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3.

そして、それ以上に父上に対して激しい怒りを覚えた。今まで俺のことをろくにかまってこなくて、何をしても簡単に済ましてきたくせに今更『駄目』ということがどうしても許せなかったのだ。


しかし、父上に反論しても無駄。それならばとリリィにもっと高圧的に接するようにしたのだ。



「リリィ・プラチナム!」


「何でしょう殿下」


「俺は王族だ! お前は俺の引き立て役に過ぎない! それなのにお前は俺に恥をかかせるばかり! そんなことが許されるとでも思っているのか!」


「殿下のためを思って助言を口にすることは大切なことですわ」



リリィは生意気にも俺が厳しい態度をとっても平静を装っていた。挙げ句には反論まで……憎たらしかった!



「俺を思ってのことだと!? それなら何故俺が不快な思いをしなければならないんだ!?」


「殿下が不快な思いをするのは殿下ご自身の責任です。殿下が必死に努力なされれば誰もが高い評価をしてくださるはずですわ」



この俺が必死に努力? 何を言ってるんだこいつは!?



「努力だと!? そんなもの十分してるだろうが!」


「あら? 勉強会を途中で抜けたり、家臣の方々に課題を押し付けることが努力と言えますの?」


「め、面倒だっただけだ!」


「あら?あれしきのことが面倒だったとは、殿下はお体が弱かったのでしょうか?」


「なっ、この俺が弱いだと!?」



なんということを言うんだこの女! この俺が弱いだなんて、女のくせに俺を弱いと………なんという屈辱だ!



「お、俺は弱くなんかない!」



あまりの屈辱に怒りに身を任せた俺は、掴みかかろうとした。だが、途中で邪魔が入る。



「殿下! お止めくだされ! 紳士足るもの、ましてや王族たるお方が女性に暴力などあってはなりませぬ!」


「な、なんだよ! こいつがあまりにも、」


「先ほどから聞いておりましたが、リリィ嬢のお言葉は殿下のためを思ってのこと! それを暴力で返すなどあってはなりませぬぞ!」



こいつはコアトル・ケツアール。父上が決めた俺の執事のおっさん。いや、最近髪に白髪が出始めたから爺か? それなのに俺を止めやがった! なんて無礼なんだ!



「ふざけるなよ! この俺のためだと! 俺を侮辱しておいて! 俺の執事なら止めるなよ!」


「殿下………どうやら我々は殿下を甘やかしすぎたのですな。このような横暴なことを………」


「はあ!? 俺が何よりも優先されるのは当然だろうが!?」


「殿下………」



なんでだよ………なんで俺を哀れむような目で見るんだよ………訳わかんねえ!


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