大好物という訳でもなかったんだけど、今世では最推しかもしれないね。想像を絶する美味しさだったよ。


 ──────────


 さあ、本日の業務開始です!


 ユービキアスの大樹のもとへ降り立つと、既にゴインキョさんがいた。


「おはようございます!」

「ああ、おはよう。今日は何をするんじゃ?」

「とりあえずこの大樹の周りで食べられそうなものを探しつつ、街に行ってみたいです。」


 昨日は結局、感覚学習やらリンゴ実装で終わってしまったので、周りの探索がしたい。

 なので、その前に地図機能の確認。


「あれ?真っ白だ。」

「自分のいったことのある場所だけが表示されるんじゃ。端にあるプラスボタンでズームできるぞ。」


 開いてみると真っ白な画面。よく見ると点滅しているアイコンがあるので、これが私が今いる場所なのだろう。


 言われるままに端に並んでいるアイコンの中のプラスボタンを押してみると、現在地アイコンの周りに緑色が広がった。さらにプラスボタンを押してズームを続けると、緑色の全貌が見えてきた。


 私が通ったであろう部分は、少し歪な長円の形をしている。スポーン位置やリンゴの位置がマッピングされているみたいだ。おっと、視界内に自分周辺のミニマップを表示する機能がある!オンにしておこう。

 地図にはちょっとしたメモを書いたピンをたてられるみたいだから、この木の場所に立ててみる。


「ゴインキョさん、あの木って名前ついてたりしますか?」

「うむ。『世界樹』じゃな。」

「……ゴインキョさんは世界樹の精って事ですか?」

「そうじゃよ。」


 そんな凄そうな種族があったのか……でも一般ユーザーには選択できないのかな?

 とりあえず世界樹のピンを追加したので、マッピングされている所がリンゴのあった場所なのか確かめに行って、こっちにもピンをたててから街へ出発しよう。


 ……………

 …………

 ………

 ……



「いや〜大量ですね!」

「うむ。これを今から食べるんじゃな……」


 世界樹から南方向、マップの下の方に街があるらしいので、そちらへ向かいながら食べられそうな物をかばんいっぱいまで集め、野営エリアにやってまいりました!この中だとモンスターが寄ってこないんだって!まだエンカウントしてないけど。


「モモやミカンはまだいいとして……バナナ?どう見てもこんな森の中に生えるようなもんじゃないでしょ。」

「ここの森は特殊じゃからな。世界樹に近いほど環境関係なしに何でも生えるぞ。」

「じゃあ見落としてるものもあるかも知れないですね。」

「地面に埋まってる根っこまで採っておいて見落とし……?」


 それゴボウ!よく根っこって言われるけど根菜だから野菜!ほかにもブドウやエノキ、シメジなんかのキノコ類も手に入れた。


 でも、山ブドウっぽいのと農園にあるようなたわわなブドウが混在してたり、野生の茶色いエノキと栽培されてそうな白いエノキが似たようなところに生えてたり……なかなかカオスな事になっている。

 君たち結構味違うでしょ。そりゃ店売りしてそうなやつのほうが馴染みあるから使いやすいけどさぁ。


「この茶色いのと、白いの、育つ環境が違うだけでほぼ同じキノコなんですけど……ゲー厶的にはどうなります?」

「同じ……?ええと検索…………ホントじゃのう。うーむ、使う料理も違うんじゃな?」

「そうですね、ちょっとだけ変わってくると思います。」

「だったらパラメータは変えていいかもしれんのう。」


 というわけで、君たちは今からエノキ茸(茶)とエノキ茸(白)だ!いつか火を通して美味しくいただくから、かばんの中で待っててね。とインベントリにしまっておく。


「キノコは食べんのか?」

「キノコは火を通さないとお腹壊しますよ。毒があったりするんですから。」

「まだパラメータを設定しておらんし、ゲー厶の中なんじゃから大丈夫じゃよ。」

「私が食べ物として認識してないんで味付かないですよ。」

「大丈夫じゃないのう……」


 キノコは生で食べちゃだめ、と言う前世の記憶が先行してか、どうも味に対する共感覚が発動しないんだよね。匂いはちょっとだけする。


 さて、ここは野営地なので野営ができる。わけではないらしい。現状そのシステムはないっぽい。中央あたりには、丸太でできた椅子と焚き火の跡みたいなものが残っているのでそこで試食タイムだ。ゴインキョさんがキノコに興味津々だからね。


「ここで火を起こしても大丈夫ですかね。」

「うむ。薪を集めてこよう。」


 いい感じの枝を集めて適当に組む。そしていよいよ魔法を使うときが来た……!


「行きます……!〈火矢〉!」


 たんぽぽステッキを薪へ向け詠唱するとポフっと子供の握りこぶしぐらいの大きさの火の玉が目で追えるくらいの速さで飛んでいき、薪に火がついた!うおー!魔法だ!


「これって、レベルが上がって威力も上がったら火付けに使うのは難しいですかね?」

「……いや、レベルの調整はできるから問題ないぞ。魔力の消費を抑えたいときとかのう。」


 もしかしてこの為に火矢を……?とかなんか言ってるゴインキョさんを横に置いといて、肉厚で美味しそうなシイタケの石突部分を毟り……早急にナイフか包丁がほしいな……薪を拾うときについでに採っておいた、真っ直ぐで先の尖った枝でカサの部分に横から刺す。


「それはなにをしとるんじゃ?」

「料理ですよ。」

「動画で見たのとなんか違うんじゃが……」


 シイタケを刺した枝を焚き火のそばの地面に突き刺す。これで暫くすれば火が通るかな?


「さっきのエノキ茸(茶)(白)は焼かんのか?」

「枝に刺すとバラけそうじゃないですか?あと、ぬるぬるするので滑りそう。」

「ぬるぬる……」


 せめてフライパンが欲しいなー。


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