宿命の対決。オレvs刹那。
第三惑星突入編 終了となります。
月明かりを浴び、星を見つめながら刹那は立っていた。
漆黒の長髪が夜風になびく。
息を呑むような美しさ。
幻想的で神秘的な雰囲気を纏った少女は近寄ってくる存在の気配を察知して振り返る。
「なんだよその格好。学生ゴッコでもしてるのか」
「お前こそ、正義の味方を気取っているではないか」
オレがブレザーの女子制服を来た姿を茶化すと刹那も負けじと返す。
「どうしてレオナルドの味方になったんだ」
「味方になったつもりはない。推論でモノを話すな」
「じゃあどうして、こんなとこにいるんだよ」
「どうして? お前に一から十まで説明しなければならない理由があるのか。私とお前の関係はなんだ。夫婦か。違うだろ」
刹那の声は涼やかに落ち着いていた。
視線だけは熱く鋭い。
切れ長の黒い瞳でまっすぐにオレを見据えている。
「他の皆んなは、9番やミカ達はどうなった」
「8番がレオナルドと通じていた。みなバラバラに連れ去られた」
想定していたよりも最悪の状況にオレが下唇を噛む。
それでも目の前に刹那がいれてくれることをオレは嬉しく思っていた。
「刹那はオレの仲間だろ。違うのかよ。一緒に帰ろう」
「化け物を仲間に持ったつもりはない。ハッキリという。お前が不死身の肉体を持ち、この世に存在しない限り、私とお前は敵同士だ」
強く突きつけられた拒絶の言葉。
オレは一瞬顔を伏せるも、すぐに表情を引き締め前を向く。
「そりゃ、オレだって人間に戻りたいさ、でも人類にかけられたレオナルドの同調を解かないといけない。そのためにはエニグマの力が必要なんだ」
「そんなものは体のいい、ただの言い訳だ。私なら人間のまま世界を救う方法を探す。これ以上、私の邪魔をするな」
刹那の決意は固いようだった。
ハッキリとした物言いは少女の信念の強さを現している。
「レオナルドでもない、新人類と繋がりがあるわけでもない。だとしたら、お前がそこまで頑なにこの場所に留まる理由は、あの鉄仮面の男と何か関係があるのか」
「仮にそうだとしても、お前には関係のない話だ」
「そうだな。これでオレも確信できたよ。鉄仮面の正体が……」
一瞬の静寂。
耳鳴りがしてくるほどの無音。
「それで、どうする。大人しく帰るのか」
先に静寂を打ち破ったのは刹那であった。
そんな気はさらさらないとオレは強く拳を握り込む。
「オレ達のやり方で決着をつけよう。オレが勝ったら刹那を連れて帰る。そのためにオレは命を賭ける。エニグマの力は使わない。人間として、男と女の真剣勝負だ」
見落としてしまいそうになるほど瞬間的に、刹那の表情がわずかに緩んだ。
「──こうしてお前と向かいあうのも久しぶりだな」
刹那が黒刀を抜き出し、オレが拳を構える。
「ああ。これで三度目になる。一度目はオレがズルして勝った。二度目は実力で完全に負けた」
「これで最後とは思えないがな。私とお前の関係は永遠だと思っている」
「──雷命延尽! オレだって強くなってんだ。お互いに全力を尽くそう。最後に聞きたい。刹那、化け物になったオレのことが憎いか?」
雷命延尽。命を削り力へ換える能力。覚悟の証明。
オレが雷命延尽を発動させると肉体が黄金色の輝きを放つ。
「いや、私はお前を好いている。一度たりとも忘れたことはない」
月明かりの中、互いの全てを賭けた闘いが始まった。
「──黒の弾丸」
「雷撃弾──」
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