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首都決戦・エニグマvs暗黒生命体。地球を守る正義の味方X・X I's 。

 

 夜の首都上空をオレと(カナタ)は風に乗り飛行している。

 オレは雷の力を応用した電磁浮遊、奏は風力を操り優雅に空を駆けている。

 目指すは暗黒物質(ダークマター)が作り出した巨大生命体。


「アンタ、空も飛べるんだな」


「僕は11番。基本的にはなんでもできるさ。14番の疾風の力でこの通り空も飛べるし、キミの雷の力だって使えるよ」


 奏は軽い口調で言い微笑む。


「テレビに映ってたあの怪物、本当に倒せるのか」


「僕達は生命の頂点。逆に負けることがあり得ないね。

 さぁ、ついたよ。どうやら敵は攻撃を始めたらしい」


 店を出てからものの数分で首都の中心部までたどり着く。

 先程までテレビに映っていた風景とはまるで様変わりしていた。街のあちこちから火の手が上がり、人々が慌てふためきながら大地を逃げ惑っている。

 

 普段は野外広告を放映している巨大な大型ビジョンには闇の生命体が熱線を一心不乱に放射し続けている様子が映し出されている。

 

 悠々と空に鎮座している闇の巨獣は、不定形だった姿とは打って変わり()()を遂げていた。

 龍、鰐、鮫、あらゆる生命を模している歪で巨大な複数の頭部、都心のシンボルである全高700メートルを誇る電波塔よりも太く長い手足、都心全部を覆うような胴体からは闇の触手が無数に生え、ウネリを続けている。


「なんだコイツは、完全に化け物だな」


「その意見には同意だけど、呑気に眺めている暇はない。

 このままでは街がまるごと焼き払われる。さぁ、やろうか」


 奏の言葉にオレは頷き、巨獣の眼前に躍り出る。


「──────────ッァァヤァァァァイァァァ!!!」


 オレと奏を認識した途端に巨獣は天地を引き裂くような咆哮をあげた。

 それだけで高層ビル群のガラスが粉々に砕け散り、大地へ流星群のように降り注ぐ。


「!!! ──────砕ッ────── !?!」


 怪物の口に光の粒子が収束し、直後に放たれた熱線が奏に向かって襲いかかる。

 まるで光のシャワーのように撃ち放たれた光条の前に逃げ道など存在しない。


「凄まじい熱量(エネルギー)だ。まぁ、僕には通用しないけど!」


 光子熱閃は奏に当たる直前に軌道が捻じ曲がり、全てが天に向かって消えていく。

 

