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233/236

True end.


 黄金(コガネ)の責具に締め付けられる

 永遠(トコシエ)に終わりのない闇の中

 貴方は神に選ばれ傀儡となる

 私はただ見ているだけの雛罌粟


 偽りの世界で人を騙す

 望むままに糧を与え続け

 穢れ続ける善心

 永遠にソレを繰り返す


 絶望も悪意も怖くない

 気休めも憐れみも必要ない

 真実を取り戻した時にだけ

 私は救われる


 ◇ ◇ ◇ ◇


「……ペル様、私の心を読んだのですね。

 どうでしたか? 痛い女だとか思ったりしてます??」


 同調を解除すると曇りのない目で美唯子は聞いてくる。

 その瞳があまりに真っ直ぐで、思わず目を逸らす。

 

「いや、わかったのはキミはオレの事しか考えていない。

 だとしたら本当に真実しか言っていないんだな」


 美唯子の心を覗いて判明した事は、オレに対する異常なまでの愛情。そして想像を絶するような苦行。

 彼女はオレだけのために艱難辛苦を受け入れている。

 敵として考えていたのに、一転して複雑な心境となる。


「最初からそう言っているじゃないですかぁ……。

 私とペル様はあの日に結ばれる運命だったんです!

 だからどれだけ邪魔されても、私は負けません!

 私はペル様のお嫁さんになるために生まれてきたので!」


 聞いているだけでも照れてしまうような発言。

 それを美唯子はクラスメイトがいる前で平然と言い切った。

 新人類の男子生徒から憎らしげな目で見られている気がする。舌打ちまで聞こえてきたし、話を先に進めよう。


「お嫁さんってお前……。

 わかった。美唯子を信じる。

 だから黒幕について教えてくれ」


 美唯子が黒幕でなければ犯人は一体誰なのだろうか。

 世界を混乱に陥れ、宇宙の規律を乱す者。

 絶大な力を持っていて、運命を捻じ曲げる程の悪。


「えっとぉ、黒幕さんなら、この後ココにきますよ?

 あ! でもその前に、()()()()のペル様がやってきます!

 修羅場になっちゃうかも知れませんねぇ。彼、私を月丘唯だと思い込んでいるので……。ペル様助けてー!!」


 嬉しそうな顔をしながら美唯子が抱きついてくる。


「待て、状況がよくわからない。

 つまり、なんだ? 月丘唯とは誰なんだ」


「えっと、えっと、ペル様が愛している想い人?

 あ、でも私が愛しているのはペル様だけですから!」


 なんとなくではあるが、もう一人のオレがオレを殺したい程に憎んでいた理由がわかった気がする。

 どうやらオレはオレ自身から最愛の人を寝取ったような形になっているらしい。


 それは確かに修羅場だな。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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