地獄のような永遠。既視感と焦燥感。
オレと素零は闇に包まれ亜空間の中を移動していた。
体にまとわりついてくる闇は鎖のように頑強であるとオレは知っていた。
闇の中、オレは静かに考えている。
オレはパラドクスと会話をしていたハズだった。
このまま素零に黙って付いていけば恐らくは閉鎖空間に閉じ込められてしまうことになるだろう。
「素零、久しぶりに二人になったんだ、少し話をしよう」
「あー、もしかしてまた時間稼ぎのつもり? いいよ。お話しようか」
あの時と同じ問いかけに素零は無邪気な笑顔を見せる。
天使のような笑顔のその奥には無慈悲な悪魔が潜んでいる。
大胆で残忍で身勝手だが、どこか憎めない大切な存在。
話し合いで解決する必要なはい。差し違えてでも素零を止める必要もない。根本から全てが間違っていたのだから。
「お前は奏を3番だと言っていたな? だが奏は奏だったんだ」
「そうだよね。素零としても不覚だったよ。
……んふふ。意味がわからないよね。これは何回目?」
「わからない。だが続けるしかない。覚えているか?」
二人は過去と同じ会話を意図的に繰り返していた。
「そうだねー。えっと、なんだっけな。そう、確信めいた予感がした。奴も完全に否定しなかったし、アイツは絶対に3番だよ!」
素零は断言するが信じる必要はない。
死んだ者は生き返らないという世界の法則について考えるよりも先に見つけるべき答えがあったから。
何度も似たような会話を繰り返し、焦りだけが募っていく。
素零と会話をしつつ、既視感と違和感が拭えない、悪夢のような状況から脱却するべく過去の記憶をオレは慎重に辿る。
「ではレオナルドを消した理由はなんだ。奴は恐らく地球の消滅には関わっていない。──オレは7番を消してみようと思う」
「うん、知ってるよ。ほら、アイツってさ、なんとなく死ぬイメージがないよね? そのうちシレっと戻ってくる気がするんだよね。
──そしたら閉じ込められない? 素零はそうは思わない。出られないって言うのは別に誰でもいいんだと思う。ただのキッカケなだけだよ」
「だとしたら、殺しても意味はないだろう。無闇矢鱈に生命を消すのは無しにしよう。少なくともオレはそんなことを望んでいない。
──端的に話せ、何が既視感の原因かわからないんだ」
「了解〜。
ちっがーう! だからこそ、消したのさ!!
世界の法則を無視するくらいの裏技だよ?
そんな奴、相手にしていたらキリがないし、対策する必要があるよね? この機会にその手口を探ろうと思ったんだ。
──18番も偽物だって? なら、殺してみよっか?」
「だったら美唯子はどうなる。彼女を殺す正当な理由があるのか? もしお前の個人的な感情で消そうとしているなら、オレの考えを言おう。18番を消す必要はない」
「まぁ確かに半分はやっかみかもね。キミにベッタリだからさ。
何が友だよ、反吐が出るってのが素零と僕の共通意見。
──でも消してどうなるか確認しないと、先に進めないよ。
どこで間違ったのかなー。11番を消したことか、いや、レオナルドの感謝するよ、かなー? それともパラドクスの能力の一部? 困ったねー」
「だとしても、氷駕を消す必要はないだろ」
「──問題なのは、素零とキミだけがこの異常事態に気づいているということ。
そしてキミがアマちゃんで仲間を殺したがらないこと。
全てを試さなければ永遠に終わらないよ?
案外、美唯子の仕業だったりして。
もしあの女が嘘をついていたら? 何か陰謀を企てていたら?
殺そうって言ってもキミは絶対に受け入れないよね。
──あ〜あ、お芝居は飽きちゃった。
なんか1番はクソだとかあの時は言ってたっけ。
めんどくさいな、好き勝手にやるよ。
ほら、誰か見てんだろ? またループさせるか?
いい加減に答えを教えなよ、何をすればいいのかさぁっ!!」
ウンザリとした表情で虚空を見つめ、素零が叫んだ。
素零の発言にはオレも同感であった。
「──さて、着いたよ。
今度は何を試してみよっか?
君の話だとパラドクスとの会話途中で記憶が途切れたんだっけ?
パラドクスとの対峙までは正規ルートなのかなぁ?
他の場所に転移できないようになってるし、八方塞がりだ」
闇を破って素零は光の中へと飛び出していく。
答えが見つからない。何をしても永遠に檻の中。
オレはどうすればいいのか判断に困っていた。
最後まで読んでいただきありがとうございました。




