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5.

だからこそ、俺のものにしたい。そう思ったからこそ、その場で口説いてしまった。



「ジェシカ・シアターか。うん。ジェシカ。今日からリリィのような女ではなく、俺の護衛になれ! お前はリリィなんかよりも王子である俺の女……騎士になるべきだ!」



完璧な口説き方をしたと思った。それなのに、あの女は……



「貴様! 我が主を侮辱するというのか! ふざけるな!」


「ええ!?」


「我が主はリリィお嬢様ただ一人! 貴様ごとき無能な男に屈する私ではない!」



なんということか! 俺の誘いを断ったばかりかこの俺を侮辱したのだ! せっかく王子であるこの俺の女にしてやろうというのに!



「な、なんてことを言いやがるんだ! もういい! お前ら、この女もろともリリィを懲らしめてやれ!」



俺は集めた取り巻きたちに命じて腹立たしい女二人を懲らしめようとした。


だが、だが……!



「お嬢様に指一本触れさせん! 必殺カラミティストライク!」


「ひっ、うぇああああああああ!!??」



信じられないことに、ジェシカはこの俺に向かって回転しながら突撃して剣を叩きつけてきやがった! 鞘を抜かないでいたから斬られはしなかったが、壮絶な痛みを味わあわされた! 王子であるこの俺がだ!



「この、無礼者共があああああ!! 我が主に近づくなああああ!! 必殺ヘブンズトルネード!!」


「「「「「うわあああああ!!」」」」」



俺が叩きのめされたことで憤ってリリィとジェシカに迫る取り巻きたち。そんなあいつらにもジェシカは容赦しなかった。向かってくる取り巻き達に臆することなく剣を……しかも、大げさな回転斬りのような技で!



「必殺チャーミングレイブン!!」


「「「「「ぐあああああ!!」」」」」



リリィにだけ向かってくる奴も逃さずに色々ヤバそうな技で……何だあれ? すごい速さで剣を突きまくって……あれぇ? カラスに見えるのは何でだろう?



……あっという間に叩きのめされてしまったんだ。



「ひいいいいい!」 



離れた場所で見ていた取り巻きも逃げてしまった。俺を置いて。



「殿下、私の何が不満だったのか理解できませんが、この件は陛下に報告させていただきます」


「そういうことだバカ王子。生かしてもらうだけでもありがたく思うがいい」



リリィが腹立つ女なのはいつものことだったが、この時はそれ以上にジェシカが許せなかった。この俺に対して高圧的な態度なんて……なんと悍ましい!


初恋はそこで終わってしまった。それも最悪な形で。



「う、うう~!」


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