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逆説王パラドクス。極上の謎をアナタへ。


 オレの肉体はこの宇宙の()()()()()()()()()()()()()()()

 目の前には誰か、恐らくはパラドクスがいると認識できるが、それ以外は何も認識できない超空間へと連れてこられていた。

 

「あんたがパラドクスだな? ここは一体どこなんだ」


 オレは姿形も見えないナニかに聞いた。


「ここまで早々に悟られるとは思ってもいませんでした。

 ここは存在しない無の世界、この宇宙で唯一、1番の干渉を逃れることができる場所。あたしとアナタしかいない場所」


 超空間のどこからか、女性の声で返答される。

 オレはその声に聞き覚えがあった。


「アンタの目的は時間稼ぎで、オレ達を排除することではない。

 つまり、死なれたら困るんだ。そうだよな?

 だから死を選択したオレを慌ててここまで連れてきた、だろ?」


「ほぼ正解です。

 ちなみに満点を取りたいのならばこうです。

 アナタと素零が同時に生存し続ける必要があった。

 つまり、アナタでなければこの結果は得られなかった。

 アナタは素零を絶対に殺さないし、素零もアナタを殺さない。

 5番(アレスティラ)18番(氷駕)が死ぬことはあっても、

絶対に今回のような結末にはならないハズ()()()


 パラドクスは悔しさを滲ませた声で語る。

 オレは自身の決断に満足していた。

 もしもあの時、零の螺旋を受けていたのが氷駕であれば、ただの犬死にとなっていただろう。


「ハズだった?

 まさかアンタも運命がどうとか言うんじゃないだろうな。

 未来なんて決まっていない、どうとでも変えられるんだ」


「それは違いますね。

 アナタ方、生命の皆様は運命を自分で切り開くことができると()()()()()()()だけです。

 全てはエニグマの頂点、1番が思い描いた通りに進んでいます」


「ふざけるなよ、そんな世界は地獄じゃないか」

 

「適切な表現です。

 我々は生きながらに死んでいるも同然。

 だからあたしは世界の仕組みと1番を消し去りたい」


 エニグマ達は1番を絶対的に信頼しているが、レオナルドやパラドクス、一部の存在は1番を毛嫌いしているようだ。

 オレはまだ会ったことも語り合ったこともない1番という存在を、どう評するか簡単に判断を下すべきではないと考えていた。


「ここ何日かに渡って色々と不可解な事が続いた、全てお前の策略か? 三日前に11番を殺したのも、素零を殺すためにエニグマを地球に呼びせたのも全てお前がやったことなんだな?」


「何を言っているのですか?

 11番を殺したのは素零ではないですか。

 アナタも見ていたはずですよ」


「違う、そうじゃない。

 オレ達は三日前に11番が死んだと聞かされ、素零は11番に成りすましていた()()を消したんだ」


「ああ、違います。

 アナタの目の前で素零が消したのは()()()11番です。

 アナタがこだわっている三日前の11番も偽物ではありません。

 11番は二度死んだのです。生き返ったわけではありませんよ、1番が作った死んだ者は蘇らないというルールは絶対ですから」


 理解不能な言葉に頭の中が軽くパニック状態に陥る。

 パラドクスの声は自信に満ちている。嘘を言っているとは思えなかった。


「待ってくれ、まるで意味がわからない」


「うふふ、楽しくなってきましたね!

 その顔、生命が謎を解き明かすときにみせる最上の表情。

 もっとあたしに見せてください、快感を与えてください。

 それではアナタに極上の謎をプレゼントいたします」


 パラドクスは突然に上機嫌となった。

 どうやらオレとの知恵比べを所望しているらしい。


「あの時、タクヤを殺したのはアナタではなく信長です。

 アナタはアレスティラに思いを告げませんでした。

 しかしアレスティラはアナタの好意を受け取りました。

 4番は本物で7番と18番は偽物でした。

 レオナルドは今間違いなく死んでいます。

 さぁ、あたしの能力はな〜んだ??」

 

 パラドクスが早口に捲し立てる。

 人間が一度に処理できる情報量を遥かに超えていた。

 オレは頭を掻きむしる。


「ちなみに、幻覚・催眠とか時間を操るとか人格操作とか、

 猿でも思いつくような答えを出したら心外ですので即終了です。

 また檻の中に戻して今度は二度と出しませんから」


 パラドクスが安易な答えは出すなと釘を刺す。

 どうやら世間一般に存在するような、わかりやすい能力ではないらしい。

 今まで出会ってきた曲者揃いの敵達の中でも、群を抜いてタチが悪い。オレはそう感じながらも懸命に思考を巡らせる。


「能力もどうやったのかも、今のオレにはわからない。

 だが、お前の正体ならわかるぞ」


 パラドクスの能力の正体は見当もつかなかった。

 色々な要素が含まれすぎていて断定することなど出来ない。

 オレはどうにかしてパラドクスの興味を惹こうと別の切り口から攻めることに決めた。


「へぇ、興味深いですね。聞いてあげましょう」


 思惑通りパラドクスが食いついてきた。

 オレは口元の笑みを悟られないようにして言葉を続ける。


「新人類の月光院輝夜(ヒカリ)だろ」


「……何故そう思ったのか、理由を聞いておきましょうか」


「素零じゃないけど、フィーリングかな。

 ……冗談は置いといて、オレは輝夜の心を覗いたことがある。

 お前の言葉の端々にレオナルドの面影を感じる。

 レオナルドは自分が死んだらお前に真実を話すと言っていた。

 輝夜はレオナルドから力を受け取っている。

 パラドクス、お前はレオナルドが死んだ途端に現れた。

 他にも色々と詰める点があるが、オレはお前が輝夜だと思う」


「………………」


 一か八かの賭けに近かったが、パラドクスを黙らせることには成功した。

 この沈黙が意味するところが正解なのか不正解なのかオレには判断がつかないが、内心ではパラドクスを打ち負かした気になっていた。


「やはり早々に閉鎖空間を抜け出しただけの事はありますね。

 アナタの判断は面白い。実に面白いです。

 とりあえずは正解とも不正解とも言わないでおきましょう。

 頑張ったアナタにチャンス問題を差しあげましょう。

 正解できれば豪華賞品プレゼント、さぁ、どうしますか?」


「……やるよ。というか、やる以外に選択肢ないだろ?」


 オレは悩んだ素振りすらみせずに即答した。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

私の作品を読んでくださる全ての皆様に感謝しております。


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