脚下照顧。決意と反抗。
オレと素零は闇に包まれ亜空間の中を移動していた。
体にまとわりついてくる闇は最早体の一部だ。
闇の中、オレは静かに口を開いた。
「さて、どこから手をつけるか」
「キミさー。さっきの話、ほんとに信じてるの?」
「は? 何を言ってるんだよ。オレは納得したけどな」
「冷静になって考えてみてよ、なんで都合よく過去にいけて、都合よく問題の解決法が見つかるのさ。
あの空間はパラドクスが支配してるんだよ?
多分、喫茶店に足を踏み入れた瞬間に能力は発動してる。
キミと素零を閉じ込めるためだけに作られた牢獄さ。
さっきの場所も過去じゃない。そう思い込まされただけだよ」
「確かに素零の考えも一理あるけど、だとしたら話が進まない。とりあえずの指針だけでも必要だろ?
アレスティラに言われたことを信じて行動してみよう」
「キミは鈍いなぁ。じゃあハッキリと言うよ。
さっきの体験が本当に過去なら、今回で何もかも解決だ。
過去のアレスティラはループ現象を知ったことになる。
だとしたらキミが未来に閉じ込められるであろうことを知っていて放置するわけがない。
頭の良い女だから解決法を考えてきっと助けにくるよね?」
言いたいだけ言うと素零は闇の外へと飛び出していく。
オレも後に続いたが、素零はただ黙って時を過ごした。
美唯子を無視し、警告にやってきたアレスティラも無視する。
アレスティラは何も覚えておらず、機械のようにエニグマの襲来を伝えるだけだった。
そして店内に入り30分が経過した頃、オレの意識は途絶えた。
「ほらね。何か変わった事があった?」
闇の中で目覚めたオレに素零が問いかける。
「ああ、そうだな。オレも試したいことがある。行こう」
素零の手を引き闇を抜ける。
オレと素零は再度、氷蜜茶房の扉を抜けて過去と思しき場所にやってきた。
「何するの? 何度来ても同じことだよ」
「こうやって見てるとさ、オレって巻き込まれてばかりだよな」
目の前にはアレスティラに迫られて、ただただ困惑しているだけのオレがいた。
「確かにねー。人が良いというか、自分の意思がないみたい」
素零に言われてオレは苦笑する。
オレは右腕を突き出し、拳に光を収束させていく。
「そうだな……それも今日で終わりだ!」
オレは零の螺旋をオレとアレスティラに撃ち放った。
目の前で会話していた存在が粒子となって消えていく。
「わぉ。やるねー!」
「オレは生きているな。本当に過去じゃないんだ。
オレはバカだ。目に見えるもの一から十まで全てを信じて、何が正しいかすらわかっていない」
「うん。偽物のキミはもういないみたい。スッキリした?
──素零はそんなキミが好きだけどね……」
「もう騙されるのも利用されるのもウンザリだ。
やり返してやろう。全てに。オレ達二人で」
「異論なーし! ここからが素零の本領発揮!!
……でもどうする? 何か考えがあるの?」
「ああ。パラドクスはオレとの会話で墓穴を掘った。
オレ達は必ず脱出できる。オレを信じてくれるか?」
「うん! 頼もしいね〜! 今までで一番いい顔してるよ!
反撃開始だね! ぶち壊してやろう、何もかも全部さ!」
闇の中、オレと素零は反抗の意志を固めた。
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