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4.

その後もこの執事の男から長いこと言われた気がするが頭に入れずに聞き流してやった。気に入らないと思った俺は父上にあることないこと吹き込んで執事を首にするように頼んだ。


しかし! 首にするように頼んだのに、よりによって弟で第二王子のトライセラ・ツインローズの執事になっただけ。城から追い出せよと不満はあったが、あの執事からうるさく言われなくなったから我慢してやった。





執事の男が弟に移ってから周りの俺に対する態度が変わった。何をやっても俺に注意をしたり、助言をしたり、挙げ句には叱りつけたりする始末。なぜこうなってしまったのか?



「殿下、そこはそうではありません」


「殿下、もう少し周りと合わせてください」


「殿下! 王子としてそのようなことをしてはいけません!」



うるさいうるさいうるさい! なんで俺がこんなことを言われなきゃいけないんだよ!


不愉快なのはそれだけにとどまらない。あろうことか家臣や家庭教師に騎士までもがあの女、リリィと比較し始めたのだ!



「リリィ嬢は学問や能力は優秀。殿下はもっと見習うべきです」


「リリィ嬢の演説をお聞きください!」


「リリィ様を見本にしてください」



リリィばかり周りが褒め称える。それに比べて俺は王子なのに、失望されるばかり……理不尽ではないか? どうして誰もがそんな目で見るんだ!



「全ての元凶はあの女……! あの女のせいだ! 罰を与えなければ!」



こんな事になっているのは全てリリィのせい……俺は俺を陥れるリリィに天誅を下すべく動いた。俺の言うことなら聞いてくれる貴族の年下の子供たちを集めてあの女を襲撃して痛い目にあわせてやろうとしたのだ。



「これだけ集まればいいだろう……」



そして、天誅を下そうとした日が来た。いいタイミングを見計らってリリィを呼び出した。だが、その時にリリィは一人の女性を伴って俺の前に現れたのだ。


ポニーテールにした黒髪に緑の瞳の女。騎士風の格好をしていたがものすごい美人だったのだ!



「リリィ! その女はなんだ!?」


「彼女は私の護衛となったジェシカ・シアターです」



どうやらリリィの護衛のようだ。騎士風の格好をしていると思ったが本当の騎士らしい。俺達よりも年上のようだが騎士にするには若すぎる。何より当時の俺好みのタイプ……俺は一目惚れしたのだ。初恋だった。


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