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1.

「必殺カラミティ・ストライク!」



ポニーテールにした黒髪に緑の瞳の女騎士が、回転しながら突撃して俺を斬ろうとしている。斬撃が風を切り裂く音が迫る。どういう原理であんな動きができるのかという疑問が湧く前に、俺は恐怖でおかしくなりそうになってしまった。



「ひっ、うぇああああああああ!!??」



ただでさえ色々と追い詰められた俺は恐怖が頂点に達して、情けない恐怖の叫びを口に出していた。惨め過ぎる。そして、気づいた時には惨めさの極みだった。



「あ、あ……」


「ふん、前にもまして惨めな姿になったもんだな。これでは人前に出られんな」



斬り殺されると思ったが、命は助かった。ただ、血の匂いが鼻を刺激する。気づけば、命以外は絶望的だった。



「っ!? お、俺の服が髪が!?」


「あらあら、髪と眉の毛が切り落とされてハゲ頭の眉無しになられましたわね。これでは恥ずかしくて人前に出れないでしょうね」



肩まで伸びる銀髪に白銀の瞳の美女……俺の元婚約者で公爵令嬢リリィ・プラチナムは軽く驚いたように俺の状態を口にする。その通りだった。俺の服はボロボロ、剣は折れ、髪と眉まで失っていた。見るも無残な姿だった。



「そ、そんな……俺は、ここまで辱められるというのかぁ……?」



王族に生まれて、王太子になって……それなのに名ばかりの伯爵にされた挙げ句にこの辱め……何だったんだよ? 俺の人生って?



そう思った直後、俺は意識を失った。いや、手放したと言ったほうが正しいかもしれない。そして絶望感に打ちひしがれ、地面にへたり込んだ。そんな情けない姿を俺は妻アノマと元婚約者、そして……



「ジェシカ……」



初恋の女騎士ジェシカ・シアターの前でさらしたのだ。



俺は、かつてマグーマ・ツインローズと呼ばれていた。ツインローズ王家の第一王子として生まれた男。だからこそ王太子として国王の地位を約束された……はずだったのに、落ちぶれてしまった。


一体、俺はどこで間違えてしまったんだろうか?





俺はマグーマ・ツインローズ。第一王子だ。


幼き頃の俺は周りの者たちから甘やかされていたのだと思う。というのも、肝心の両親が国王夫妻ということで多忙のあまり、子である俺に構えなかったという。後になって、子育てが面倒くさかったことが分かったのだが……まあ、あまりいい親に恵まれなかったのかもしれない。そのお蔭で子供の頃は味方が多かったと言えるのだろう。俺は愛されていたのだ。愛されすぎるほどに。


しかし、俺の甘やかされるほど愛される日々が変わり始めたのは婚約者ができた時だった。婚約者は父上に伝えられた。


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