世界なんて消えちまえ。決着をつけよう。
オレにとって世界とは、視覚で捉え、脳で認識するものではない。広漠として広がる宇宙に渦巻く意思螺旋、それだけが、唯一、世界と言えるものだと考えている。
目の前にいる鉄仮面に抱く不快感、人にしてみれば普遍的なモノだろう。突然現れて混乱を呼び不条理を押し付ける存在を、人は無意識のうちに糾弾する。
「お前の目的は結局のところ、世界の破壊か、
だとしたらオレはそれを強く非難する」
「……お前ノストラダムスの終末予言を知っているか?
世界が何年何月に滅びるとか話題になったヤツだよ。
ワクワクしたんだよな。あの当時、オレは荒れていた。
世界なんて消えちまえと本気で願っていたものだ」
オレの質問にまともに答える気がないのか、鉄仮面は淡々と言葉を並べる。
「質問に答えろ! お前は何がしたいんだ!」
「………………」
時間にして十数秒程の沈黙。
その間にも鉄仮面に対する苛立ちが募っていく。
「──そうだな、例えばオレが世界を殺し、
宇宙の全てを正常にして完璧にリセットしたい。
などとテンプレ的な悪役回答をしたとしよう。
お前さんはそれで満足するのか? 違うよな?
だったら答えは一つしかないだろうよ。分かるな──」
言葉は不要。
お前と相容れるつもりはない。
それが鉄仮面の答え。
だとしたら、することは決まっている。
「──終の螺旋……」
右腕に力を集め、一心に鉄仮面を見据える。
「……そうだ、それでいい。
だがな、お前に零式は重すぎる。
オレが本物の【零】を見せてやる。
──終の螺旋!」
鉄仮面の右腕から光の波濤が溢れ出す。
光が世界を覆い、全てを包み込んでいく。
「──決着をつけるぞ、鉄仮面……」
「……もとよりそのつもりだ──」
互いを見据え、極限まで力を高める。
「「──終の螺旋【零式】ッ!」」
オレ達はほぼ同時に光の螺旋を撃ち出した。
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