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28.

そう思った俺は証人側にいる元婚約者のリリィに向かって叫んだ。



「リリィ……俺が間違っていた。アノマに騙されたんだ。いや、正確に言えばアノマの父親のメアナイト男爵に狂わされていたんだ!」



リリィも俺をそそのかした。それが真実だとすれば、本来ならリリィも家臣たちも他の周りの人たちも俺の敵というわけではなかったはずなのだ。



「反省するし謝罪する! だから、もう一度俺とやり直そう。これからの俺はしっかり頑張るから!」



我ながら情けない話だが俺も被害者なんだ。反省すればきっと皆俺の味方になってくれるかもしれない。そう思って恥を忍んで元婚約者のリリィに助けを求めた。


……それが間違いだった。



「はぁ、我が息子がここまで愚かだったとは……」


「教育係は何をしていたのかしら? 親として恥ずかしいわ……」



両親の国王夫妻が呆れ……



「ああ、兄上……貴方という人は、どこまで……!」



弟のトライセラが頭を抱え……



「殿下……」


「今更ですか……?」


「かける言葉もない……」


「なんと見苦しい……!」



家臣たちが冷たい視線を向け……



「何言ってんだ、あの王子?」


「信じらんない……リリィ様にすがるなんて」


「あれで王子だってんのか?」



学園の同級生たちが蔑む。この時点で俺はリリィに頼り切るようなことを口にしたことを後悔した。……こんなこと言わなきゃよかった!


そして、肝心のリリィはというと……



「殿下? お忘れですか? 私達はもう婚約などしていないのですよ。私を頼られても困りますわ」



困った顔で俺を助けないと言った……。いや、冷静に考えれば俺のしてきたこととリリィの性格からして助けてくれる可能性は無いと分かるはずだった。だけど、この時の俺は冷静になどなれるはずがなかったのだ。



「ふ、ふざけんなよ! 元とはいえ婚約していた間柄だったんだから助けてくれてもいいじゃないか! お、お前はやっぱり嫌な女だ! 何をするにも俺よりも上で、俺よりも見てもらえて、俺に見せつけて!」


「うるさいぞ馬鹿王子! リリィお嬢様に対する劣等感を言葉にするな! 聞くに耐えないぞ!」


「黙れ狂気の騎士! 事実だろうがよ!」


「何っ!?」



ジェシカが口を挟むが恐れることはない。どうせ俺は恥をさらしてるんだし今更だ。何よりも距離があるからジェシカに斬られる心配なんかないのだから俺の抱える心の内を叫んでやる!



「俺はずっと苦しかった! 辛かったんだ! 王太子だからという理由で勝手に婚約者を決められて、他と比べられて、それで下回るなら蔑まされて! 周りは俺に味方してくれないことがどれだけ辛かったかリリィやお前らに分かるはずがない! 分かってたまるもんか! 挙げ句にはアノマやロカリスに騙されて利用されて国外逃亡するまで落ちぶれることになって……何だったんだ俺の人生は!?」



「「「「「………………………」」」」」



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