宇宙最強究極の炎。氷炎の絆。
エニグマは常に力を制限して戦っている。
そうでもしなければ宇宙が崩壊してしまうからだ。
エニグマの能力は能力者本人の死に反応して覚醒する。
オレに力を授けた15番のジェイドが死亡後に漆黒の雷を生み出したように、本来の力は死後にしか発現できないようになっている。
それがこの世界の絶対的ルールである死んだものは生き返らないという普遍の掟によって、絶妙に噛み合わないことにより、世界の均衡は保たれていた。
つまり能力を強くしたければ死ななければならないが、死ぬと能力は使えないというジレンマである。
そもそも本来エニグマは不死であり、覚醒することなど絶対に有り得ないし、してはいけないはずだった。
それが不可能殺しの出現以降、新人類の台頭などにより、エニグマの能力覚醒に関する秩序が一挙に崩れた。
まさに宇宙の法則が乱れてしまっているような状態だ。
新人類に惨たらしく殺されてしまったカズキが操る炎の力の制限は太陽の中心温度と同じ1500万°cまでだった。
能力者の死に際しカズキの力は覚醒し、氷駕が引き継いだカズキの炎の温度の制限が消えた。
その温度は実に1溝4000穣°c宇宙誕生の際に発生したビッグバン現象に等しい熱量である。
そのままの熱量を放出すれば、簡単に宇宙は蒸発する。
これほど扱いに難儀する能力はないだろう。
しかし氷駕には秘策があった。
「今から5秒でお前は死ぬ。最後の言葉を聞いてやるぞクズ野朗」
国士無双を名乗った新人類の体の周りを、淡い色をした光が覆い、球体状に広がっていく。
「別にないね。だって俺死なないよ。謝る気もないね」
「そうか、ならば燃え尽きろ。じゃあな」
「ギッ……」
叫ぶ暇もなく、新人類は文字通り細胞一つ残さず消滅した。
氷駕が放った光の正体は、外気との温度差をゼロにする固有能力、氷駕結界。
球体内にだけ1溝°cの炎は存在し、対象を焼き尽くすと同時に霧散する。
現実世界への影響は全くない。
新人類、国士無双の敗因はこの世に存在していたこと。
1溝°cの炎に包まれては再生能力も意味をなさない。
「17番。お前の仇は討ったぞ。どうか安らかに眠ってくれ。……疲れた……少し寝るか。負けるなよ……オレ」
酷使した肉体に休息を与えるため、氷駕は深い眠りについた。
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