「なんだ今のは! 光線が折れたのか? まるで光の屈折のような……」


属性熱量支配(オルディネイト)。僕はこの世に存在する全てのエネルギーを操れる。同属帯を統べるに相応しい能力だろ?」


 涼しい表情のまま奏は言った。

 想像を絶する領域の事象干渉能力。

 距離や空間を問わず、全てのエネルギーを操作し支配できる。

 それが11番である(カナタ)の能力。

 巨獣が熱線をいくら放とうが関係ない。


「僕の能力の真髄は護り。──キミは僕から逃げられないよ」


 奏が拳を握り込む。

 奏の体を眩い閃光が覆い、闇の夜空を真昼のように明るく照らす。


聖域光牢(レ・ピュア)──」


 奏の体から解き放たれた光線が幾百、幾千にも分離し、全方位を光が埋め尽くし、檻状に展開、巨獣の周囲を覆っていく。

 光の檻に閉じ込められた巨獣は咆哮をあげ、空を引き裂きながら手足を振り乱している。


10番(オレ)、あの檻の中なら街に被害は出ない。暗黒物質を密閉し再生すらさせない。檻ごと吹き飛ばすような特大のをブチかましてくれるかな? 盛大に頼むよ!」


「わかった。任せてくれ!」


 オレが両手を突き出し雷を最大限にまで収束させていく。

 生命の危機を悟ったのか、巨獣は苦し紛れに熱線を乱射するが、その全てが檻の中で乱反射し、自身の体を焼き尽くしていく。


「──雷帝の裁き(ライトニングキャノン)ッ!!」


 解き放たれた裁きの雷。

 オレが打ち出した雷撃が檻の中で暴れくるう巨獣の肉体を構成する暗黒物質(ダークマター)を完全に破壊し、この世から消し去った。


「お見事! さて、怪物は討伐した。次は市民を救おうか」


 奏がオレに目配せした後、地上へと降りていく。

 夜の街はオレンジ色に染まっていた。

 あちこちで火災が発生し、黒煙が空へと登っていく。

 消防隊が懸命に鎮火作業に励んでいるが、炎の勢いは激しさを増していく。


「人智を超えた災害にも果敢に立ち向かう。生命の美しさ、逞しさよ。僕は地球の全てを愛する。よく頑張ったね、人類よ」

 

 奏が拳を握る。  

 すると猛烈な勢いで街を飲み込もうとしていた炎が一瞬にして鎮火する。

 

「信じられないような光景です。空を舞う二人の人間が怪物を倒し、街に平和を取り戻しました。これは神の奇跡でしょうか」


 オレと奏のもとに事件の一部始終を見ていた報道記者やテレビクルーが集まってくる。

 オレは咄嗟に逃げ出そうとするが、奏はそれを許さない。


「どうした? なぜ逃げる。キミは怪物を倒した英雄だろ」


「いや、オレはレオナルドのせいで人類に顔を知られているから。一応敵ってことになってるし、何よりも目立ちたくない」


 オレが言うと奏は微笑み、魔力で生成した仮面を二つ虚空から取り出した。


「ならばこの仮面をつけるといいよ。僕達は何も悪いことはしてないけど、確かに身バレすると面倒なのは事実だからね」


 奏が言いながらオレにウィンクした後、自身も仮面を付ける。


「お話を聞いてもよろしいですか? アナタ達は一体何者なのでしょうか!?」


 マイクを向けながら女性レポーターが質問する。

 奏はカメラ目線で優しく微笑む。


「そうだな、うん。僕達は地球を守る正義の味方、X・X I's 。よろしく!」


「勝手に決めるな! これ以上、大事になったら困る」


 バツの悪そうな顔でオレが言うが奏は意に介さない。


「あの、よろしければ、お名前をお聞きしてもよろしいでしょうか」


「あぁ、僕は守護神(メデウス)、彼は叛逆者(ペルセウス)。人類の味方だ、覚えておいて損はないよ」


「マジでやめろって! 目立つ真似はしたくないんだ!」


 オレが肘で奏を小突く。

 奏はオレに笑顔を見せた。


「これからも暗黒物質(ダークマター)は攻めてくる。今回のような小手調べの尖兵ではない、本格的なのがね。人類には希望が必要だ、我々がなってやればいいのさ。縋るものがなければ人は生きていけない。キミも元人間ならわかるだろ?」


「いや、でも……」


 オレに小声で言った後、奏はカメラに向き直る。


「皆さん安心してください! 僕達がいる限り、世界の平和は揺るぎません。世界を滅亡の危機に追いやろうとしている悪魔レオナルド・オムニ・エンドから必ず皆様を守ると約束いたします」


 奏は最後に飛び切りの笑顔を見せ、堂々と言い切った。

 その様子は全世界同時生中継と映っている大型ビジョンにドアップで映し出されている。


「おっ、おい、いい加減に帰ろう。人が集まってきたし警察も来た」


 オレは奏の腕を取り、たまらず人混みから逃げ出した。

 二人して帰路につく途中、奏は実にご機嫌な様子でオレの顔を覗き込む。


「どうだい? キミがやられた事をそっくりそのまま返してやったよ。レオナルド、ざまあ見ろってさ! ハハッ!」


「ありがとな。少しはスカッとしたよ。これからもよろしくな、11番(カナタ)


「ああ、気にしないでいいよ10番(オレ)。僕達は仲間だ。共に世界を救いましょうってね?」


 二人は向かい合い、しっかりと握手を交わした。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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