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6.

屈辱のあまり恋心は憎しみに変わった。そして、よりいっそう公爵令嬢リリィに対する憎悪も深まった。なんとしてでもギャフンと言わせたかった。


このことを父上に報告して今度こそ婚約破棄してあの女達に罰を与えるように進言したのに、罰を受けたのは何故か俺の方だった。



「愚か者め」


「父上?」


「複数の男で一人の女を襲うだと? 王族どころか貴族としても男としても人としてもプライドがないとはな」


「はい?」


「一週間軟禁に付け加え教育をより一層厳しくせよ。王太子の地位も考え直したほうがいい。大臣にそう伝えよ。以上だ」


「はあああああ!?」



それだけ言って父上は俺を本当に一週間も軟禁した。助けを叫んでも誰も助けてくれなかった。その後も厳しい教育を課せられることになった。


なぜ、私がこんな目に遭わなければならないのか!



……軟禁が解けた後に王妃である母上にも報告したら冷たい目で下げさせられた。あれが息子を見る目かよ……。





厳しい教育を課され続ける王宮で最悪の日々を過ごしていた俺だが転機が訪れる。それは学園への編入だった。



「学園の編入に伴い、今日から殿下は寮での生活をしていただきます。精神面を鍛えていただくために一人暮らしを経験していただきますので」



……何故か王宮を追い出されて学園の寮生活になった。最初は厳しくされたり陰でバカにされる毎日から解放されて大喜びした。これで自由になったんだと有頂天の思いだった。


しかし、すぐに最悪の状況に気づいた。



「こんな狭い部屋で俺が暮らすとは! しかも、使用人もいないのか!? 身支度も自分でしなければならないのか!?」



この俺ともあろうものが、上から下までの貴族の令息共と同じ建物で衣食住をすごすという馬鹿げた暮らしをさせられていたことに気づいた。しかも、飯もほぼ同じで色々してくれる使用人なし? ふざけるな!


寮の責任者に改善を求めたが、聞き入れてもらえず、むしろ生意気なことを言われた!



「殿下、貴方が文句を言うのは筋違いです。国王陛下も学生の頃は同じ経験をされておりました」


「何をバカな! 王族だぞ!」


「だからこそ、です。そもそも国王陛下からもくれぐれも甘やかすなと命じられておりますゆえ」


「そ、そんな、こと……!」


「王宮に戻って陛下に確認を取ってもらえばご理解いただけると」


「……」



もうそれ以上俺が何を言っても変わることはなかった。俺は理解した。王宮とは別の意味で最悪の生活になったんだと。


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