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負ける気がしない。無敵の雷撃無双。


 ナビが10番の気配を辿り、やって来たのは次元の狭間に存在する歪な塔であった。

 薄暗い超空間を煌々と照らす灯りを放ち聳え立つ塔は、不夜城の様相を呈している。

 

「止まれ、ここから先には行かせはしない」


 塔の中へと侵入しようとしていた二人を、武装した軍勢が取り囲み、行く手を阻む。


「我々はレオナルド様の命を受けて貴様らを討伐に来た。調停者(ジャッジメント)直属の傭兵だ。世界の悪を今この場で根絶やしにする。大人しく死ぬがいい」


「オレさん……何だかやたら強そうなのが沢山いますけど」


 不安そうな顔をしているナビとは対照的に、オレの顔には自信が満ち満ちている。ミナギル闘志が雷となって表れていた。


「何も問題はない。今のオレは全力全開で化け物(エニグマ)だ。力が溢れてくる。何がこようと負ける気がしない。こいつら、レオナルドの手下なんだな。なら容赦しなくていいな」


 オレの前に立ちはだかる数百はいるであろう軍勢の一人一人が、歴史に名を連ねるほどの伝説級(レジェンド)戦士ばかりだ。

 女神、邪神、魔神、悪魔、天使、果ては召喚されたドラゴンや聖獣、幻獣の類までいる。


「ジェイドが覚醒させた雷の力。黒の雷は全てを無に還す」


 隙だらけのオレに向かって複数の戦士が飛び掛かる。

 魔力を練り込み、雄叫びを上げ、オレに向かって必殺技の集中砲火を叩き込む。


破滅の波動(ブラストエンド)

死の宣告(デスペナルティ)

天界の裁き(ホーリーレイ)


 必殺技の波状攻撃。

 オレはそれを避ける素振りすら見せずに全て受け止めた。

 ダメージは一切ない。この世で究極とも呼べるレベルまで己を高めた者達の総攻撃を受けても、オレは擦り傷一つ負っていない。


「今、何かした?」


「そんな馬鹿な……即死級攻撃だぞ……」


「オレは死なない。だから即死もクソも関係ない。ちなみに存在すらしていない。今のオレに勝負を挑んだお前達を心から同情する。──黒雷撃弾(サンダーベイン)


 オレが指先から黒雷の弾丸を乱射する。

 女神も創世神も魔神も邪神も、全て平等に蒸発した。

    

「待て、10番街の住民を閉じ込めている施設に爆弾を仕掛けた。降伏しなければ全員、殺……」


 オレを脅迫しようとしていた悪魔の頭部が言葉途中で風船のように弾け飛んだ。

 悪魔は恐らく自分が死んだことにすら気づいていない。


「雷より速く動けない奴はオレと交渉する権利すらない」


 指先から昇る白煙を吹き消しオレが言う。

 次に出てきたのは赤色の全身タイツにマントをつけた変人、ではなく電人。


「ならば私はどうだ! 電人戦士の私はあらゆる物理攻撃を無力化する無敵の高電磁バリアーが……あれ?」


 無敵の高電磁バリアなる障壁はいともたやすくブチ破られた。

 追撃の雷撃を受けた電人戦士は光となった。


「お前も弱い。はい、次」


 段々と前に出てくるものが少なくなってくる。

 まるで公開処刑のようになっていた。

 誰もオレを止められない。

 エニグマの特性を活かし出るもの全ての策を完全に受け切り、次の瞬間には蒸発させていく。


「俺は風神。俺は風という概念そのものだ。実体がない俺なら、いくらお前でも倒せまい」


「お前はそこに存在してるよな? その時点でお前の負けだから」


 オレは3番の創造の力を行使し、風という概念を具現化し強制的に実体化させる。もはや風神は自然という概念ですらなく、ただの一般人に成り果てた。

 

「お前、今まで実体がなかったなら殴られたこともないだろ。痛いぞ」


 風神の顔面に雷撃を纏ったオレの右ストレートが炸裂する。

 

「ブべギアッ! なんだ、お前は、メチャクチャすぎ……ぐあッ」


 オレの放った迅雷が直撃した風神は自然に還っていった。

 

「さて、次は空のお掃除だ」


 オレが軽く腕を薙ぐと紫電が疾る。

 空中に漂うドラゴンの鋼鉄のような皮膚を閃雷が焼き斬り、肉体を焦がし尽くし存在を抹消する。

 死の危険を察知した飛翔魔獣(ガーゴイル)や天馬の群れが嘶きを上げて迫り来るが、その全てが抵抗虚しく雷光に飲まれて一瞬で姿を消した。


「お前達は何を根拠にオレを倒せると思ってきたのか知らないが、エニグマなめすぎだろ。少なくともこの世に存在してる時点で勝ち目はないから。他の仲間にも伝えろよ、()()()を殺すのは不可能だってな」


 オレが睨み付けると残り数人にまで数を減らした討伐隊が、蜘蛛の子を散らしたように逃げていく。


「お疲れ様です。さすがですね、オレさん」


 ナビが労いと賛辞の言葉を述べるとオレは気持ちの良い笑顔を見せる。


「今まで戦ってきた奴等が異常なだけで、オレもそれなりに強いって実感できて良かったよ。普通に倒せるっていいな」


「そうですね。死んでも死なない相手ばかりでしたから。さっ、この調子で10番のもとに急ぎましょう! 恐らくは最上階にいるはずです!」


 セキリュティが存在しなくなった塔の中へと、オレとナビは悠々と入っていった。

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