表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/33

16.

ジェシカに手を叩きつけられるというアクシデントがあったが、ついに婚約破棄の決行日が来た。


俺は貴族のパーティー中に高らかに宣言するのだ。ツインローズ王国第一王子にして王太子マグーマ・ツインローズとして!



「リリィ・プラチナム公爵令嬢! 私、王太子ことマグーマ・ツインローズ第一王子との婚約を破棄させてもらう! それと同時に、貴様をアノマ・メアナイト男爵令嬢をいじめた罪で訴える!」



俺の隣には望まぬ婚約者ではない。俺の運命の相手アノマ・メアナイト男爵令嬢だ。ドレスは少し安っぽいかな。でも俺は彼女がそれでいいなら気にしなかった。それにそれどころでもないしな。



「はあ……婚約破棄ですか。なにゆえそのような話を、いまここで? このパーティーのあとではいけませんの?」



一応俺の婚約者のはずの公爵令嬢リリィ・プラチナムは呆れたふりを装って聞いてくるが、内心では分からない。きっと王太子妃の立場を失うと思って焦っているはずなんだ……と思うのだが面倒くさそうにしているのは何故だ? だが、その余裕そうな顔も直ぐに駄目にしてやる!



「フン! しらじらしい! 素直に認めたらどうだ、この可愛く可憐なアノマをいじめた罪を!」


「いじめた罪?」



いじめた罪と俺が叫んでもリリィは不思議そうな顔をするだけだった。何だその顔は? 何様のつもりだ!



「何かのお間違いでは? わたしには全く身に覚えがございませんが?」


「何をいうか! 俺がアノマと仲良くしているから、嫉妬したお前がアノマに罵声を浴びせたり、教科書や服を破るといういじめを行っているということは分かっているんだ!」


「ああ、それでしたら罵声ではなく注意をしただけですよ。『婚約者のいる男性と深く付き合うのははしたないですよ』と言いましたが?」


「え?」


「それと、『格上の、ましてや王族の方とはもっと礼儀をもっと接しなさい』とも注意をしましたが、決して罵声ではありません」


「な、何!?」



は? 罵声を浴びせたんじゃなくて注意しただけ? そんな? どういうことだ? 俺が動揺する間もなくリリィの言葉を支持する者たちが次々と現れ、私の言葉を打ち消し始めた。



「リリィ様の仰ることは事実ですわ。わたくしはリリィ様が優しくアノマ嬢に注意しているのを何度も拝見しましたもの」



あれはライア・マネー伯爵令嬢。宰相の娘でリリィの友人にして取り巻きのような令嬢だ。っていうかジェシカほどではないにしろリリィに執心しているから庇っているだけで、



「僕もこの目で見ましたが、リリィ嬢に何の落ち度もありませんよ。むしろ何度も注意されて反省しないメアナイト男爵令嬢に問題があります」



え? あれはジュエール・アイスエージ辺境伯令息。我が国の外務大臣の息子でリリィと成績を競い合うライバルのような男のはずなのにリリィを肯定するだと?



「殿下、私もメアナイト男爵令嬢のことは困っておりましたぞ? プラチナム公爵令嬢が何度も優しく丁寧に注意されていたというのに……殿下は何を根拠にいじめたと?」



学園の、それも俺のクラス担当の教師ジン・パペティア先生までも……え? もしかしてリリィは本当にアノマに罵声を浴びせたんじゃなくて注意しただけ? そんな……いや、だが!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