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私はネタバレとか気にせずに黒幕とかも話しちゃうタイプですけど平気ですかぁ?


「……よし、わかった。話し合おう、真剣に」


 覚悟を決めた瞬間、心臓の鼓動が高鳴る。

 眠っていた血潮、腐りかけていた気概が再起する。


 ──相手は並大抵ではない、心してかかれ。


 シンと静まる教室の中を、窓から吹き込んできた風が抜けていく。それは神からの警告のようであって、熱した意識を冷まし、冷静に思考を張りつめろと言わんばかりであった。


「はーい! ペル様となら、どんなお話でも喜んで!

 あ、でも私ぃ、ネタバレとか気にせずに黒幕とかも話しちゃうタイプですけど平気ですかぁ?」


 満面の笑みで美唯子は話す。

 そこには邪気も悪意も感じられない。


「あっ! でもその前にぃ……。

 大切なお友達を呼び戻しますねー!?

 みなさーん! 時間ですよー!!!」


 美唯子が両手をパンと合わせると、衝撃的な出来事が起こった。


「……ふぅ、ヤレヤレ。

 まさかコクピットの中を直接狙い撃ちとは……。

 オカルトパワーには驚かされますな! 勘弁ですぞ!」


「よう、叛逆者(ペルセウス)……。

 自己紹介が遅れたな、俺の名は天川龍司(テンカワリュウジ)

 次は負けない、絶対に……負けないからな!!」


「うぃー……。ただいま〜。

 さっすがミコだよねぃ。ま、信用してたけどねー」


「あの恐ろしく強い子供も倒したようだし、ほんと、陽神くんには頭が下がるよ。さぁ、パーティを始めよう!」


 静まり返っていった教室が、一気に人で埋め尽くされる。オレとレアで倒してきた新人類達が一斉に復活したのだ。他にも何人か見慣れない新人類が混ざっているし、完全なる四面楚歌だ。


「美唯子、これがお前の能力か?

 死人を蘇らせ、最強(レア)を倒し、世界を自由に操る。

 まるで神だな。オレは今までお前の能力を催眠か暗示の類だと考えていたが、改める必要がありそうだ」


 状態異常完全無効のレアを封じ込めた時点で暗示や催眠という線は思考から切り捨てた。

 だがだとしたら他に何がある。


「あれぇ? ペル様は知っていますよねぇ??

 私の能力は1stコンタクト。1番さんとお話できる能力ですよー?」


「……それは()()()()()としての能力だろう?

 オレが聞きたいのは逆説王(パラドクス)としての能力だ。

 世界を支配し、人を操り、運命を弄ぶ。

 おふざけはやめて、お前の本性を見せてみろ!」


 強く、想いを込めた瞳で陽神美唯子を凝視する。

 だがいくら感情的に怒鳴っても、問い詰めても、美唯子は揺るがない。動じることはない。


「あら、ペル様は何か勘違いしているようですね?

 まず第一に、私はペル様の味方なのですよ?

 心から愛していますしぃ、私の運命の人ですし!」


「運命、運命と、いい加減に聞き飽きた。

 オレが知りたいのはそんなことではない」


 頭の良い美唯子はそれを理解しているだろう。

 その上で敢えてオレを焦らしているのだ。


「せっかく運命の再会なのに、ペル様はイケズですね。

 わかりましたぁ……なら、世界の黒幕について話しますかぁ……。ドキドキします? 期待大ですよね!?

 あ、でもその前に、何か他に質問とかはあります?」


「……あぁ、あるな。聞きたいことだらけだ。

 オレは過去に戻ってきた()()()だが、この解釈は合っているのか」


「……あー。残念! この時間軸は過去でも現在でも未来でもありませ〜ん! ペル様でも間違えるんですねー?

 まぁ、そんなところも可愛くて好きなんですけど!!」


 クスクスと周りから嘲笑の声が聞こえる。

 完全にペースを乱されてしまっている。

 気を引き締めなければ。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

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